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5才(3)

その夜、瀬尾家の子供たちは就寝し、母親は仕事に集中し出す時間。

彩人は彩花を寝かしつけ読み聞かせの絵本を閉じる。

あくびを噛み殺しつつ、ステータスのウィンドウを出現させる。


+++


名前:瀬尾彩人

年齢:5才

所属:――

ポジション:――


野手評価

弾道:Lv.1

ミート:G

打力:G(0)

走力:G(0)

守備力:G(0)


投手評価

球速:80km

スタミナ:G(0)

コントロール:G(0)

変化球:なし


取得スキル

【転生者】、【鋼の肉体】、【身長高い】、【甘いマスク】


+++


5才になり野手評価と投手評価が表示されるようにまった。

これらの中で彩人が一番に驚いたのは球速「80km」だった。

「5才で80kmって、マ?無双やん」と小躍りした。

だが、それは彩人の早合点で、検証の結果、このまま大人になると「最大80km」の球速が出る、と認識を改めることになった。


(前世なら女子野球の平均は100kmそこそこだから、80kmでも変化球次第でワンチャンあったかもだけど。この世界は普通に140km超えるし。日本のエース「君島緑」にいたっては155km。君たちの細い体のどこにそんなマッスルがあるの?野球ソウルと三女神像があったりしない?)


彩人は夢実現の険しい道程に思いを馳せ遠い目をする。

気を取り直して別のウィンドウを開く。


+++


獲得ポイント:37.5pt


+++


彩人がすでに確認したトレーニングの評価は「大失敗」、「失敗」、「普通」の三つ。

得られる獲得ポイントはそれぞれ「0pt」、「0.5pt」、「1pt」。

合計に小数点があるのはこのためである。

評価は五段階。あと二つ上があるが、見ての通り大きく獲得ポイントを得られるとは考えにくい。

特殊イベントを考慮しても、一度に大量にポイントを得られる機会はそうはないだろう。

だが、野球能力を向上させようと思ったら湯水の如くポイントを消費するのは目に見えている。

よって、獲得ポイントは貴重だ。

彩人もそれは十分、分かっている。

それでも会坂雛里の「ダンスへたっぴだね☆」と言う笑顔が頭から離れず、一つのスキルを取得しようとしている。


+++


【体幹○】

・体幹が改善し、体のしなやかさが増す。

必要獲得ポイント:30pt


+++


同系統の上位スキルに【体幹◎】、【肉体美】がある。

体幹とは体の胴体部分のこと。

体幹が優れていると、どのような態勢でも姿勢がぶれずに維持できる。

野球選手を始めとする多くのアスリートが体幹を鍛えるトレーニングを取り入れている。

当の彩人の頭はダンスのことでいっぱいだったが。


(これさえあれば、ターンもステップも、指でハートを作った片足立ちの決めポーズも、あの幼女に勝つる!ぐへへ、あっと言わせてやるぜ〜)


+++


スキル【体幹○】を取得しますか?

消費する獲得ポイントは「30pt」です。

Yes / No

※注意

・遺伝情報の書き換えに伴い、痛みが生じます。

・体組織の更新に伴い、痛みが生じます。


+++


一瞬、彩人の脳裏に三才の時のトラウマが蘇った。

だが、彩人は「今回は大丈夫でしょ、一つだし」と楽天的に実行する。


「ぐっ」


案の定、全身に痛みが走ったものの、耐えられる程度。

彩人はそのうち力んでいた体を緩め眠りについた。





軽快な音楽。弾け飛ぶ汗。

彩人は最後にハートマークを作ってズッキュンと決めた。

次の日の公園でさっそく雛里にダンスを披露しているのだ。

会心の出来にドヤ顔も忘れない。

それを見せつけられた雛里はというと目をキラキラと輝かせる。

興奮した様子で彩人に抱きつく。


「すごい!すごい!ものすごく上手だよ、アート」


「あ、うん、ありがと……」


「私より上手かも。でも、私も負けないからね!」


雛里は邪気のない笑みで握り拳を作る。


(え、ヒナリちゃん、いい子すぎん?それに比べて俺の大人気なさよ。幼女相手にムキになるとかないわ〜。こうして見ると眩しいくらいまっすぐな笑顔って分かるじゃん。ごめんね、汚れていたのはおっさんの心だったよ)


雛里は天に拳を突き上げる。


「がんばるぞー、おー☆」


彩人はその様子を見てふと思う。


「ヒナリちゃんはどーしてそんなにダンスを頑張るの?」


「ヒナはね、アイドルになって、テレビにいっぱい出て、有名になって、それで、結婚するの!」


「ん?結婚?」


彩人はアイドルと結婚がうまく繋がらなかった。

後で美月にその辺の事情を聞いた。

アイドルの恋愛、結婚と言えば、元の世界では週刊誌の格好のネタだろう。

だが、この世界ではアイドルが有名になって男の目にとまり結婚する流れが王道のシンデレラストーリーのようだ。

雛里みたな熱心な子は珍しいが女の子なら誰でも憧れる夢だと言う。


「アート、いっしょにアイドルになろーね☆」


「だから、ボクはアイドルにはならない!」


「結婚できるよ?」


「結婚はしたいけど……」


「じゃあ、アイドルだね☆」


「なんでだよ!」


雛里が彩人をアイドルに熱心に誘うのは、彩人の性別を誤解しているから。

外で遊ぶ子供であり、可愛い振り付けのダンスをして、見た目はロリよりのショタである。

勘違いしてもおかしくない。

雛里が彩人の性別に気づくのはもう少し後のこと。


そして後年、会坂雛里はアイドルになる。

「打って踊れる」アイドルとして。

ショートの守備につく「フィールドのファンタジスタ」は彩人のピンチを幾度も救うことになる。

(メモ1)


獲得ポイント =

20pt(誕生日)

+ 0pt(大失敗)X 10日

+ 0.5pt(失敗) X 13日

+ 1pt(普通) X 7日

+ 2pt(普通、ダンス) X 2日

= 37.5pt


(メモ2)


【体幹◎】

必要獲得ポイント:70pt


【肉体美】

必要獲得ポイント:100pt


同様の上位互換のスキルの必要獲得ポイントは、

30pt、70pt、100ptの順に上昇する。

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