第1章・1話・学校
主人公の名前は荒屋明です。
───眠い。
明はそんな事を考えながら、教室の机に突っ伏した。
勿論、そんな事を考えていたのでぐっすりと先生が来るまでに睡眠に入ってしまった。
ざわざわと騒がしい雑音にゆっくり目を開けると、今まで人気のなかった教室にはじょじょに生徒が集まっているようだった。
しかし明には話をする相手がいるわけでもないのでまたゆっくり目を閉じて睡眠に入った。
【魔法学校・クリスタルボックス】
中学から大学までの一貫性の学校で、家柄や血筋関係なく、自分が保有する魔力量や魔法使用の成績なのでクラス分けがされている、国内唯一の魔法を専門に教える学校だ。
教師はこの学校の卒業生が大半で、外部からの関係者は特殊な事例がなければほぼいない。
明がいる国は魔法による差別が深刻な国の問題としてあげられるほどの実力主義の為、魔法をうまく扱うことの出来ない明は同学年の生徒に下に見られている、もっとも明がうまく魔法を使えないのには理由がいつくかあるのだが─。
バシンっと大きな音が頭上から鳴り響き、明は気だるげに目を開け、自分の頭をぶった人物に視線を向けた。
「おはよーさん、よく眠れたか?」
「─教師が人の頭を殴ってもいいんすか?」
ぱしぱしとバインダーを手に叩きつけながらニヤニヤと明を見てくるこの男は、明のクラスの担任、玉草妲金髪碧眼のイケメンだ。
「俺の授業で寝てるのが悪い、おら再開するぞ~」
切実に帰りたい、明は一時間目の授業にして早くもホームシックに陥った。
その後も夜の家業で睡眠不足の頭をなんとか動かし授業を終えると、そのまま明は机の中で札を取り出した。
───光を纏い闇の道標を探しだせ。
心の中で呪文を念じると札はひとりでに宙に浮き、教室から出ていってまった。札には妖怪の動いた後の痕跡を探すための術式がかけられているため、夜探し出すための補佐をしてくれるのだ。
明はその後も数枚の札を使い式神を外に放つとまた眠りについた、別段学校の授業が嫌いという訳でもないのだが、夜に動き回っている為どうしても昼間の内に睡眠を取っておきたいのだ。
こんなに寝ておきながら明の学校での成績は上から数えた方が早い、が明は魔法がとある事情でうまく扱えないためクラスは下から一番目になっている。
午前の授業が終わり、明は式神が持ってきた情報を整理すると指定の席につき、また眠りついた。
「だからお前は!俺の授業で寝るな!!」
本日二度目の衝撃で目を覚ました明の頭にはバインダーの後がくっきりと残っていた。