初めての友達と勉強会と 後編
投稿が遅くなり申し訳ございません。色々な行事が重なりとても遅くなりました。「わがままお嬢様と怠惰な俺と」の前回に引き続きの後編になります。極力1話完結にしたいのですが長くなる場合は今回同様前後編で分けることがあります。
今回は投稿が遅くなりましたので普段よりも多めに書かせて頂きました。
勉強会当日、俺、美憂、神埼で家の近くにあるというスーパーで待ち合わせをした。そこで少しつまむ程度のお菓子や飲み物を買い、神埼の家へ向かう。家へ向かう途中、神埼の家とはどんな感じなのかと気になったので訊ねると、「普通よ」と返された。しかし、こいつの普通なんて信用できない。(別に信用とかする必要ないのだが)
普通と言いつつ、もしかしたらフランスのベルサイユ宮殿みたいなところにでも住んでるんじゃないかと結構本気で思った。そんな事を考えながらふと思い出したことがある。それは、これまで部室では触れてこないようにした神埼の"例"の趣味の事である。俺は、美憂に聞こえないように神埼に言う。
「今日、俺はともかく美憂がいるけど"例"の物なんかは大丈夫なのか?」
「当たり前じゃないの。ていうか、普段からママにバレないように隠してあるから安心よ」
ママ?パパならいいのか?と思いつつ普段から隠してんのかよ、どんだけバレたくないんだか。と心の中で呆れるように感心する。そうしてると神埼が立ち止まる。
「着いたわよ。ここが私の家」
と、目の前の家に指を指す。宮殿、とまでは流石にいかないとしてもそれでもでかい。うん。でかい。
両親がどんな仕事をしたらこんなの建てられるのか気になるレベルだ。
「何突っ立ってんのよ。二人のとも入るわよ」
目の前の家に若干圧倒されていた俺と美憂に神埼が言う。
「神埼さんのご両親、何されてるんだろうね」
と神埼に聞かれると失礼だと思ったのか、美憂が小声で訊いてくる。まぁそうだよな。俺も気になるし。
玄関に入ると神埼のお姉さん、とは言えないもののかなり若い神埼のお母さんであろう人が出迎えた。
「おかえりなさい。レイナ」
「ただいま。ママ」
親子の会話を訊き、少し気まずそうにしていると神埼のお母さんが俺と美憂を見る。
「え、えっと、レイナ?この方たちは?」
と驚いたような表情をする。
「今日、今度のテストの勉強会をするの。その、と、友達よ。」
後半ちょっと言いにくそうに友達という言葉を口にする神埼。まぁ確かに親の前で友達を紹介するのってなんか変に緊張するよな。(まぁ実際に俺はしたことがないんだが)しかも一人は男で俺だからな。この『俺だから』というのは、別に自虐とかじゃないぞ?本当だぞ?別に自分て思ってて虚しくなったりしてないからな?
「と、と、友達!? レ、レイナの!?……こほん。取り乱してしまい失礼しました。私、レイナの母の神埼藍と申します。いつもレイナがお世話になっております。」
と深々と頭を下げる。それにつられて俺達も頭を下げる。
「も、もう。恥ずかしいから止めてよ。部屋で勉強してるから邪魔しないでよね」
少し顔を赤らめながら階段を登る。
「「おじゃまします」」
この言葉は忘れない。最低限の礼儀だからな。
部屋に案内されて俺は周りを見渡す。うん。広い。
てか、今更だが一応女子の部屋なんだよな。なんもドキドキしねぇけど。
「じゃあ、早速始めるわよ。とりあえず最初は自分でやってみて。それで採点して間違ってたところを重点的に教えていくから」
神埼、もとい、神埼先生はまず一回解かせてみてから教えるタイプらしい。美憂に教えてもらうと解ける問題も重点的にやるから少し疲れたり疲れなかったりだ。その辺では神埼の方が楽っちゃ楽だ。そんな事を考えてる内に、二人は既に黙々と問題を解き始めている。俺もやらなければと問題集を開く。うむ。最初は物理か…なになに?分母を有理化して?…いや違ぇ。これ数学だ。アカン。ホンマにアカン。
そして、問題を解き終わった後、俺は美憂に呆れられ、神埼にバカにされ、逃げ場の無い空間になり気が重くなったのでとりあえずトイレにでもいくことにした。
えっと、階段を降りて左に曲がってすぐ右、とここかな。ドアを開ける。すっきりしてトイレから出ると神埼のお母さんとばったり会った。会釈をして通り過ぎようとすると、神埼のお母さんに呼び止められる。
「あの、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「あ、すいません。自己紹介もまだで。坂上一貴です。」
「一貴さんですね。私は名前の方で呼ばせてもらいますので、一貴さんも藍さん、と呼んでくださって構いませんよ?」
少し笑いながら気軽に接してくれる。
「では、えっと藍さん。よろしくお願いします。」
こちらこそ。と丁寧に頭をを下げる。改めて見ると本当に綺麗な人だと思う。神埼もまぁあまり認めたくはないが美人の部類だろう。しかし、藍さんはそれに、まさしく大人の魅力!というのを足した感じだ。
「一貴さん、レイナは普段学校ではどんな様子ですか?」
そんなことなら本人に聞けばいいのに。まぁ話したくないこともあるから仕方がないのか?
「普通ですよ。学校でもキラキラしてて、完璧で、周りからの信頼も厚くて負けず嫌いで、ちょいちよい余計なことをするって感じです。」
親の前で最後の方は言わなくてもよかったと少し反省しながら藍さんを見ると少し意外そうな顔をしていた。
「レイナのこと、よく分かってらっしゃるんですね。」
「はぁ」
別に分かってるつもりは無いのだがここで「そうでもないです」とは言わなくてもいいだろう。
「あの子、あなた達二人のがきっと初めての友達なんですよ?今まで誰かに言い寄られることは有っても自分から招き入れるなんて今までじゃあり得なかったもの。」
そうなのか。今までがどうかは知らないが、普段のあいつからは想像できないな。
「それに、アニメに夢中で友達よりも趣味に直行!って感じだったから心配してたけど、これで安心ね。」
安心されても困るんだが……てか、おい。ちょっと待てよ。え?バレてんの?オタク趣味のこと。え、けどあいつバレないように隠してるって。テンパリながらも俺は藍さんに訊ねる。
「え、えっとすいません。藍さん、神埼、じゃなくてレイナの趣味のこと知ってたんですか?」
「あら、一貴さんも気づいてたのね。ええ、それはもちろん。時々変な格好で出掛けるし、部屋のタンスの中の段ボールに色々隠してるし。そりゃあバレるわよ。」
おいおい。バレてるやん。俺の感心返せよ。
「気難しい子だけどこれからも仲良くしてね。一貴さん。」
「あ、はい。」
親が子供の秘密知ってますを堂々と暴露された衝撃に間抜けな返事しかできない。藍さんはそのまま優しく微笑むとリビングの方へと歩いていった。
あーこれ神埼には言わない方が良いよな。やっぱり。そう思い勉強会へと戻った。
ちなみに後日談だが、赤点は回避して、過去最高得点を取った。神埼先生まじパネェ
ここまで読んでくださりありがとうございます。
まだまだ拙い文章でお見苦しい点が多々ごさいますが、是非感想、注意点などを教えて下さると幸いです。