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魔王の勇者になりまして  作者: 咲智夜
1/1

勇者試験



とある勇者の村に産まれた少年。

彼は、双子の妹と共に勇者試験を受けに、湖の中央に建つ街へと向かった。


桁外れな力で試験を終えた彼だったが、愛しい妹の元へと向かう途中


「約束通り、迎えに来た。」


静まり返る街に現れた、謎の男。


「もう、我慢しなくていいんだな?」


激しい頭痛と、甘い香りに包まれ。


「ちょっと、僕に何したの!?」


目を覚ますと、そこは魔界だった!


魔王と、勇者見習いの甘々ラブストーリー!

もちろん、アクションもあり!


「もう、離さない」


※こちらの作品は、BLになりますので。

苦手な方も、読んでください。





ある村に、双子の兄妹が居ました。その村は、勇者の特別な血が流れるもの達が、力を合わせ住んでいました。




双子の兄は、小さい頃から周りの勇者候補よりも、特別な力を持っていて、その力を使いこなすのが桁違いに上手かった。




そして16歳になったある日、勇者になるための試験が、街で毎年開催されている為、少年少女は船に乗り、湖の中心にあるおおきな街に向かった。




そこには、全国から集まった勇者候補や、勇者見習いから現役勇者まで、村では考えられないほどの人々が、街を埋めつくしていた。






「うわぁっ すごいね!」




「すごい、人がいっぱいだね!」






村からは、僕ら含め6人が、今年の勇者試験を受けれることが決まった。




僕ら双子は、産まれた時からずっと2人で、2人が親の顔を見ることは無かったし、親の話を聞くこともしなかった。僕らはいつだって、村の利益のためだけに動かされ育てられてきた。




不情な人たちの手で…。






(だから、僕は妹だけしかいらないし。妹が僕のすべてだと思ってる。)






自分の手を引いて歩く、自分と同じ顔の妹を、愛おしそうな目で見つめるウィルは、家族に向ける眼差しとは、違うものを妹に向けていた。






「どうしたの、お兄ちゃん?」




「ん?ああ、ううん。何でもないよ!」






そう、と言って前を向き、また歩き出す妹の背中を見つめる。




(大丈夫、何も心配ない。僕達は、この証で繋がってるんだから。)






そう自分に言い聞かせた。




彼の見つめる手の甲には、双子の妹と同じ印があった。






(この印がある限り、ずっと妹と繋がっていられると信じていたのに…。)






『次の試験が始まりますので、勇者試験をお受けの方は、速やかに移動…』




「お兄ちゃん…頑張ってねっ」






笑顔で、応援の言葉を言ってくれる妹の顔は、不安の色を隠せないでいた。






「うん、大丈夫だよ?何も心配しないで待っててよ!」






勇者試験…名前だけを知ってる人は、あぁ、何か能力値や戦闘力を競うんだろうなぁ、とか、体力面とかを測定するのかな?なんて、思ってる人が大半なんだけど




でも、蓋を開けてみないとなんたらってのと一緒で、ここは試験という名の殺し合い。




死刑囚と、勇者候補を戦わせて、勝った方には、それなりの対価を与える。




死刑囚って言っても、元は勇者のなり損ないだけどね。






「あんた、どっから来たの?」




「…。」




「おい、シカトかよ。こいつ言葉話せねぇのか?」




「ちょっとやめな、緊張してるのよ。」




「ああ、そうだな。なんてったって、これで勇者になれるか、なれないか決まるんだからな。」




「…でも、何で観客は、暗い顔をしている人達ばかりいるの?」




「さーな?自分の子供が、勇者になれないかも、しれないからじゃないのか?」






(勇者になれないかもしれない?)






「そんなんで済む話だといいけどね。」




「あ?」




「やめなって…!」




『只今より、第一試験を開催致します。』






ゴトンッ




「お、やっと開いたな」






音を立て、目の前の柵扉が開く。


これから、殺し合いが始まる。




(何て、この人達はわかってないんだもんね。)





「待っててねミラ、すぐ終わらせていくから。」





少年は、そう一人呟いた。








主人公・ウィル 16歳 属性(雷)


双子の兄で、双子の妹の事が兄妹としても一人の女性としても、大好き。幼い頃から、周りとは桁外れの力をもっている。



主人公の妹・ミラ 16歳 属性(不明)


双子の妹で、双子の兄から愛されている。

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