【喘息患者が語る】息苦しいってこういうこと
作者はあくまで患者であり、医者や医療従事者ではありません。
ただたぶん、健康な人が感染すればこのくらいは苦しむんじゃないかとは考えています。
喘息という病気に子供のころから付き合いのある私が、「息苦しい」とはどういうことかを判りやすく説明します。あくまで喘息症状ですのでご承知おきください。
まずはストローを一本用意します。
太さも長さもなんでもかまいません。タピオカミルクティーのストローでも幼児用ジュースのストローでも有名ハンバーガーのドリンクのストローでもいいです。
それを口に咥えます。
そして鼻をつまみます。長い時間つまむのが面倒な方は洗濯ばさみで挟んだり、ティッシュを丸めて詰めてもよいでしょう。
そのままストローで呼吸します。
このまま本文を読んでください。
ストローの太さと長さにもよりますが、徐々に呼吸するのが苦しくなっていくはずです。当たり前なんですけどね。
気管支喘息とは、簡単に言えば口や鼻から入った空気を肺に送るための気管が狭くなる病気です。狭くなった気管を空気が通るのでヒューヒューゼイゼイといった音もなります。
風邪症状と重なるとこの息苦しさに咳、鼻水、熱といった諸症状も加わります。
特に咳症状と重なると夜もろくに眠れません。『呼吸のための空気』が炎症を刺激して、咳が止まらなくなります。こういう時は呼吸をしたくないと思うこともしばしば。仰向けに眠ることがむずかしくなり、うつぶせで、さらに背中を丸めるためにぬいぐるみを抱き込むようにして呼吸を続けることもあります。横になるよりは上半身を起こしていたほうが楽です。咳のし過ぎで背中が筋肉痛になります。
もちろん発作を止める薬もありますが、基本的に喘息の薬は副作用の厳しい薬が多いので、私の場合は病院に行っての吸入や点滴による投薬という方法をとっています。
さて、ここまでは気管支喘息の息苦しさを説明してきました。
かなりマイルドに書いてきたのですが、なろうの読者さまならある程度は想像できたのではないでしょうか。
ここからはさらに想像してみましょう。
現在流行っているのは肺炎です。肺炎とは肺に炎症が起きる病気です。
肺は体内に酸素を取り込んで二酸化炭素を吐き出す為の臓器ですが、肺の機能が低下するので息苦しさを感じる人もいるでしょう。
今、あなたはストローを咥えて鼻にティッシュを詰めながらパソコンやスマホを見ていると思いますが、そこに痰が絡んだ断続的な咳と発熱、鼻水に全身の倦怠症状が加わればどれだけ苦しいことになるか、なんとなく想像できるのではないでしょうか。
普段無意識に行っている呼吸という行為を、常に意識して行わなければならなくなります。
それどころか呼吸をするために、咳をするたびごとに全身の筋肉を使わなければならないのです。
そしてこの病気にはまだ治療薬がありません。インフルエンザのようにすぐに症状が緩和したり、喘息のように呼吸が楽になることがないのです。
ここまでお読みくだりありがとうございました。
もうストローを離してくださって結構です。鼻の洗濯ばさみも忘れずに回収しておいてくださいね。そのまま外に出かけたらちょっと大変なことになります。
皆さんの息苦しさはこれで緩和されたでしょう。
ですがもし感染したら、ストローを外すようには気軽に回復しないかもしれません。
それどころか昔ヤのつく有名乳酸飲料に付属していたほっそいストロー並みの呼吸しかできなくなるかもしれません。
さらにあなたがそこまで苦しんでいるのに、医療崩壊が起きれば入院すらできなくなるでしょう。
入院できたとしても医療機器がなくてただ苦しんで症状が良くなるのを待つことしかできなくなるかもしれない。
そして健康で体力のあるあなたはいいかもしれない。けれどあなたの両親や伴侶、子供や恋人、友人、果てはあなたを治療した医者や看護師、その家族までこの苦しみを味わうかもしれないのです。
私は子供のころから発作を繰り返してきたので、比較的息苦しいのにも慣れているようです。かかりつけ医に行くと吸入を指示され、やってみたらあ~ら不思議。呼吸が楽になったじゃありませんか!ということが幾度か。
そのおかげか喘息で「このまま死ぬかもしれないな」と思ったことはありません。
が。
呼吸困難で処置されずに死にたくはないな、とは思います。
最近、テレビを見るとスポンサーに注目するようになった。
「ああ、こんな状況でまだこんなことを事実と報道するような番組にこの企業はお金を出してるんだな」と冷めた目で見てしまう。
別にだから苦情のメールを送るとか行動を起こすつもりはないが、マスコミを非難するよりもそちらのほうが早そうだ、とは正直思っている。
まだ事実確認ができていない内容がありましたので修正しました。
「免疫を獲得うんぬん」を「症状が良くなる」に変更です。(2020/4/21)