ONLINE ASSASSINs 第3話
オンライン世界、それは俺の予想をはるかに超越するものだった。
草、花、木そして運ばれてくる風。それら全てがリアルと変わらないのが驚きだ。
さらに驚いたことに、自分自身がゲームの中に入っていることである。
今まで体験してきたゲーム全ては、立体感的な物はあったが、ここまでリアルに表現できるのはすごいと思う。
しかし、そう平和なことを考えているのは俺だけかもしれなかった。
その瞬間だった。
いきなり、落雷に襲われた。
とっさによけ、次の行動に入ろうとする。
隣にはシンジもいた。
「シンジ!これは?」
「来たよ・・僕らにとっちゃ初めての戦いだ。」
「え・・?」
真面目な顔で先を見据えるシンジ。
その先には落雷の犯人らしい人物が、見下すように見ていた。
「おい!シンジ!でも俺ら武器持ってないじゃねえか!」
パニックになりかけてる俺にシンジは冷静に応答した。
「大丈夫、自分のステータスを見てくれ。」
慌てながら俺はステータスを見る。
「そこにある武器から何がいいか選べ。」
考える間に、敵がさらに雷で攻撃してくる。
「サンダー・シンセンス!!!」
雷が地面を這うように向かってくる。
「くっ!」
必死に避けながら武器を選ぶ。
「これだ!!」
「まだか!ソウヤ!!」
「決まった!!」
シンジも防戦一方でなかなか攻撃の隙を見いだせないでいた。
俺の選んだ武器は「短剣」だった。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
二人がかりで敵を迎え撃つ。
しかしだ・・・・・・・・。
「なぜだ?!クソッ!」
敵に攻撃が当たらない。
「フフッ、ガキが来るとこじゃねえんだよ。ここはよぉ!」
敵の攻撃がさらに重みを増してくる。
「死ね、エレキ・グランド!!!!!!」
敵の持っていた斧が眩いほどに輝き始める。
「ソウヤ!まずい!スキルだ!」
「スキル!?」
「とにかく避けろ!!!」
「遅いわ!!塵とともに消え失せろォォォォ!!!!!」
天変地異の如く斧に空が共鳴していた。
「うわあああああああああああああああ!!!!!!!!」
まずい・・・・死ぬ・・・・。
立ち込めている煙の中、俺の意識は朦朧としていた。
俺は・・どうなったんだ・・・・?
「その短剣が泣いてるよ、あなたはもっと強いはず・・・・。」
どこからか声が聞こえてくる。
シンジじゃない。
この声は、どこか聞き覚えがあった。誰だろう・・・・。
「短剣の力、俺の力・・・・・・。」
なぜか、力がみなぎってくる。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
短剣からエメラルドのオーラが出ていた。
「なんだ?!」
敵が驚きを隠せないでいる。
「あ・・あれは・・七星剣の一つ?!」
「インフィニティ・スパイラル!!!」
自分でも驚く程にスピードが増していた。
「咲け!七星剣!!」
俺の叫びに答えるように短剣が共鳴した。
「ぐぎゃあああああああああああああああああああ!!!!!!」
「ハァ、ハァ、ハァ・・・・。」
力尽きたように俺も倒れる。もう・・だめだ・・・・・・。
それにしても、あの時聞こえてきた声は誰だったんだろう。
それだけが分からなかった。どこかで聞いたことがある・・・・。
目が覚めると、目の前にはボロボロのシンジが座り込んでいた。
「目が覚めたか、ソウヤ!」
「うっ!」
体を起こそとすると、体中に激痛が走った。
「しばらく体を起こすな。」
「そうするか・・・・。」
「しかし、あいつをひとりで殺るなんておもえすごいやつだったんだな」
「相手は、そんなにすごい奴だったのか?」
「ああ、あいつはこのオンラインサイトの会社が作った殺人鬼だったんだ。」
「決めた。俺、幼馴染助けて絶対に現実に帰る」
「ああ、その時は俺も一緒だ!」
「そういえば、その短剣の名前は決めたのか?」
シンジが質問してくる。
「うーん・・・・・・。」
名前といっても特に考えていなかった。
でも、あの時、確かに覚えてる。
この武器は七星剣の一つだということを。
「決めた・・・・。」
「エメラルドシザー」だ。