ラウルの気持ち*2*
ビビりながらの更新その2
ハッピーエンドなので安心してね(;゜゜)
そう前置きをして、俺はいかにも申し訳なさそうに笑ってみせた。
「実は、アリスとの関係を深めるにあたり、私は彼女に意中の人がいるか確かめたんだ」
青年は浅く息を吐き、恐々と尋ねてくる。
「アリスはなんて――」
青年は俺の嘘の中に、在りもしない光を見つけようとしていた。そして俺はその希望の翅を、今こそ、根こそぎ毟りとらなければならなかった。
「彼女は意中の相手はいないと言った。だからこそ、『王都で運命の恋を見つけたいんです』と話してくれた」
「その後で」と、俺は穏やかに続ける。
「彼女は私の顔を見ながら、『もう見つけたかもしれません』と訂正した。それからどうなるかは、君も大人ならわかるだろう?」
青年は顔を覆った。
声にもならない、低い呻き声を上げながら。
「私も。弱さを隠さずに甘えてくれるアリスが、かわいくて仕方ないんだ」
俺は、自分と同じくらいの高さにある青年の肩を、励ますように軽く叩いた。
「必ず幸せにするから安心しなさい」
とどめは、させただろうか――。
* * *
あの日、俺は血の色に染まる廊下で、アリスたちの会話を聞いていた。
『わたしは行くわ! 王都で運命の恋を叶えるの!』
一度発した言葉は返らない。
気持ちに嘘をついたら、その代償は高くつく。
貼り付けた偽物の笑顔は、自分の感情への裏切り行為に等しいんだ。
アリスが出そうとした手紙は、中身を読んで俺が捨てた。
ままごとのような恋は、俺の手で終わらせてやる。
こういう展開にするの、リスクしかない(꒪꒳꒪;)
うん、わかってるけど、わかってるんだけども!




