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Let's Play!  作者: 南河祐
1/1

〜記憶喪失×ゲーム部×謎少女〜

 目を開けると白い天井に薄い緑色のカーテン……病院なのか……?どこなのだろうか――いや、待てよ。そもそも『自分は誰だ?』名前は?年齢は?出身は?駄目だ何も思い出せない。

ここが病院なら本名はベッドとか部屋とかに書いてあるんじゃないか。ない。カーテンを開け部屋を見渡しても文字らしきものは見つからない。1人で入るには広すぎる病室には、白いベッドと、カーテン、大きめの磨りガラスの窓2つしか無かった。


 しばらく時間が経った気がする。部屋を見渡しても全く出口は見つからなかった。そのときだった。壁の一部が開き、白衣を着た眼鏡の男とそこそこ美人の看護師が入ってきた。「お目覚めのようですね。」多少不敵な笑みを浮かべていたような気もしたが、今は頼れる人はその人しかいなさそうだからしょうがなく訊くことにした。「あの〜僕って誰なんですか。」すると、男は答える「君の名前は、山西輝矢。年齢は16歳。高校生ですよ。」


 白衣を着た男の話を聞いていると、どうやら自分は事故にあって、その障害で記憶を無くしてしまったという。両親も同じ病院に運ばれたが亡くなってしまったという。「そうだ。山西君。今は6月だが君が通っていた高校ではなく別の高校に通ってもらうことになりましたから。とは言っても事故にあったときに名前しか聞き出せなかったから元の学校が分からないだけなんですがね。」「そんな驚いた顔をしないでください。お金のことは国のプログラム的なもので、援助が出るみたいですから。」「君は事故からすごい回復をしてね。あと1ヶ月ほどリハビリを頑張ってもらえば恐らく学校には行けると思いますよ。いや――若いっていいですねぇ。」というと、また男は笑った。「そういえば、言い忘れていました。私は荒川と言います。それで、こちらの看護師さんは佐山さんです。これから1ヶ月よろしくお願いしますね。」意外とこの人はいい人そうだ。よかったよかった。ただこれからの生活に不安しかない。とりあえず、自分は誰だ。これからどうすれば……虚無感だけが残った何もかもが抜けた抜け殻のように、そのまま数日を過ごした。




 もう、大体の気持ちの整理はついたが、不安だらけすぎる。与えられたやり直しのチャンスは生かしたいが、その不安はまだ新しい学校でいきなり転校してきてちゃんとついて行けるか友達はできるのか……とかではない。そもそも自分が誰なのかわからず、両親だってもう死んでいるというのに国のお金で学校に通えるというのも少しおかしなことかもしれないと思ったり、ただ、そんなことを気にしていてもどうにもならない気はしたり。1つ言えるのは時間は有限であり、短いのである。まあ運良く昔の自分がどうだったかは知らないけど『この』人生を楽しむとしよう!



 大体、目覚めてから一週間ほどが経過したある日。荒川さんはゲーム機らしきものを持ってきた。「これは、事故当時君が持っていたゲーム機の据え置きバージョンのものでデータを移しておきましたから、少しでも何か思い出せることがあることを祈って適当にこれで、遊んじゃって下さい!」と言うとそそくさと部屋から出ていった。「まあリハビリしてるか寝てるかだけだし少し息抜きにやってみるか。」

電源スイッチを押し、コントローラーを握る今はまだ何も思い出せないが記憶をなくす前もこうしていた気がした。ゲーム機が起動し終わった。ソフトは格ゲーやFPSらしきものと――ん?なんだこれは――ギャルゲー……んん。まあとりあえず間を取ってFPSでも……ゲームを始めた瞬間脳に激痛が走った。視界が白くなり何も見えなくなった。「ん、」数分ぐらいちょっと倒れていたみたいだ。貧血気味なのか?まあいいやってみよーっと。え?何だ?世界ランキングの記録はずっと8位だった。目覚めた一日前からログインしていないせいでだいぶ落ちているようだが。ネットワーク対戦のチームバトルを選び、マップを選択する。何となく懐かしい気もしたが多分気のせいデジャヴと言うやつか。基礎的な学習内容や社会の一般常識を除いて自分や周りの人に関する記憶がすっぽりと消えているから、恐らく以前の自分はやっていたはずだが覚えているはずはないのだ。ただ、プレイしてみると敵に反応して手が勝手に動く。体の感覚だけは忘れていなかったのかもしれない。このままやっていけば、このゲームのフレンドとか……って、誰もいないがまあとにかくだな何か思い出せるかもしれない。これからも続けていくとするか。こうして俺は世界ランキングを8位に戻して、貧血気味っぽいから早めに寝るとした。


