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「お前達、馬鹿だなぁ……」
一国の王妃であるのに、何故が話し方が男勝りな母上の言葉に俺達は互いに肩を震わせた。
あまりに呆れたような口調だったせいもあるのだろう。
俺は兎も角、兄は顔を少し青ざめさせていた。
「私達はお前達を分け隔てなく育て、接してきたと思ったんだが……親の心子知らずとは言ったもんだな。」
そういった後、母上は俺達に向かって両手を振り上げた。
殴られるのかと思って二人して目をつぶって下を向いたが、振り下ろされた手は、そっと俺達の頭の上に留まった………かと思ったら、勢い良く頭を撫でられ髪をぐしゃぐしゃにされた。
「いいか、よく聞け。」
目を開けて前を見ると、慈愛に満ちた瞳を俺達に向け微笑んでいる母上の顔があった。
「私達はお前達を愛している。その愛を疑うな。それと、今からいうことは母としての私の気持ちだ。父上の気持ちは本人に聞け。私では分からんからな。」
俺と兄は頷いて母上の次の言葉を待った。
「話す前に、お前達ちょっと間をあけて私を座らせろ。母を労われ。」
そう言われ、慌てて俺と兄の間を空け母上を真ん中に座らせた。
母上は足と腕を組み、空を見上げながら自分の気持ちを話してくれた。
「まずは何から話そうか……」
少し思案したあと、母上は兄に向かってこう言った。
「お前は私の事を母と思っているか?」
「えっ?」