第1章・3話・家業
「はよう」
「おはようじゃないですよ、今は夜です」
気だるげに挨拶をしてきたのは日中学校で会っていた、いけすかないイケメン教師の玉草だ。
「俺達あやかしにとっては夜が朝なの、分かるか?なのにお前と来たら」
「俺は人間なので─来ました、ほら先生準備してくださいよ」
「あやかし使いが悪いなぁお前は、こんなのが今の主とか俺可哀想─あぁ前の主の方が優しかったなぁ」
ぐだぐだとうるさいので、お尻からふさふさと生えているしっぽを思い切り引っ張った、すると痛みで飛び上がってとても面白かった。
玉草は普段あやかしとしての姿を隠して人間として生きている、この世界には玉草のように生活しているものが知られていないが意外と多い。
「にしてもあわれだなぁ、元同族と言えここまで堕ちればもう戻ってこれないだろ」
「─やはり駄目ですか」
「だなぁ、これは駄目だ妖怪になる前の憎悪とかが酷かったんだろ」
「元は雪女ですかね、氷だしてますし」
「雪女はやっかいだからなぁ、近づけない」
「だから準備しろと言ってんですよ」
「おい、けるな」
辺りを冷気で満たし雄叫びをあげている長い髪の女性を遠目から見ると明は札を準備した。
「じゃあいきますよ」
札を玉草の背に張り付けると印を結び呪文を唱えた。
「殺生石の呪いを力に変え我が身に宿れ白面金毛九尾の狐!真の名を玉藻前!」
呪文を唱え終えると白紙の札に狐のお面が表れ、明の頭に狐の耳が、お尻には九つの尾が表れた。
そして手元に扇を構えると明は雪女の妖怪の元へと飛び込んだ。
『ほぉらあれが光魔法だよあやかしの力を一時的に自分の力にする事の出来る忌まわしい力』
「主様?」
『あぁごめんね、大丈夫だよ話を続けようか、さっきも話したように妖怪は闇の魔法に失敗し負の感情に支配されたあやかしの末路なんだよ、そして君は唯一の私の成功例』
「私は主様の、成功例です」
『うん、そうだよ、ほら決着がつく』
──あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
最後の力と言わんばかりに一帯を氷で覆うと明に向かって氷柱を飛ばしてきた、玉藻前の力を使っている明にとってはなんら問題のない攻撃なのでそのまま扇で凪ぎ祓うと呪力を込めた尾で雪女を貫いた。
「哀れだなぁ、禁忌に踏みいるからだ」
「─勝手に憑依解かないでくれます?玉草先生」
「じゃ俺帰るな☆」
「──このチャラ男教師め!!!」
明との憑依を勝手に得と身軽そうに屋根に飛び移り闇に消えていった。
『どうだった?』
「勉強になりました、主様」
『うん、じゃあ私達も帰ろうか』
「はい、主様」
二人は闇夜に消え去った。
そして二人の姿を玉草はじっと見ていた。
「─あいつは、だぁぁめんどくせー」
頭を乱暴に掻くとスマホを取り出し、何処かへと連絡を始めた。