 走れるほどにまで回復をしてきたある日佐山さんが一人で俺の部屋に来た。別に佐山さんが一人で来ること自体珍しくはないが、俺がいつもの通りFPSをしている結構遅めな時間に来たのは初めてだった。

「こんな時間にどうしたんですか?佐山さん。」と俺が訊ねると、深刻そうな顔でこう言った。「明後日から学校に行けることになったわ。でも、この先危険なことが多く待ち構えているの。普通にしていれば多分大丈夫だと思うけれど――」「とにかく深入りしすぎないように。それと今日がきちんと話せる最後の日だったの。最後のこれだけは伝えたくて……」ブーと電話がなった。「じゃあもう行かなくちゃ長居しすぎるとまずいから。」

『危険なこと』かぁ。いじめとかかな?怖いなー学校。中途半端な正義感で助けようとしたりしないでってことかな?まだこの頃の自分には知る由もない話ではあったが。


 「どうも、お世話になりました。」

翌日、1ヶ月ほどいた病院に別れを告げ学校に行くための準備を始めた。制服や教科書はもう準備されていたので、他に必要な文房具や日用品なども買いに行った。久しぶりの街は少し眩しい気もした。俺が暮らす部屋は、学校から10分くらいで、近くて安心した。不安しかないけれど、少しワクワクもしてきた気がする。ふへぇ〜辛いな〜病院に戻りたい。


 明日から通う学校での手続きを済ませ部屋に戻る。ずっと援助してもらう訳にもいかないから働かなきゃなとも思ったりするが、きっと学校に行き始めて始めのうちは忙しくてそんな暇はないだろう。





 つまらない学校生活が続く。私にはろくに友達はいないけど、作る気にもまあなれない。なにせ、もう4月から3ヶ月が経ち大抵の友達のグループは固まってきている。その中にぼっちの私が一人入る隙などあるわけがないのだし。別に一人なら一人で他人のことなんか気にしなくてもいいし楽で、このまま終わっていくのも悪くはない気もする。「――次、白谷さん」

「……はい。」「えっと、鈴木」「はいっ。」と言うような感じで出席確認の時間を適当にやり過ごすが、いつもとは周りのざわつき方が違う。

「何か転校生来るらしいよぉ〜!」「へぇ〜。男子?女子?どんな感じだろ〜」と、周辺の女子たちが何らやひそひそとではなく、割と大きめな声で話している。「転校生か……。」少し嫌な記憶が、いやなんでもない。適当に黒歴史を奥底に押し込む。


 ガラッと扉が開く。その先には、大体身長180cmくらいの細身の少年が入ってくる。顔は普通だが結構スタイルは良い。ただ、キャーキャー悲鳴を上げているのは馬鹿共だけで、もちろんこの私が動揺するわけがない(はず)。

「紹介します。山西輝矢くんです。」と、定番の紹介方法で紹介された。「じゃあ、一個空いてるあそこに座ってもらおうか。」うげっ、私の隣が……

 そして、山西は席につくとなんかよろしくとか言ってきたんで、軽く頷いて適当に外を見る。さっきまで降っていた雨は止み、梅雨空の隙間から光が差し込んでいた。クラスメイトが一人増えて少し変わるかもしれない。まだ6月。まだなんとかなる、はず……



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 俺は教室の前で呼ばれるのを待っていた。すぐに、先生は俺を呼びに来た。なんと自己紹介していいかわからない。なにせ記憶がないのだから。まあ取りあえず笑っておこう。現実がリハビリしてたときのギャルゲーと同じなら。「困った時は笑顔〜!」なんてね。

だいぶ強張った頬を緩ませ、そして俺は笑顔をつくる。「どうも山西輝矢と言います。急遽編入となってしまいましたが、宜しくお願いします。」

 今日からの俺のクラスメイト達はまあまあ反応は良さそうだ。『困った時は笑顔』か使えるなこれ。



案内された席は窓側の後ろの方だった。隣の人はなんか暗黒面に取り憑かれたかのような異様な空気を発していたが、一応話しかけてみよう。「白谷さん?……よろしくね」「……」反応は……ない。まっそんなもんだよね?!


