勇者試験
とある勇者の村に産まれた少年。
彼は、双子の妹と共に勇者試験を受けに、湖の中央に建つ街へと向かった。
桁外れな力で試験を終えた彼だったが、愛しい妹の元へと向かう途中
「約束通り、迎えに来た。」
静まり返る街に現れた、謎の男。
「もう、我慢しなくていいんだな?」
激しい頭痛と、甘い香りに包まれ。
「ちょっと、僕に何したの!?」
目を覚ますと、そこは魔界だった!
魔王と、勇者見習いの甘々ラブストーリー!
もちろん、アクションもあり!
「もう、離さない」
※こちらの作品は、BLになりますので。
苦手な方も、読んでください。
ある村に、双子の兄妹が居ました。その村は、勇者の特別な血が流れるもの達が、力を合わせ住んでいました。
双子の兄は、小さい頃から周りの勇者候補よりも、特別な力を持っていて、その力を使いこなすのが桁違いに上手かった。
そして16歳になったある日、勇者になるための試験が、街で毎年開催されている為、少年少女は船に乗り、湖の中心にあるおおきな街に向かった。
そこには、全国から集まった勇者候補や、勇者見習いから現役勇者まで、村では考えられないほどの人々が、街を埋めつくしていた。
「うわぁっ すごいね!」
「すごい、人がいっぱいだね!」
村からは、僕ら含め6人が、今年の勇者試験を受けれることが決まった。
僕ら双子は、産まれた時からずっと2人で、2人が親の顔を見ることは無かったし、親の話を聞くこともしなかった。僕らはいつだって、村の利益のためだけに動かされ育てられてきた。
不情な人たちの手で…。
(だから、僕は妹だけしかいらないし。妹が僕のすべてだと思ってる。)
自分の手を引いて歩く、自分と同じ顔の妹を、愛おしそうな目で見つめるウィルは、家族に向ける眼差しとは、違うものを妹に向けていた。
「どうしたの、お兄ちゃん?」
「ん?ああ、ううん。何でもないよ!」
そう、と言って前を向き、また歩き出す妹の背中を見つめる。
(大丈夫、何も心配ない。僕達は、この証で繋がってるんだから。)
そう自分に言い聞かせた。
彼の見つめる手の甲には、双子の妹と同じ印があった。
(この印がある限り、ずっと妹と繋がっていられると信じていたのに…。)
『次の試験が始まりますので、勇者試験をお受けの方は、速やかに移動…』
「お兄ちゃん…頑張ってねっ」
笑顔で、応援の言葉を言ってくれる妹の顔は、不安の色を隠せないでいた。
「うん、大丈夫だよ?何も心配しないで待っててよ!」
勇者試験…名前だけを知ってる人は、あぁ、何か能力値や戦闘力を競うんだろうなぁ、とか、体力面とかを測定するのかな?なんて、思ってる人が大半なんだけど
でも、蓋を開けてみないとなんたらってのと一緒で、ここは試験という名の殺し合い。
死刑囚と、勇者候補を戦わせて、勝った方には、それなりの対価を与える。
死刑囚って言っても、元は勇者のなり損ないだけどね。
「あんた、どっから来たの?」
「…。」
「おい、シカトかよ。こいつ言葉話せねぇのか?」
「ちょっとやめな、緊張してるのよ。」
「ああ、そうだな。なんてったって、これで勇者になれるか、なれないか決まるんだからな。」
「…でも、何で観客は、暗い顔をしている人達ばかりいるの?」
「さーな?自分の子供が、勇者になれないかも、しれないからじゃないのか?」
(勇者になれないかもしれない?)
「そんなんで済む話だといいけどね。」
「あ?」
「やめなって…!」
『只今より、第一試験を開催致します。』
ゴトンッ
「お、やっと開いたな」
音を立て、目の前の柵扉が開く。
これから、殺し合いが始まる。
(何て、この人達はわかってないんだもんね。)
「待っててねミラ、すぐ終わらせていくから。」
少年は、そう一人呟いた。
主人公・ウィル 16歳 属性(雷)
双子の兄で、双子の妹の事が兄妹としても一人の女性としても、大好き。幼い頃から、周りとは桁外れの力をもっている。
主人公の妹・ミラ 16歳 属性(不明)
双子の妹で、双子の兄から愛されている。