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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

掌編小説

さらば、愛しき友よ

作者: 風富来人

 俺は今、かつての友に銃口を向けている。

 酒を酌み交わしながらお互いの夢を語り合ったかつての友に……。

 あの時飲んだ酒は、美味い酒だったな。

 もうお前と酒を飲めないと思うと寂しくなるよ。

 わりい、お前はもう酒が飲めないんだったな……。

 お前は夢を叶えた。

 子供の頃から抱いていた夢が叶えられて良かったな。

 だが、お前は夢を叶える方法を間違えた。

 お前は、自分の夢を叶えるために、悪魔に魂を売っちまった。

 今のお前が歌う歌は、今の俺の耳にはとても耳障りに聴こえる。

 昔のお前なら、もっと美しい声で歌ってくれただろ?

 今のお前が綴る詩は、今の俺の心には届かない。

 昔のお前なら、もっと優しい詩が書けただろ?

 今のお前が創り出すあらゆるモノが、この世界を汚していく。

 そして、お前自身が汚れ、傷つき、壊れてゆく……。

 お前は、いつの間にかモンスターになっちまった。

 お前は、悪魔に魂を売り渡し、夢を叶えた夢を見ているだけなんだ。

 お前が汚れ、傷つき、壊れてゆく姿を、俺はもう見たくないんだ。

 俺がお前の夢の続きを見させてやるよ。

 昔は楽しかったな……。

 俺の目から涙がこぼれた。

 俺は涙を拭い、かつての友に向けた拳銃の引き金を引いた。

 一発の銃声が悲しく響いた。

「ア、アリガトウ……」

 かつての友は、俺に感謝の言葉を述べてこの世界から去っていった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 一言一言が素晴らしく完璧にはまり、背景が気になる……!とドキドキしながら読み進めると、明かされませんでした。 しかしここを読むと、現実だったのですね。だからこその重み。書くことで少しは昇華…
[一言] こんにちは! どきどきしながら、読んでました! 魂を売っちゃった… 私は、魂の無い躰でも、ぎゅって抱き締めて 戻る事のない魂が、戻ると信じながら 抱き締めているかな~ なーんて…
2014/10/07 20:52 退会済み
管理
[良い点] 男はしばしば自分自身と会話します。 もちろん女性も同じことをするでしょう。 懸命に生き、目標を掴んだときにふと我に帰る。 若き日の純な心と向き合うときがあります。 若かった自分が賤しん…
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