二年後
二年経って僕は五歳になっていた。
エドガーの助言のおかげで魔術の本の基礎をはじめの一ヶ月で全部できるようになった。
魔術書の内容は以下の通りだ
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魔術書基礎
目次
一,魔素とは
二,魔素の操作
三,身体強化
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と言う感じになっていた。
子供向けなためすごく薄くできていた。
紙が高いため本を買える人が少ないが、この国には初代国王が作った学園と学院があるため、魔術を学ぶことは平民でも出来るのだ。
しかし、魔素は人間誰しも持っているため平民は無意識の間に身体強化をしている割合が非常に高い。
無意識の身体強化と意識して身体強化のレベルは天と地の差ほどだ。
例えるならば直列と並列の違いだ
短期戦か長期戦でその使い方は変わるが、
騎士になる者は大抵魔力を鍛える者が魔術師に比べて少ないが、鍛えているため鍛えていない農民や一部を除いた商人達よりは魔素が多いのだ。
四歳の頃より礼儀作法や洗礼式のことを専門の先生に習ったり、お披露目の服を仕立ててもらうために採寸をして疲れたり色々あった。
王族として生まれたため、王族の血筋に関しても少し母上に教えてもらっており、父上と母上以外に生存している王族は先王陛下であるお祖父様と先王の妃であるお祖母様がいるらしいが、朝に行われる洗礼式が終わった後に、昼食を一緒に食べてスキルの報告をする予定である。夕方には五歳になった貴族の子たちのお披露目がある。
洗礼式前日、朝起きるといつも通りの剣術と武術の鍛錬である。最近ではエドガーと騎士団の騎士の模擬戦を見て技術を盗みそれを本人達に打ち込む練習をしていた。
そして今日もエドガーに攻撃をする練習をしていた。
エドガーに向かって身体強化をして走って上段から切り下げ、そこから下段から切り上げるが、やはり体が小さいため体重もなく簡単にいなされてします。
「痛ったたっと。やっぱりエドガーの動きはすごい!」
「いえいえ五歳でそれほど動ける殿下にこそ才能があると思います」
それを受けて少し照れながらまた同じ攻撃を何度も繰り返して少し時間が経つと休憩になり一息ついた。
この国では一年が十二ヶ月であるが一ヶ月三十日あり、明日はちょうど十二月に三十日である。
洗礼式は一年の中で最後の日にされており、一年の最後を良く締めくくるためであると言われているが、一年の初めの月にしてしまうとまだ五歳になっていないものが出てきてしまうため一年の最後にしているらしい。
今の季節は冬なので今日は少し肌寒いがシリウスが入れてくれた紅茶で温まることができた。
「いつもありがとう」
「お菓子もどうぞ」
「そういえばここにいるみんなは僕が部屋を移動しても付いて来てくれるの?」
五歳になると離宮ではなく王宮で暮らすようになる。そのために部屋を移動するのだ。
エドガーが答えた
「いえ、私とヴァイスは殿下の剣術と武術の指南と殿下がもし王宮の外に行きたいとおっしゃられた時以外は特にすることはありませんので騎士団の訓練場にいる思います」
ヴァイスは僕を守ってくれている護衛だが、最近は結婚をするための準備に忙しくあまり顔を見ていない。
「そうなんだ。会える時間が少なくなって少し寂しくなるなー」
「そう言ってもらえて嬉しい限りです」
「私は殿下のお付きの執事でございますのでいつでも、何処にでもついていきます」
老執事のシリウスはこれまで通りついて来てくれるらしい。
今日の鍛錬も終えご飯も食べ、父上と母上は明日のことがあるため今夜は来れないと言われていたので、いつもより早めにベットに入って洗礼式で分かる自分のスキルが楽しみで少し夜更かししてしまったがぐっすり眠ることが出来たようだ。