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魔女の弟子①

カール目線のお話です。1話で終わらせるつもりが長くなりそうだったので諦めて何話かに分けます。






魔女の弟子の朝は早い。


日の出とともに目覚めたら、まずはお湯を飲み体を温める。体と目が覚めたら次は庵の周りの薬草畑に水を撒く。

魔女が術式を施した水瓶は、水が減る度既定の量になるように自動で水を足してくれる。


これを商品にして近隣の村で売ったらどうかと聞いてみたが、これは精霊の助けによるところが大きい術なので先生の手を離れてしまうとどうなるかわからないとのこと。


先生は魔女でありながらその知恵は悪魔に力を借りる魔術に留まらず、精霊術やルーンというものを使う魔術など様々なものを使われる。極東の国の術の勉強もしているらしい。


先生曰く、「術には信仰が深く関わるから本来はいくつも使うものではないがな」とのこと。特に信心深いものの前では口にしてはいけないと。所謂禁忌とも言える行為なのだろう。


まぁ信仰なんて俺には関係ない、俺にとってはそう・・・・・・






唯一神がいるとしたらそれは先生なのだから!







******************







あつい、いきがくるしい・・・・・・それしか考えられなかった。

涼しい場所に出たと思った瞬間に気を失ったように僕は寝ていた。


次に意識が戻った時には埃っぽい木の匂いと鍋が煮える音がした。


寝ぼけて視界と思考がぼやける中、僕は自然とひとりの人間を目で追っていた。




「気が付いた

か。」


「あの・・・・・・」





思考がまとまらない、僕はどうしてここにいるんだっけ。





「お前はあの村の子供だったのか?」


「あっ・・・・・・いえ、余所で使われていましたけど、あの村に先日売られて・・・・・・」





そうだ、売られた村で生贄にされそうになって。どうにか逃げ出せたと思ったら周りが火の海に・・・・・・





「行く当てはあるか」


「ありません・・・・・・」





そういえばこの人は誰なんだろう、そういえば誰かに担がれたような気がする。状況から見て助けてくれたんだろうけど・・・・・・黒いローブを身に纏うその姿は、僕を生贄にしようとしたあの人たちを思わせる。





「行く当てができるまではここにおいてやる。」


「へ?」


「だが勘違いはするな、子供とはいえ私とお前は他人だ。お前もここで暮らす間は相応の労働を覚悟しておけ。」





行く当てなど見当もつかない、窓の外を見ると深い森の中のようだ。まず今の僕には生きて森を出ることすらできないだろう。出たところで、街に着いたところで・・・・・・また奴隷になるのが関の山だ。


魔女の召使い、今の僕にしたらこれはチャンスかもしれない。ここで魔女の力を僕も身に着ければ、人に虐げられる人生から抜け出せるかもしれない。





「はい、よろしくお願いします。」


「・・・・・・賢い子供だ。」





魔女の手が僕に伸びてきて、思わず目をつぶって身構えた。



次の瞬間頭に触れた手は、僕が知っている衝撃ではなく、親鳥が卵を羽で包むような優しい感触だった。

殴られたのではないと理解し目を開けると、魔女はもう鍋の前に向かっていた。





「今日は客扱いをしてやるが、明日からは働かせるからな。」





そういって差し出された皿の中の物体を“食べ物”だった物だと理解した瞬間、明日からは絶対に魔女を台所に立たせないと心に誓ったのだった。







*****************






「お前は子供のくせに料理ができるんだな。」





両頬にものを詰め込んだまま魔女は感心していた。昨日の態度から見るにこの人なら理不尽に怒ることはなさそうだろうと思い朝ご飯を勝手に用意した。



二日もアレを食べさせられてはさすがに参る。

自分の身のためなので反応を期待していたわけではないのだが、言い方が妙にひっかかった。





「えっと、味はお口に合いましたでしょうか?」


「・・・・・・?」




魔女は首をかしげる、そんなに変なことを言っただろうか?





「口に合うとはどういう意味だ。」


「はい?」


「お前の出身の地、特有の言葉か何かか?」


「えっ、いや美味しかったですか?と聞きたかっただけでそんな変な言葉を使ったわけではないと思うのですが・・・・・・?」


「ん?あぁ、そういうことか。」






魔女はひとり納得した顔で頷く。な、なんだよ一人で納得してないで教えてくれよ・・・・・・!






「私は人間と会話をした経験に乏しくてな。」


「はぁ」


「言葉自体は本や色々なものから学んだが、会話をしたことはほとんどない。基本的に人外としか話してこなかった。」


「人外・・・・・・?」


「母とは命令を一方的にされただけだったからな。それ以外は悪魔と精霊と森の動物くらいか。彼らは機嫌を窺うということをしないから、そういう言葉を知らないんだ私は。すまんな。」


「・・・・・・はぁ。」







――――――これが、ぼくがこの魔女から底知れない放っておけなさを感じた最初の瞬間だった。







今回も名前出せませんでした、まぁこの話終わるまで魔女の名前出せないんですけどね!!はやく出したいんですけど!!

というかまぁあらすじに出しちゃってるんですけどね!?


ようやく魔女のなにか抜けてる感じが出せてきたので嬉しいです。かわいいうちのクレメルのかわいいところもっと書きたいと思います。頑張ります。

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