バトル中に何か理解できないトラウマでたら、こまるよね。僕は夏のトイレで3時間苦しんで出られなかった過去があるよ。あっはっは(゜∀゜
……雪崩だ。
いや、白い雪とか氷の雪崩ではなく、
なんというか……色で表現を先行させるなら、
灰色とか茶色の混ざった、小汚い雪崩……だろうか。
だから僕には経験不足で意味が判らない。
でも三人はたんたんと装備を背中から外して身構えていて。
「なにかな、あれは……」
聞くしかない。
で、
「ぼくでん、警戒しろ、戦いの勃発しか気配が来ないぞ! あれは――」
「あれは――」
「あれは――」
「……わかりました。わかっちゃいました。
うっわぁ。
三人の兄貴……、もう、だめだぁ……。
あれは、だめだぁ……」
僕も気づいた。
そしてげろ吐きそうになった。
だってあれはネズミ。
どうみても、
いや、その前に今から言う言葉を想像してほしい。
あれは、人間等身大の――ネズミだ。
1M80㎝くらいのおおきさの、ネズミ、尻尾の長さ入れれば2M越え余裕。
それが、数が数えられないくらい雪崩ってきたのだ!
「嘘でしょ、アーノルドさん! 敵って最高8匹が対峙する最大数って、小学校時代に習ったのに、あれどうみても、
韓流ブームで調子にのったチョンチョンニダニダ民が、広島原爆投下の日に、黄色いシャツ着てリトルボーイって赤文字書いて、スタジオのソファーでオラウータンがジャンプするかのように跳ねて、ファンの女の子を、鬼女にクラスチェンジさせて、推しのTV巨躯不治TVを相手に大げんか!
賛同してデモ行進北、ちょん、豚オーク熊ぷー民の奴隷オールドメディアの報道2千人。
実際は2万越え余裕っす!
で、韓チョンニダ民のブームも、まっこきも、ジャップ用は痰を入れてかき混ぜて出荷させてやんよキムチんこ!
雑誌まで「デートの前には高麗ニンジン!』
とか、そんなの食ったやつとキスしたくないわ!
で、世間を騒がせたと幻の碑文、板、に、載ってました!
まさにそのデモ隊結局8万とか20万とか噂めちゃくちゃ、最後は国会まで目指して、屋台はでるわ、おじいちゃんがお孫さんの手をつないで参加で、お祭り気分で、連中を追い出し、ジャップンに海底トンネルつくろうとしたけど、それで破壊して、もう海水いれてやろうぜ!
とまでいわしめた伝説の大行進!
その過去ヴィジョン博物館で、見た事のある人数に匹敵する敵の数ですよ!」
「長い説明ご苦労さん!
お前ら気合入れろ!
アルフォンス、骨は拾ってやる、あの20万匹の人間大大ネズミ全部に超広範囲ヘイト発動させろ!
お前が食われてる好きに、ランランして、ミナゴロシにしてくれるわ!」
「さすが、我らが無敵のソードマン・アーノルドさん! そこに痺れる、憧れるううう!」
その言葉に、一瞬、
「あれ?」
僕は何か、大切なものを目撃し、忘れているのでは?
そんな疑問と、男同士で、三人が、真夜中に、
「どうしたぼくでん!」
「――は! あ、いえ、なんでもありません!」
忘れた!
記憶が飛んだのだ!
でも、僕は森の中にあった壊れた巻き割り小屋の裏で、思わず――
ああ、僕はいつの間にか……汚奈スとマン。
割愛!
なぜ、こんなにうずうずするのだろう。
理由は解らない。が。
戦線復帰。
「この非常時に小便ですか勇者殿! さすが貫禄がありますな」
隣の神父から諫めとも感動とも違う何かを感じて、
さらに身体がうずく。
きっと、戦い前の高揚感だ。
なによりもう、ヘイトが開始されて、そんな幻想ぶち殺してやるといわんばかりに、大ネズミたちが飛び掛かってきた!
「ううううううううううわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
いや、悲鳴あげさせてよ、想像してよ、
自分の身長と同じかそれ以上のネズミだよ?
まともにそんなの玄関から部屋に入ってこんにちはしてきてみ?
普通気絶する?
気絶しなくても、悲鳴上げて逃げる。
つっこまれたらげっ歯類。
最近だらけの牙で噛まれただけで、感染症、破傷風、ほっとけば壊死余裕案件。それが20万きたら、どうする?
――そして、問題のバトルが勃発した。
「――アスクレピオス! 回復! 回復! 回復だってばよ!」
「まずいですね、これ、どんどん囲んでますよ。
魔物には知性と連携をとれる知能がある。
私が聖教区で出した論文は間違っていませんでしたね。
しかしこれはいけません、私の論文が正しいのなら、ここは彼らの獲物を誘って殺す、キルゾーンにしてます!
あの雪崩は、獲物が来たが為に一斉にどこかに潜むボスが命令して雪崩ってきたのでしょう。
もう、これはさすがに、覚悟をきめませんと」
アスクレピオス神父も劇画調の顔で、頬に一筋伝った汗を僕は見逃さない。
「ふん、まんまと連中の罠のド真ン中、どつぼにハマった、というわけだ。
だがしかし!
むしろ、ここを突破すれば奴らの生存戦略は逆に失われる事を意味している。
それが総力戦に挑んだ者の末路!
ゆえに、これは連中の落ち度!
まさに諸刃の陣形よ!
ここで連中を一気に根絶やしにすれば、アリアサンのネズミ事情は一気に解決し、こいつらがさっきの性病人種の細菌を、死体遺棄を土葬とかほざく基地害どもの寝言で汚染される大地と大気、その手助け君を皆殺しにできる!
これはピンチだからこそ、チャンスだ!
ならば力で踏み込むぞ!」
……情けない。
だから僕はいつもこんな心が弱いんだ……
今のきいた?
アーノルドさんのポジティブシンキン、聞いた?
あれだよ、まさにあれが英雄とか勇者の発想だよ。
20万の敵にビビッてどう逃げるか真剣に考える時点で僕はまだまだ勇者足りえない。紋章は手の甲に輝いても、まだまだだ。
冒険仲間の声を聞きながら、まるで他人事のように思ってしまい、
動けない体で、ただ、空を眺めている奴がいる。
つまり、僕。
呆けてる僕。
そして僕は、……勇者だ。
なんだろうね。
何故か彼らに追いつけない。
同じレベル1なのに……同列で肩を並べても、
何か、こう、レベルが本当は追いついていない。
マッチョマンと比べると基本ステータスは若干違うだろうが。
ここまで圧倒的に違う、と、感じるモノだろうか。
何故だろう。
そして彼らは、こう、酒場でお話を聞いていたからだ、とか言っていたが、戦いに慣れてる。
慣れ過ぎてる。
だっていつも連携完璧だよ?
動きも、攻撃も、防御も、流し方も、知識さえ、全部僕は劣っているのを痛感する。している。
皆、おじさんだから?
違う――
直感が、何故かそう告げる。
だけど、彼らと素質が違うのだとしても、いつまでも負けていられない。
だから、
「うおおおおおおおおおおおおおおお!
マラ!」
僕の持てる初期魔法、火炎の呪文が天に掲げた鋼の剣から、
幾つも幾つも火炎の魔法弾が着弾!
巨大なネズミは、脂汗でもかいて生きているのか。
一気に爆破!
と同時に錬爆おこしてばよえーんばよえーんと、情けない効果音残して燃え広がる。
「おおお、勇者どの、それすごい!」
――うん、僕も凄いと思う。
けど、連中も経験があるのだろう。
なんと燃え広がった体を大地で回転、
その砂ぼこりで鎮火させてしまうのだ。
が、
「この間合いなら、行ける!」
「アーノルドさん、やるっすか?