SHRが終わるとザ・陽キャラって感じの昔の俺がどうかは解らないけど少なくとも今の俺は嫌いだと思う男女が駆け寄ってきて、根掘り葉掘り聞こうとする。ああめんどくせぇ……やっぱりずっと病院でゲームやっとけばよかったかもなあ。ただ、陽キャラに嫌われるとマズイ的なのは、日本人の本能に刻まれているらしく、記憶のない俺でも無視はやめておこうと判断した。そして、戸惑いながらもちゃんと会話をしておく。

「え、どこ出身?」「何中?」「ここ来る前はどこにいた〜?」「彼女いる〜?」一気に喋らないでいただけません?聖徳太子じゃないんで。一通り授業は終わった。1日目だし、ひとまず帰るか。

 こうして、あっという間に1日目は終わった。

 

事故とはいえ、知識や常識は消えていないのに、何故記憶が無いんだろうか……


「おはようございます!」今日もクラスメイトに昨日と同じように笑顔で挨拶する。「ねえねえ〜」と声をかけてきたのは同じクラスの黒縁メガネの真面目そうな人だった。「山西くんって、確かゲームが好きなんだよね?」

「そうだよ!君も?」

というのも、昨日の自己紹介で、好きなこととか趣味を言わなざるを得なかったから、リハビリ中にやっていたゲームを好きと言っておけばいいんじゃねぇか?と思ったりしたのである。

「そうそう。ゲーム部入らない?非公認だけど」

え?非公認なの?どこのゆるキャラだよ。それってまずくない?という顔をしているとその人は

「大丈夫。部屋は勝手に借りてるけど、校則でゲーム機持ってきちゃだめとは言われてないから〜」

え?それ、大丈夫っていうのかな?真面目そうなのに結構爆弾発言するのねえ。やっぱ人は見た目によらないみたい。まあ、いいのかな。これが自由な学校の利点かな?なら、申請すればいいのに。ま、そんなに忙しくもないし行ってみるか。


 部室(勝手に占領してる)は、4階の図書室の奥にあった。扉を開くと部屋には2人(男女1人ずつそれに女子は結構かわいい。)

「あ、どうも昨日転校してきた山西と言います。」

しーん。あれ?誰も反応してくれないんだけどメガネくん?

 大きめのデュアルモニターには、FPSらしきゲームがうつっていた。

(あーこれか。確かこれはATJとかいうやつだったかな?病院でやったかも。)話しかけないほうがいいな多分と、体の向きを変えようとすると、女子が、「あんた、このゲーム知ってるでしょ。ちょっとやってみなさいよ。はい、これ。」と言って渡されたのはコントローラーだった。




「おりゃおりゃおりゃー!」さっきまで無言でゲームしてた女の子が叫んでるんですが。俺のせいでなんか白熱してるみたい。二人でタイマンしてるだけなのになんか熱いぞこの子。「3、2、1、0」ゲームが終わった。俺は16キル0デス、相手は言うまでもないだろう。すると、「隣からあの葉瑠を破るとは……やはり俺の目は間違って……いなかった!!」あのぅ、この人中二病入ってません?

「山西だった?あんた、何者?」と葉瑠さん?に聞かれた。

「いや、別に普通の高校生だと思うけど。」それしか、答えられない。記憶がない事実を言う訳にもいかないのだし。

「そう。ならいいけど。」なんか不思議だけど面白い、この人。ゲームに熱中してるときとかマジ沸騰レベルなのに他の時は氷点下。

意味深な質問はされたけど、大体良さそうこの部活。奥の男子はとてつもないオーラ放ってるけど……

「こんちわわー」寒い大分古そうなギャグセンスの欠片もない液体窒素をぶっかけてきたのは、リア充オーラが漂っている女子だった。こんなところにこんな人も来るのか……やっぱり見た目に寄らな

