エピローグ
『今回は上手くいった。
しかし、すべてが終わった、とは言い難い。
とりあえず、あのシリンダーのあった部屋は爆破し、続いてコンピュータールームも爆破に成功した。その結果、ナミの発信器は無用の長物となった。
だが、政府が関与していた計画だ、いつ何時、同じようなことが起こるか分からない。
その時に俺は、どうするべきなのか?
今はまだ、答えは出ない』
「あれ? マスター、何を書いてるんですか?」
お盆にコーヒーを載せて持ってきたコニカが、コウキに問いかける。
失くした左手をかばいながら、湯気の立つカップのひとつを手にとって、コウキは言った。
「別に大したものじゃない。少しだけ、思いついたことを書いておいただけさ」
息を吹きかけて冷ましながら、やけどしないように少しずつすする。砂糖もミルクも入れずに飲むのが、コウキのこだわりでもあった。
「また入れ方が上手くなったんじゃないか?」
「そうですか? それはどうも、ありがとうございます」
そっけない言い方とは裏腹に、実にうれしそうな笑みを浮かべた。そのまま台所へ戻るコニカを確認し、コウキは再び書き物へと戻った。
『今回、自分のしたことが人類にとってプラスになるのかどうかは、正直なところ不安だ。いやむしろ、マイナスになる可能性の方が、ひょっとすると高いのではないか?
だが、個人的には自分の行動には満足している。
自分の行動に嘘をついてはいない、それだけは間違いなく確かなのだから』
部屋の奥からは、コニカとナミの仲の良い話し声が聞こえてくる。
それを聞いてほほ笑むと、コウキはペンを置いて、窓から空を見上げた。
見上げる空は、どこまでも澄んで青い。たとえ望んでいようともいなくとも、明日という名のその空だけは、生ある限り万人に、平等にやってくるのだ。
ここまでお読みくださいまして、誠にありがとうございました。貴重なお時間を拙作に割いていただきまして、本当にありがたく思います。
とりあえず完結したのですが、今の心境としましては『反省はしている、でも後悔はしていない』といったところでしょうか?
反省点は、数え上げればきりがないほど、それこそ山のようにあります。序盤の構成に比べ、時間的にしんどくなってきた後半とでは、明らかに違いがわかってしまいます。さらに、本来ならば少しずつ世界観を明らかにしていく予定だったのが、文章の都合上、後から付け足したように見えてしまうなど、ストーリー上悲惨なものもあります。
そして一番の反省点がここ。せっかくの敵役が、最終話だけの出たとこ勝負になってしまった点です。これだけは、反省してもしきれません。いろいろと裏設定もつくったのに、生かしきれず……。
ただ、今回の作品で得ることができたものもたくさんあります。たとえば、反省点で述べましたが、世界観設定を小出しにしていくことなど、初の試みですが、なんとなく手ごたえをつかめたような印象があります。
さて、みなさんはもうご存じでしょうが、この作品は天崎剣さま主催のSF企画『空想科学祭2009』出展作品です。このような貴重な機会を設けていただいた天崎さまに、今一度、厚く御礼申し上げます。
またこのような機会があれば、今度は万全を期した状態で、参加したいと思います。
それでは、稚拙な文章で申し訳ありませんが、これにて後書きとさせていただきます。失礼しました。




