傲慢な性格だと婚約破棄されました。
ある国の第2王子には婚約者がおりました。
頭がよく、美しく、所作も完璧。
宰相である父をもち、公爵令嬢。
誰もが憧れる令嬢でしたが、第2王子は気に入らないようでした。
この王子、こちらも成績よく、王家の血筋通り美しく、お似合いのふたりだと思われていました。
ところが王子は舞踏会に男爵令嬢を連れてくるようになりました。
月に1度のお茶会にも来なくなりました。
貴族の学園でも男爵令嬢といつでも一緒。
ある日たまたま出会った第2王子に
「なぜ舞踏会のエスコートをしてくださらなくなったのですか?」と聞くと
「彼女のエスコートをしたいので」と言われ男爵令嬢の肩を抱かれました。
「月に1度のお茶会も王様とのお約束でしたが、いらっしゃいませんね。」
「あなたのその傲慢な態度を見ているより、彼女の控えめな優しい顔を見ていたいんです。」とおっしゃいました。
「そうですか。では婚約解消されたら宜しいと思われます。
この先傲慢な態度を一生見る羽目になってしまいますから。
ぜひ王子のほうから王様にお伝えくださいませ。」
王子の婚約者は侍女を連れ、公爵家に帰りつくとすぐ自分の部屋に入りドアを閉めて
「ないわ〜!王子のほうが傲慢な態度いつもしてるくせに何言ってんだろ?まず自分をみなさいって言いたいわよね?そう思わない?」
侍女は笑いながら、
「ホントですよね?びっくりしました。お嬢様は王子妃になるために態々偉そうに見えるようにしてるのに、普段から王子だからって横柄な態度とってる王子に言われたくないですよね?」
「たぶん自分は貴族も庶民も平等に扱う良い王子だと思われてるとおもってるんだよね。ほら男爵令嬢連れてたでしょ?あれだって下位の者にも分け隔てなくのアピールじゃない?」
「そうですね。それでお嬢様、このあとどうなさいますか?」
「王様と王妃様にはこれまでのことは伝えてあるから、お父様がお帰りになったらご報告しなくては。」
「わかりました。お戻りなりましたらお呼びします。」
侍女が部屋をでて1時間位でお父様が帰ったと呼ばれ、書斎へ行くと侍女が開いて中にはいる。
「お早いお戻りですね。お聞きになりましたか?」
「聞いた。お前は大丈夫かい?」と心配そうです。
父は外には厳しいけど家族にはとても優しいのです。
「前々から男爵令嬢の噂はありましたけど、直接お聞きしましたら、わたしの傲慢な態度が気に入らないそうです。ですので婚約解消をお勧め致しました。」ニッコリ笑う。
「そうか、頭は悪くないと思っていたのになんでなんだろうね?」
「相性の問題でしょうか?わたしも仲良くしようと務めましたが、仕方ないとするしかありません。」
「近々、王様とお話することになった。そのつもりで。」
そういいながら頭を撫でてくださいました。
大丈夫ですよ。王子を好きだったわけでもありませんから。
父を心配させて申し訳ないな、そう思いました。
何日かたって王様たちとお話することになりました。
謁見の間に通されるとそこには王様と王妃様に第2王子、第1王子までいました。
「お久しぶりでございます。お呼びとお伺いしました。」
王様と王妃様はにこやかに声をかけてくださいました。
「すまないね?今日は第2王子のことで話したくてね。
第2王子から婚約破棄の話があった。それは承知しているかい?」
「婚約破棄ですか?解消ではございませんか?」
すると第2王子が
「それについてはわたしからお話させて頂きます。
破棄の理由ですが、
あなたは先日わたしに舞踏会のエスコートをしない、お茶会にも来ないと、文句を言いましたね?それに婚約解消をすればいいだなどと、王族に向かって無礼ですよね?あなたは思い上がりも甚だしい。このような者が王子の妃であってはならないと考えます。
父上、母上、いかがでしょう?」
当たり前のことを言ったように王子は王様達をみました。
王様達は驚いた顔で王子を見て王妃にたずねました。
「王妃よ、第2王子はいつからこんなことに?」
「わかりません、なんでこんなことに。」
「第2王子は前からこんな考え方でしたよ。王家至上主義者で男尊女卑、女性は従ってあたりまえ、文句を言うものは罰する。」
第1王子が笑いながらおっしゃいました。
「そうか、では言おう。第2王子、そなたの言ってることは昔の野蛮な王族の考え方だ。
舞踏会のエスコートも婚約者の義務であり、茶会も王命で申し付けたもの。そなたが勝手に違えるものではない。
そして婚約解消を進言した婚約者を無礼者とは。
王族であれ、間違いはある。苦言を申してくれるものがなくなれば我らは王族でもなくなるのだ。それをいつでも忘れてはならない。昔確かに王族に刃向かう者には罰をあたえていた時代もあった。だがそれは遠い昔のこと。なぜそれを今第2王子がいうのか本当にわからない。」
今度は第2王子が驚いています。
「ですが、王族に婚約解消を申しでるとはあってはならぬことです。」
「それについても彼女から報告がきている。男爵令嬢とずいぶん仲良くしているそうだな。ここの所ずっと一緒にいたそうじゃないか?これは不貞行為だ。それなのに解消をと勧めてくれる、ほんとにできた婚約者だ。娘にならず残念だ。」
「不貞行為などありません。男爵令嬢とは一緒にいただけで、手をつけておりません。」
「2人でいた事が問題なんだ。婚約者ならばまだいい。未婚の男女がいつも一緒にいて周りはどうみる。婚約者は?