「はる〜今月発売のゲーム全部買い占めてきたよぉ〜。」こいつもゲームオタクかいっ。「おっと、ところでこの人誰?見たことないけど。」

「これは、東山。昨日転校してきたらしい。」なんだよ、負けたの悔し過ぎかよ。俺をモノ扱いしてさらに、名前全然違うし。

「へぇ〜この部活入るの?非公認だけど。」あ、やっぱりそこはみんな念頭には置いているのね。

「入ろっかな。暇だし。でも、この部屋にあるような豪勢なパソコンじゃなくて、家庭用のゲーム機しかないけど。」

「なら、稼ぐのはどう?」「どうやって?」

「『実況プレイ』ってやつ。わかるでしょ?」

「あ。うん。でも、それで稼ぐのは難しいんじゃ?」

「まあ、そうね私はやってないけど男たちでも、月10万くらいしか、儲かってないし。」

「結構儲かってるよねそれ?」俺の言葉は無視され、

「それで、この部活危ないんだ〜。学校からちょっと注意受けててさ。ちゃんと部屋の使用代として料金払えと。」あ、バレてたんだ。俺がいたら余計まずい、ような……「でも、秋までに実績出して部員さえ集めれば何とかなるみたい。」やっぱり、この学校そこらへん自由だな……普通だったら確実に潰されているだろうし。「なるほど、そんで部員集めるために声かけてたんだ。それなら、手伝うよ。力になれるなら。」みんな、約二名を除いて反応はよかった。すると、すぐに葉瑠は俺の前に来て「さ、パーツ買いに行くわよ。」と言われた。「また始まった。」と呆れた顔でメガネは言った。

「あの、お金ないんですけどぉ?」「安心してツケにしとく。十日で一割ね?」「いやおかしいでしょ?」



と言う感じで2日目には、もう部活("今"は非公認)に入ってしまった。ここから新しい学校とゲーム部(非公認)での生活が始まった(気がした)。


 その後、葉瑠さまに学校から近くの結構大きな商店街に連れて行かれた。今の時代の商店街にしてはとても人通りが多く、外国人の姿も見られた。それもこの都市の中心街から少し離れたぐらいでここら辺の人からしてみれば、誰もが知っている所だとゲーム部(非公認)の皆は言っていた。アーケードがあるところから少し離れると、アニメ系の店やゲームの店など二次系の店舗も立ち並ぶようになってきた。そして、目的地のパソコンショップについた。店に入ると、モニターやスピーカー、パソコン本体がずらーっと並べられていた。奴を除くゲーム部(非公認)員は、吹っ飛んでクロックがなんやらとかグラボの10世代目が何らやとかで物議をかましていた。

奴らがそうこうしていると、俺は、その隣にあったかなり存在感を放つバソコンに惹かれた。ノートパソコンだけど、背面のラインとかキーボードのライトがさり気なく光っているのがゲーミング用っぽくてダイナミックでカッコいい。値段もダイナミック……だけど……。(21万。)

 部員の方々は、買い物を済ませると喜んで、店を出て行く。ところまでは良かったが次の店へ行ってしまった(新入部員の扱いがおかしい。)葉瑠さまは俺のとなりに残ってくれた。

「先に帰ってよっか〜!」

「……はい。」

「そういえば、さあ~さっき見てたの欲しいの?私的にはデスクのほうが色々いじれていいんだけど。」

よく見てるなこの人……

「まあ、なんでもいいんですけどね。ゲームが快適にできれば。」

「じゃあ当分の間私達の1世代前の余ったパーツで、組んだパソコンでいい?多分金銭的な問題もあるし。」

「いいんですか?ありがとうございます!」不思議だけど良い人っぽい。



ただ、この部活の人は学校からの支援もないのにどうやってパソコンの部品揃えてるのか、両手で持っても随分と重いパソコンを抱きかかえる帰り道の途中ふと思った。まあ、明日聞いてみようかな?


 次の日の放課後部活に行くといつもとは違った。扉を開けると、いつもとは違う少し緊張感が漂っていた。部室(占領)では、いつもバラバラのはずのゲーム部が珍しく話し合いをしていた。

「んじゃあ、今度の大会に勝たないとまずいってわけね?」

「あ、山西だっけ?」と名前の知らない男子部員が聞く。

「うん。それで、なんの大会なの?あと、勝たないとまずいっていう理由は?」部員が少し深刻な顔つきになるとこう言われた。

「大会に勝たないと廃部確定。予算も得られないってわけ。」

「実はこの前いろいろあってエースがやめちゃって。いつもなら楽勝なんだけど。」

どうやら、ギリギリゲーム部が活動できているのも、大会のおかげで、財源もそれってことみたいだ。それで……「山西くん、大会に出てくれない?」

――――――――――――――1章-2に続く――――――――――――――

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