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白馬に乗った王子さま
「女の幸せは結婚にある」と言われている。
それが、真実を表しているかどうかは別として。
女子教育に重きを置いていないこの国では、平民の女子は初等教育を受けるのみ。
だから当然の帰結として、その後は花嫁修業という名の家事または家業の手伝いに勤しんで、十代のうちに、適当な相手を見つけて結婚することが、いわゆる「望ましい女の生き方」とされていた。
反面、男子には結構自由があって、都会には独身貴族なんて言われる新人類も、それなりにいるみたいね。
そうそう、貴族と言えば。
庶民の場合は恋愛結婚がほとんどだけど、本物の貴族は家同士の合意で、赤ちゃんの頃に婚約することもあるそうよ。
そんな国で。わたし、アリスは十七歳。
白馬の王子さまが来てくれるとは思えない、恋愛事とは無縁の日々を過ごしていたの。