ならおいらもやるってばよ!」
「おお!」
「主よ、仲間にギガ・売・斬る斗!」
僕たちの体の筋肉一気に膨れ上がって、元に戻って、何かが体に宿っている!
行ける!
アーノルドさん、アルフォンスさん、そしてアスクレピオス神父が順番に叫び!
「空・破・斬!」
奇妙なポーズをとったアーノルドさんの剣が、見えない!
それほどの動き。
超巨大な大剣を、目に見えない速さで、どうやら振り払う横薙ぎだったらしいが、
アーノルドさんを中心に放射状に何かが通過、ネズミが目の前から片っ端から上下分断。
さらに側面から雪崩ってくるネズミに、
「シールド・チャージアタック!」
めっちゃ衝撃波と大地に踏み込んだが為に振動を与えて、大盾で突撃、巨大ネズミが柔らか粘土のようにぐちゃああああああああああああ!
していく。
さらに僕の体に異変。
筋肉が、一瞬マッチョ!
戻った瞬間、
勇者の攻撃!
会心の一撃、縦一閃が、真空波を生じて、目の前の先の先まで通過、
無数のネズミがばらけてふっとび、
ちょっと描写無理!
な、グロイ死に方をしてふっとんで――
「あぶない、勇者たん!」
アルフォンスさんの言葉の意味が、解らなかった。
僕は、跳ね飛ばされていた。
「う、……あ?」
何が起こったかわからない、ただ僕は天空へ上昇して、
そこに巨大ネズミの顔、
顔、
かお、
カオ、
つまり無数のネズミが僕をかじる!
記憶をたどれば、ネズミンガロン轢き逃げアタックを喰らった。
そこは思い出した。
宙に舞う僕。
普通ならネズミマンが(仮名)、
両手を天に向けたまま。
星々の砕ける様を見るがいい……ギャラクシカンエクスプレス!
とかなんとかそんなこといって、脳天から落下。
終っていたのだろう。
だが、降りれなかった。
いや、落下させてくれなかったのだ。
無数のネズミが飛び上がり、皮膚を、肉を、削りながら、幾つも幾つも連携プレイでかじりついて、僕は体を回転させながら上昇、幾つも幾つも攻撃を喰らって、HPが限りなく0に近づいたとき、ようやく陽光を遮るほどの天空まで到達して……
落下した!
そこで一回意識を失った。
が、
「しっかりしなさい勇者たん、傷口をふさぐ回復魔法――回復の魔技を今行使してあげますからね!」
「おー、のー、たん、づけは我輩の専売特許だってばよ、でゅっふっふっふ」
と、そんな声を聞きながら、
どうやら僕は頭頂部から地上激突で教会まで棺桶にならずに蘇生でもしてもらってたかも。
だった状況にはならなかったらしい。
「勇者たん、おまえ、本当に運がいいぜ、アーノルドさんが、お前を空中キャッチ、着地際に、大地残・界!をぶっぱなして衝撃はで円周全部粉みじんにしてくれたんだ。
さぁ、アスクレ神父の癒しの魔法を受け入れろ!
毒も消してくれるすげーのくるぜ!」
「そうだ、その間、俺一人で前衛をやる! アルフォンス、二人のガードにつけ、おれは一人で十分だ!」
男気凄いアーノルドさんが、ふっとんでまだこっちに寄れないネズミの大群に突っ込んでいく。
だけど僕は、もう疑問だらけ。
だって、みんなすごいのだ。
今の体が一瞬マッチョになって、調子に乗ってこのありさまでうごけなくなってしまったが、レベル1僧侶の魔法で、あんな凄いのはありはしない。
超、つよつよレベルか最高司祭とか、それこそ法皇レベルみたいな気がしたのは何故だろう。
それに前衛二人の異常な強さは……
「――あの、その前に教えてください神父。なんかみんなと、僕って、違う気がしませんか? 戦闘力や、知識とか漠然としたものではなく、肉体的にも――」
「今、そんな事を語り合う場面ではありません。
私の魔技で回復して戦線復帰してください!」
「……あの、ちょっと、なにもかも整理したいので。一度にげません?
