希望の光が見える
「異世界。」
イケメンは繰り返して、俺をまじまじと見やった。
あ、やっぱり駄目だよな。頭がおかしいと思われるだけだろう。
しかし、イケメンは腕組みして、少し考える風だった。
「なるほど。」
なにがなるほどなんだろう。
イケメンを見ていると、
「ではファーツェまで送ろう。」
「ファーツェ?」
「君がおそらく目指していた街だ。この辺りで最大の魔法都市だ。君と一緒だった連中も、そこなら異世界とやらを知っている者がいると思ったんだろう。」
そうなんだ!
魔法都市!スゲエ。
ファラたちに感謝だ。
「お、送ってくれるんですか?」
「一人であそこまで行けるとは思えない。」
なんて親切なんだろう。
いや、たった今、人を殺したヤツだけど。信用していいのかな。
俺、人質とかそんなことないよな?
なんにも持ってないし。
「あのー、名前聞いてもいいですか?」
身をひるがえそうとするイケメンに、恐る恐る名前を聞く。
「俺、ヒロキって言います。」
「あー。名前。」
イケメンは青い目を瞬かせた。
「殺戮の戦鬼とか、天遣の暴虐王とか、血塗られた熾天使とか、いろいろ呼ばれている。好きに呼んでくれ。」
いや、そんな。
なんか分かんない、中二病っぽくて凄そうな名前、恥ずかしくて呼べません。
「じゃあ・・・戦鬼さんと呼べばいいですか?」
一応聞いてみる。
イケメンは、初めてかすかに笑った。
「リクスと呼んでくれ。」