そなたがどう言おうと不貞行為だ。そのそなたが解消を求められてなんの問題がある?」
王子は分が悪いと思ったのか
「わかりました。解消で結構です。」
と項垂れた。
「すまなかったね。何か第2王子に言いたいことはあるか?」
と公爵令嬢にたずねた。
「はい、第2王子は傲慢な態度が気に入らないとおっしゃられましたが、私は王子妃教育でいつでも背筋を正し上を向いて王族らしく気品を持って接しろと言われてきました。
妃教育で教わったことを傲慢な態度といわれれば私はなにが正しいかわからなくなってしまいました。
王子も同じように教わったはずなのですが。」
王妃は怒った顔で
「それは妃教育を施した私に何か言いたいことがあるの?
彼女の態度を傲慢だというなら王様も私も傲慢な態度をとってると言ってるのですね?」と第2王子を睨みつけた。
第2王子は慌てて
「私達は王族ですが、彼女は違います。まだ結婚もしていないうちからこんな傲慢な態度をとってるのは先が思い遣られる。」
「婚約というのは結婚の約束だ。だから彼女は数年前から妃教育を受けている。すでに王族と同じ立場なのだ。
それに彼女が傲慢な態度をとってるというがどんな時にそんな態度をしてるのだ。はっきり言いなさい。」
「そ、それは...」王子はまた黙り込んでしまった。
すると第1王子が
「彼女は評判も良く、庶民とも友達になる人ですよ。傲慢なところなんて1度も見たことがありません。敢えて言えば毅然としているというか、気高いというか王族にふさわしい人です。」
あまりに第1王子に褒められたので顔が赤くなってしまった。
「同じ学園に通うそなたがいうのだから確かだな。
さて第2王子、そなたが言ったことがすべて真逆になってしまったな、どうするつもりだ。」じろりと睨んだ。
「申し訳、ありません」第2王子は渋々謝罪を述べた。
「ここまで常識がないとは思わなかった。第2王子は当分王子教育をいちからやり直し。社会勉強にどこかで働かせよう。
今回の婚約は解消。無かったこととする。それで宜しいか?宰相殿。」
それまで黙っていたお父様、ため息混じりに
「しょうがないですね。本当は強制労働に放り込みたいところですが、娘はそれでいいようですから。
これからまた婚約者探しをしなければなりません。良いお相手は皆婚約してますからな。いそがなければ。」
お父様気持ちはわかりますけど焦りすぎですわ。
王様たちにお暇を告げ、やっと我が家に帰りました。
「ウ~長かった。これで妃教育受けなくて済むんだ。
これからは普通に学園通えるんだよね。良かった。
婚約者もしばらくいらないかな。のんびりしよ。」
なんて甘かった。
帰りにお父様と第1王子がなんか話してたんだよね。
お父様も解消したばかりですぐ婚約しろとは言わないはず。
言われるまで知らんぷりしとこ。
終わり
初めての投稿です。拙い文章ですみません。
よくある婚約破棄ものです。
辻褄が合っていないところがあるかもしれません。誤字脱字などありましたらご指摘宜しくお願い致します。
誤字のご指摘ありがとうございますm(_ _)m
訂正いたしました。
感想ありがとうございます。
第1王子の婚約者はいません。理由は皆さんのご想像で。一言しか話してないので、良い人か腹黒かわかりませんね。
あと恋愛カテゴリですが、甘いのはありません。婚約という絡みでさせて頂きました。
今回の話し合いは第2王子が男爵令嬢を連れ回しだしてそれほどたたずにの話し合いです。王様たちは報告で全て知っているうえで家族内の話し合いです。
名前ですが、あえて名前はいれませんでした。
感情論ではなく、今その世界の常識とはどうなっているのかを書いてみました。
なんだかだんだんあとがきが長くなってしまいましたが(笑)
なるべく短編なので簡潔に書こうとしましたが説明も排除してしまうのは問題ですね。