それに僕、理数系だから、そろそろ精神限界で、おうちかえりたくなってきたんですけど……てか、一度王国に戻りましょうよ」
「阿保ですか!
あれほどみんなに応援されて出発したではありませんか!」
「いや、あれは王様の捜索隊!
僕を姫か王の部屋にいれて淫猥な事をするためのもはや私兵を超えて、
共産圏的な思想で動くヤバい国家兵団がざわめいて、周囲の民家やお店の方々が、恐怖で騒いでただけで――」
「なのに今帰れば、皆の期待を、勇者が再び誕生して冒険に出た。
凄い美少女だ。
俺もうファンになる。
おれなんかもうファングッズにプロマイドかっちゃったもんね。
チェキで写真撮影5000キルユダでお願いしちゃうもんね!
って期待してる大きな子供たちのために、
その夢の為に、勝利の凱旋なくして戻るは、
世間への裏切り、
世間様の期待が限りなく0にしぼむ瞬間。
まさに冒険にでて、一泊もせずに帰るレベルで恥をさらすようなもの――」
「……」
「あ、いえ、言い過ぎました。
忘れてください。
というか黙って!
傷口を毒消しと一緒に癒します。
勇者ぼくねんたん、少し黙っていなさい。
治癒できないでしょう!
みなさん!
ここは一気に囲まれてしまいました、
もう相手を皆殺しにしてでも生きなければ脱出なんて土台無理な話です! しかし神の使徒、勇者様がここにいるのです!
負けることなどありえません!
気力を振り絞って、全部潰しましょう!」
『おおよ!』
二人のタフネスな掛け声が帰ってくる!
「とりあえず勇者たん、貴女は大怪我してるのですから、
静かに寝ていてください!
他の数々の女性のように、こういう時は星の数でも数えてるほうがいいですよ!」
「一体、何の話、ですかぁ……」
ホモい!
とか一瞬思ったが。
何故?
あれ?
夜?
茂みの中から、僕は何かを見て、ホモい!
ゲイ!
やばい!
って、確かに思った。
たしか、僕のスライム爆破させた時、
前のめりで倒れて潰して服がびちゃびちゃ。
洗ってくれた三人は、
洗って、くれた、
さんにんは、
さんにんはぁ~
裏の広場で僕の服を奪い合い、
くんかくんかすんすん
くんかくんかすんすん、
そこはいい、
それはいい、
だけど彼らは片手で奪い合って、匂いを嗅いで――
きゅぴ~ん!
うっ、
頭が痛い、
割れるように痛い。
やめよう。
ちょっと考えるの無し。
というか、
ああ、何故僕たちは……こんなところまで……来てしまったんだろう……
宇宙を漂うゴミ気分で、大空を見上げたとしても、
目に映る大銀河は、きっとこの地球でも、
火星でも、
宇宙でも、
見上げた光景の星空は、きっとどこでも同じに違いない。
濃紺の世界に散りばめられた、砕けた、元、この星の衛星だった物の残骸。
さらに美しくも遠い星々。
ああ、いつの間にか夕方になって、それももうほどなく消えて、
戦慄の夜がやってきた――になるのだろう。
割れた衛星星。
名前は謎。
でも、その壊れ具合が、
まさに幻想的だ。
そして、彼岸に片足つっこんだ大馬鹿野郎の最後にはふさわしいのかもしれない。
そう、何故なら、
僕たちは……
――勇者パーティ――
きっと、ここでくたばったら、
街の皆が、
今まで出会った人々が、
きっと笑顔で、
悲しんで、
弔いの最後にそう呼んで……
……。
……くれるわけないか。




