ONLINE ASSASSINs 第1話
夕暮れの教室で、俺は一人黙々と提出課題をやっていた。
淡々と文字を書き連ね、残りあと一枚になった時だった。
教室の扉がガラッと開いた。不意に扉の方へ目をやる。
そこには、見慣れた顔があった。
「やっぱここにいたかぁ、早く白状したら済んでたのにね。」
「うるせえな。見つかったもんはしょうがないだろ・・・・。」
クスクスと笑いながら、目の前の幼馴染はそう言った。
幼馴染だけど、正直俺にはもったいないと思うほど完璧な奴だ。
名前は、鈴宮凛。運動では、県の陸上大会で1位。
成績は常に1位を争っているぐらいの学力。ルックスもかなり良く他校の男子にも名が知れ渡るぐらいだ。加えて友達も多数。
俺と比較すると、まさにウサギとカメぐらいだろう。
「まあ、いいや。とりあえず終わるまで待ってあげる。」
「なあなあ、待ってくれるんだったらラスト1枚、課題やってくれないか?」
長時間ペンを握り続けて、俺の右腕は悲鳴を上げていた。
「バカ、自分でやりなさい。」
「ええぇぇえええぇ、頼むよ、凛女王様、いや凛女神さま!」
必死になって懇願しながら煽て上げる俺。
「やめてよ、照れるから・・・・・・。」
グッ、可愛いなこいつ・・・・・・・・。
頬を紅潮させて、目をそらす仕草がチート並に可愛い。
それでも、グッとこらえて、
「プッ、チョロすぎるだろ・・・・。」
つい、口から出た言葉を後になって抑えるがもう遅い。
「騙すなんて・・騙すなんて・・蒼哉ァァァ!」
先程の可愛さはどこに行ったんだ!
恐怖の眼差しで見つめてくる凛。
「待て!分かった、分かったからァァァァァ!」
次の瞬間、俺の悲鳴が、校舎中に響き渡った。
ようやく提出課題を終わらせて、職員室に持っていこうと思っていた。
その時に、唐突に凛が口をへの字に曲げて何か考えていた。
「どうしたんだ?物騒な顔して。」
「いや、蒼哉は知らないと思うだろうけどさあ一応聞いてみていい?」
俺の知らないことってなんなんだ?
つい頭上にはてなマークが浮かぶ。
「ああ、何でも来い。」
「あのさ、オンライン暗殺って知ってる?巷じゃあ、都市伝説にもなってるんだけど・・・・。」
聞いたことがある名前だった。近頃、クラスの一部にもそういった話題が出ている。
「まあ、名前だけなら知ってるよ。」
「それなら話が早いわ、私と一緒に少しやってみない?」
コイツは昔からそうだ。流行っていることがあればすぐに食いついて、実践しようとする。いわゆる「ミーハー」ってやつだな。
「でもそれって安全なのか?クラスでも結構不気味な噂を聞くんだが。
「大丈夫、大丈夫ちょっとだけだから。」
ニコニコしながら凛が言ってくる。
「しょうがねえな、じゃあ俺の家についてこいよ。そこでやろうぜ。」
「え・・・・。やるって何を?」
凛が意地悪そうな笑みを浮かべて問い詰めてくる。
絶対技と勘違いしてるな・・・・。
「うるせえ、いいから俺ん家に来い。分かったな?」
「ハイ、ハイ」
ニヤつきながら言う凛に呆れながら職員室に提出課題を持っていった。