揺れたもの
「よく似合うよ、アリス」
ラウルさんがイヤリングに触れると、ダイヤモンドが音もなく微かに揺れた。
その煌めきはわたしを、絢爛豪華な夢の世界へと連れ去るようで、胸のざわめきが怖くなる。
だからすぐに外してしまって、斜め後ろにいたラウルさんに手渡した。
(あれ……?)
なのに。
何も返ってこなかった。
何も――。
「あの、わたしのピアスは……?」
「持ってない」
ラウルさんは、わたしに両手を開いてみせた。
片方には、もちろんダイヤモンドのイヤリング。
もう片方の手には、何もない。
何も、ない。
(どうして……?)
「わたし……。さっき、ラウルさんに……」
「さぁ、どうだったかな」
焦るわたしに、穏やかなままのラウルさん。
そういう人を相手にすると、自分の方がむしろ間違っているような――。簡単に、そんな錯覚を覚えてしまうのは、わたしの良くない癖だった。
「わたし……。渡しました、よね……?」
「そう思う?」
「はい……」
本当は、ほとんど無意識の行動だったから、話す度に自信が消えてゆくようだった。
返事をしただけなのに喉が渇いて、呼吸をするだけで、ひきつるような痛みを感じて苦しくなる。
「確認させてあげようか?」
「はい……、お願い、します……」
ラウルさんは優しくなんかなかった。
でもこのときは、親切で、なんて優しい男なんだろうと思ってしまった。
ラウルさんはダイヤモンドのイヤリングをしまうと、自身の両手を、惜しむことなくわたしの目の前に差し出した。
彼が何も持っていないことなんて、誰だって見ればすぐにわかるはずなのに。
わたしは目に映るものを信じられずに、彼の手を、指を、掴んで必死になって確認した。
滑稽に思われても、構わなかった。
哀れなわたしに、ラウルさんが質問する。
「アレ、そんなに大切だったんだ?」
頭上から、含み笑いの吐息がかかる。
わたしは泣きそうになりながら、何度も小さく頷いた。
「くだらない」と低く平坦な声が聞こえた後。
視界が揺れて、閉ざされた。
「!」
ここがラウルさんの腕の中だと。
彼に囚われてしまったのだと。
混乱したわたしが悟ったとき。
わたしの心と身体には、一体どれくらいの自由が、彼から与えられていたというのだろう――。
みなさま、お待ちかね?
前回の続きでございます。
ラウルさんのしらばっくれぶりに戦慄したあなたも、そういう悪い男、別に嫌いじゃないわのあなたも、ほっこりして帰っていただけたらうれしいです(o´ᴗ`o)♡
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はい。いただきました。
普通においしゅうございました。
さてさて。
お粥には、健康的なイメージがあると思います。
だから、いっぱい食べても罪悪感、少ないでしょう?
でしょう?
そうでしょう?
ズバリ、そうでしょう!!!(突然の丸尾化)
ということで。
学級委員長の許可を得た作者は、三パックも食べちゃいました……。
お腹、痛くはならなかったけど、普通に食べ過ぎてしまった感じです(꒪꒳꒪;)(反省)




