ONLINE ASSASSINs 第2話
夕日に照らされながら、俺は帰宅した。
隣には凛もいる。
PCをすぐに起動させて、オンライン暗殺の公式サイトにカーソルを合わせた。
不気味だ・・・・・・。
それがこのサイトの第一印象だ。
「そんなに怪訝な顔しなくてもいいよ、蒼哉。」
俺を慰めるように言う凛。
しかしだ、初見でこのサイトを不気味じゃないという奴がいるだろうか。
全画面に血液が飛び散った跡があり、文字がいい感じにぼやけている。
もう一度言うが、かなり不気味だ。
「おい凛、このサイトホントに大丈夫なのか?」
「大丈夫、大丈夫。」
かなり不安だが、ここは信じるか・・・・。
「おい、お前コーヒーいるか?」
「あ、頂戴いたします。いつものやつね。」
「はいはい」
「いつものやつ」と言うのは、ミルクとシュガーをかなり入れた、
激甘コーヒーのことだ。
外見は大人びてるくせに味覚はガキだ。
コーヒーは一応、豆から挽いて作る。
最近は、たいていインスタントだが今日は挽いて作ろう。
コーヒーを作り終え、俺はPCのある部屋に向かう。
扉を開けて中にいるはずの人物に声をかけた。
・・・・・・・・・・。
「え?」
つい素っ頓狂な声が出る。
いない・・・・・・。
先程まで、目の前に映るイスにいたはずの凛がいない。
いたずらで隠れているのかと思うが、流石にそんなことをする年齢ではないだろう。
何が起こったかわからない俺は、ふとPCを見る。
そこには、意味深な文字が綴られていた。
「ダイブ完了致しました。」
意味がわからない・・・・。
どういうことだ?
とりあえず、公式サイトの画面をホームまで戻し、ヘルプを何気なく見る
それは、驚愕のものだった。
「本サイトのオンライン世界にダイブすると、ある条件を満たさなければ、そこから退出することが不可能です。気をつけましょう。」
「なんだそれ?」
凛は急にいなくなった。
そこから推測されるのは、考えたくもないことだった。
俺はさらにヘルプを読み続ける。
殺し合い、グループ制、装備、暗殺・・・・。
そして、オンライン世界への入口。
やはり、俺も行くしかない。
このままでは、凛が死んでしまう!
なんのためらいもなく、俺はオンライン世界への入口をクリックした。
すると、突如画面が暗くなり、一瞬のうちに俺の意識は遠のいた。
「くっ・・・・」
誰かに肩を揺さぶられ俺は目を覚ました。
そこにいたのは、俺よりも小さい一人の少年だった。
「やっと、起きたか。随分と遅いお目覚めだな。」
俺よりも背丈は小さいクセにかなり、大人びた口調だった。
「お前は誰だ・・・・?」
「このサイトがグループ制で殺し合うってのは知ってるよな?」
「ああ。」
「俺はお前と同じグループになったシンジだ。よろしくな。」
「そういうことなら分かった、よろしくな。」
「お前の名前はなんていうんだ?」
「俺の名前はソウヤだ。」
「ソウヤか・・・・。」
シンジが考え込むように呻く。
「どうかしたか?」
「い・いや!なんでもない。」
「グループって俺とお前だけなのか?」
「いや、あそこに誰かいるのがわかるか?」
海岸の崖の方に座って何かを眺めている女がいるのが分かった。
「ああ、いるな。」
「あいつもグループなんだけど、どうもワケアリらしいんだ。」
「そうか・・・・。」
どことなく、凛に似てる不覚にもそう思ってしまった。
「ところで、どうしてソウヤはこんなオンライン世界に来たんだ?」
言うべきか迷ったが、いずれは言うことだろうと思い口にした。
「俺さ、正直こういうことしないタイプなんだけど幼馴染の子が行方不明になって探すためにここまで来たんだ。」
「そうか、やっぱみんなそれぞれあるんだな・・・・。」
悲しげな表情でシンジが口を開いた。
「俺は、彼女をある男に殺されてさ、それで復讐を遂げるためにここへやってきたんだ。」
吹いてくる風が俺の髪を揺らした。
そして、その風は高く、高く舞っていった。