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黒と白の軌跡  作者: Majesty
幼年期
7/7

父親としての思い

ジークが部屋を出て少しの時が過ぎ、父上が長い沈黙を破った。


「アルフレッドよ少し場所を変えて話をしたいのだがどうじゃ?」


「私も同じ話をしたいと思っていましたが、場所が場所だけに」


二人の話に母上が入ってきた。


「じゃあ私の部屋にいらしてください。私からも話がありますから」


母上が自分の侍女を呼び部屋を準備するように伝えるとすぐに食堂から出て行ったと思えばすぐに戻ってきた。


「準備が出来たようなのでいきましょうか」


「では、母上は先に行っていてもらってもよろしいですか?私はマルクスに声をかけてから行きますので」


その言葉を言い終えると執事のノエットに近衛騎士団長のマルクスに私の部屋へ来るように伝え席を立った。



ノエットとアルフレッドが食堂を出て行った後、他の三人も紅茶を飲み終えると席を立ち母上の部屋に向かった。



ドアにトントンっとノックの後に外から声が聞こえてきた。


「陛下、お呼びとお聞きしました」


「マルクスか入ってくれ」


「失礼します」


入ってきたのは赤髪と大きな体が特徴的な近衛騎士団隊長のマルクスである。


「来てもらってすぐで悪いが今から母上の部屋で重要な話をするのでな付いて来てもらえるか?」


「それは、私が付いて行っていいお話なのでしょうか?」


「まあ、聞いてもらいたい話だが…他言無用で頼む。これは命令ではない、同じ子を持つ親としてだ」


「分かった」


「すまない」


会話を終えるとノエットとマルクスを連れ部屋を出て母上の部屋へ向かった。


ノエットがドアをノックした。


「陛下が参られました」


扉が開けられ中に入ると既に三人が座って待っていた。マーガレットのとなりの席に座るとマルクスが少し後ろに立ち、メイドたちがすぐに紅茶を机に置き壁の近くに寄っていた。


母上が周りに声をかけた。


「それでは少しの間出て行ってください」


「「「「「了解しました」」」」」


返事をした後にマルクス以外の騎士や使用人などが全員退室をした。


「それでは」と言った後に父上が耳ではよく聞き取れないような呪文を唱え終わると薄く膜が張ったように一瞬見えた後空気中に消えた。


「いつ見ても父上の結界魔術はすごいですね」


「伊達に長く生きているわけではないからな」


少し照れつつ答える父上に母上が笑みを浮かべている。


マーガレットが「風よ…」というと風が駆け抜けたかと思うと鳥のさえずりさえも聞こえない空間が出来上がった。

(マーガレットの風魔法はいつもすごいな)


「マーガレットはもう大丈夫なのか?」


「はい。最近は良くなってきました」


実はマーガレットはこの前に子供が生まれたばかりなのだ。子供は三人いて、もちろん長男のジークフリート、次男クラウス、そしてこの前生まれた長女のマリーである。


「それならいいんだが」


と言いつつマーガレットの手を握っていると少し怒気を含む言い方で父上が言ってきた。


「ここでイチャイチャするのはやめてもらえんか?」


「仲良くしていたらいいじゃないの。いつも隠れてジークフリートのこと見に行ってたことをばらしますよ?」


そう言われた父上がすごく狼狽えていた。


「な、なんのことかさ、さっぱり分からなんな」


やっぱり父上では母上には敵わない。父上を抑えられるのは母上しかいないのだ。


「そ、そんなことより話を始めよう」


母上が「ここまでにしといてあげますよ」といい父上をからかった後に父上が話を始めた。


「儂とアルフレッドは固有スキル心眼でジークが嘘をついているとわかったのだが、どう思う?」


「貴方それは五歳の話?それとも、ジーグのスキルのことかしら?」


「両方じゃ」


マルクスがその言葉に反応していたがさすが騎士団長をやっているだけあり言葉は発しなかった。


母上がその言葉を聞いて口を開いた。


「スキルの方は私の魔眼にも引っかかっていたのでわかりました」


母上の言葉にすぐに質問をした。


「それは水晶にですか?」


「ええそうよ。それにしてもすごく簡単な魔法だったから急いでたのかしら?」


「ということはアルフレッドお主もうジークに魔法を教える指示をしていたのか?」


「教える指示は一度もないです。あの家にある本も全て調べていますが、それらしきものは見当たらないので。マルクスはエドガーから何か聞いていないのか?」


「はっ!弟からは何も伺っておりません」


エドガーはマルクスの二つ下の弟なのだ。


「どうすれば良いと思いますか?」


「すぐにでも五歳の話を知っていたのか、なぜスキルを偽造する必要があったのか知りたいところだな…あと問題は目の色だ」


この国には神から授かった魔術によって目の色がその神の主色に変わるのだ。唯一主色から外れる創造神以外は。


「それはそうですね。目の色が黒で生まれた子供は古初代国王様しかいないですし、能力のことなど考えて隠したのではないでしょうか?そうでなければジークがそんな愚かなことをしようとは思わないでしょう」


「アルフレッドそれは親バカでは無いのか?」


この言葉に母上がすぐに返した。


「あなたは孫馬鹿でしょ?」


「ま、まあとにかく自分で打ち明けるまではそのままにしておくということでいいのか?」


「そうですね。あと、マルクスはエドガーにまだもう少しジークフリートの側にいて行動を監視しろと言っておいてくれ」


ここはあえてジークと短縮せずにジークフリートと言った。


「了解しました!」


「それではこの話はここで終わりにして、久しぶりに何か話し合いでもーーー」


久しぶりに父上や母上と話をした気がした。

その間ずっとマーガレットの顔はすぐれなかった。

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