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異世界からの帰り方   作者: たかなしことり
六日目
17/26

キノウ!


師匠と呼ばれた少年は、俺の事を上から下まで眺めて、もう一回下から上まで眺めた。

「こいつファーツェに送ってくの?」

「はい。」

「ふ~~~~~~ん。」

態度でかいな。

しかしリクスがおとなしくしているので、俺もおとなしくしておく。

「ああ、その毛布か。へぇぇぇ。まあいいよ。好きに使って。」

「ありがとうございます。」


リクスは一礼して、少年はドアの中に引っ込んだ。

毛布?

毛布ってこれか。ファラ達に借りた、アラベスク柄みたいな毛布。普通に使ってたけど、何か秘密があるのかな。


リクスは指先でちょいちょいと俺を呼んだ。

「荷物を落とさないように、体にくくりつけておけ。」

「はい。」

そして、少し歩いた先にいたのは、思わずひぃ~と声が出るぐらいデカいコモドドラゴンだった。一瞬ちびりそうになる。やべ。

「デカイッスネ。」

声が裏返る。でかめのキャンピングカーぐらいある。四つ足を踏ん張っているのを見ると、はしご消防車が足を出して踏ん張っているのを思い出す。

リクスはそのコモドドラゴンに声をかけて、超長いベルトをその腹に巻く。そいつも慣れているらしく、おとなしくされるがままになっている。

リクスは俺にも、抱っこ紐みたいなベルトを放ってよこした、

え、まさかこれに直接乗る?引っ張ってもらうとかじゃなくて?


抱っこ紐は俺にはハードル高かった。

いやいや。バンジージャンプさえしたことのない俺に、このハーネスは難しすぎるって。

爬虫類もややハードル高い。

幼稚園の時遠足で行った動物園で、他の友達はみんな首にヘビとかかけてもらって喜んでいたが、俺はそんなに嬉しくなかった。まあ、我慢は出来るけど。


とりあえず、おそらくこうだろう、という感じにハーネスを身に着ける。

正解は分からない。

コモドドラゴンによいしょと上り、ハーネスについていたフックをそこに巻かれたベルトに引っ掛ける。

うう。やだなぁ、コモドドラゴンて肉食じゃなかったっけ。

こいつがひょいと振り向いて、背中の俺を見て「うまそー」とか思わない保証はない。

しかし、リクスは淡々と手綱っぽいのを取り付けて、首にまたがった。

「行くぞ。あ、目をやられるから、なるべくうつぶせになっておくように。」


その意味はすぐ分かった。

速い。

コモドドラゴンは、予想に反して動きが超なめらかだった。

言われた通りうつ伏せになっているから、虹色のうろこぐらいしか視界に入らないが、どこを走ってるんだか馬車に比べれば、全然揺れない。

ただ、たぶん森の中を全力ダッシュ中なんだろう、次から次へと木の枝が当たる。なるべくなんてもんじゃない。頭を両手で覆ってドラゴンの背中で小さくなっていないと、たぶん首がふっとばされる。

しばらくして、当たる木がぴたっと途切れた。

恐る恐る周りを見ると、山肌に草原が広がっている。

唐突に「森林限界」という昔習った言葉が、頭に浮かぶ。


ドラゴンのスピードは落ちない。

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