表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
瑞希  作者: 代田さん
14/17

12月22日 4

 瑞希は紺野に言われたとおり、九時まで駅前のコーヒー店で時間をつぶした。

 久しぶりに飲むコーヒーは何とも美味しかった。瑞希は白く温かい湯気を立てて揺れる黒い表面を見つめながら、小さくため息をついた。

 湯気の向こうに、紺野の笑顔が浮かんでくる。

 瑞希はポケットに入っていた紺野の携帯番号を取り出すと、じっと眺めた。

 これで、わずかでも紺野とつながっていられると思うと、本当に嬉しかった。これがあれば、少しの間一人でも頑張れそうな気がする。

 瑞希は大事そうにメモをしまうと、そっと自分の唇にその細い指を当てた。

 あの時。自分は紺野に無理やりキスをした。その感触を思い出すと、今でも胸がどきどきする。何とも、幸せな感覚だった。それ以上の行為を星の数ほどこなしてきた彼女だったが、たかがキスくらいで、こんなにどきどきしたことは今までなかった。


――もう一度、会いたい。


 瑞希は目を閉じて、大きく息を吸い込んだ。

 今度会う時は、もう少しまともになっていよう。そうして、ちゃんと告白したい。OKをもらえるかどうかは、分からないけど。

 瑞希は息を吐き出して、目を開いた。

 そのためには、とにかく現状を何とかしなければ。珈琲屋の時計は、あと十分で九時をさす。そうしたら、何もかも話そう。そうして、どうしたらいいか教えてもらおう。場合によっては、警察に連れて行かれるかもしれない。自分のせいで、あいつがつかまるかも知れない。

 それでも、仕方がないと思った。


――あいつだって、あんな世界から足を洗わない限り、まともな生活はできない。どんなに恨まれても、それが多分、一番いい方法なんだ。


 時計の針は、あと三分で九時になる。瑞希は席を立つと、会計をしにレジへ向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