排気
衝突の後、重苦しい沈黙が流れた。逸らされた矢と、回復して立ち上がった衛兵に戸惑う盗賊たちは、互いに顔を見合わせた。
一人が叫んだ。「あの坊や…!魔法を使っている!」
一行はためらいながら数歩後ずさりした。武器を下ろす者もいれば、森の方を不安そうに見つめる者もいた。
貴族たちはまだ震えていたが、信じられない思いが彼らを襲った。「見たか?」一人が声を詰まらせながら呟いた。「彼は人命を救っている!」もう一人がエイドリアンを見つめながら叫んだ。「どうして…どうしてこんなことが?」三人目が驚きに顔をゆがめながら尋ねた。
王女たちはまだ目に涙を浮かべ、互いに抱き合った。「彼が私たちを守ってくれた…」ヴィヴィアンが囁いた。「いいえ…夢じゃなかったんです」リオラは息を荒くして言った。セレスティーンは胸にまだ響く静けさを感じながら、しばらく目を閉じた。エララは真剣な顔で呟いた。「彼がいなかったら…私たちは今頃、迷子になっていたでしょう。」
マリッセは羊皮紙を胸に押し付けたまま、彼を見つめていた。
エイドリアン…彼女の声は低く震えていた。「あなたは我々の守り手です。」
盗賊たちはさらに後退し始めた。一人が叫んだ。
無駄だ!撤退しろ!
木々の間から影が消え、失敗した攻撃の残響が残された。
道には折れた矢と慌ただしい足跡が散らばっていた。衛兵たちは息を切らしながら再び集結し、中には生きていることにまだ驚いている者もいた。
エイドリアンはゆっくりと手を下ろした。目の輝きは薄れていたが、空気は緊張したままだった。
静寂を破ったのは、一人の貴族だった。彼は呟いた。
もし彼がここにいなかったら…
マリッセは目を閉じ、深呼吸をした。
この旅はもはや単なる儀式ではない。試練なのだ。そしてエイドリアン…こそが鍵なのだ。




