ゆっくりと
お久しぶりです。
今回は、何かと忙しい毎日を過ごしている方に届いたらいいなと考えて書かせていただきました。
もしかしたら、年始バージョンもあるかもしれません。
町はすっかり年越しモードに突入・・・なんて言いたいけど、町にはまだバレンタインの看板が出てたりと、なんだかどっちつかずの町を歩いていた。そんな私は、世間のイベントごとなんて全然頭になくって、ただ年を越えての大学受験のことばっかを考えていた。
親には、図書館に勉強してくるなんて言っては出てきたが、実際町の様子なんかを気にして歩いているほど、現状から目を背けたかった。
家を出てから15分ほどで目的地の図書館の前までくる。はあぁ、なんて大きなため息をついてから図書館に向かい始めたところで、ふと横にある脇道に見慣れない看板が出ていることに気が付く
「こんなのあったけな?」
近くによってみるとそこには「かふぇー」と書かれていた。
かふぇー?なんだろうカフェなんだろうか、それとも違う何かなのだろうか。私の好奇心はもう高まっていた。瞬時に入ると決断して店のドアを開けた。
店に入った瞬間、新しい木のにおいとコーヒーの上品な香りが鼻を通ってきた。
「いらっしゃいませ。こちらのカンターへどうぞ」
入ってすぐのカンターの中から若めの男性の声がした。私は、その声に従ってカンターにつく。男性はおそらくこの店のマスターで、まだ30手前ぐらいの見た目をしていた。
私は、目の前にあるメニュー表を手に取った。中には普通のカフェにありそうなメニューが並んでいた。だけど、メニューの一番下、隠れるように一つだけ「こーひー」と書かれた商品があった。となりの説明文には「この店のオリジナルこーひー」と書かれていた。もうこれは頼むしかない!
「お決まりでしょうか?」
「あ、はい。このこーひー?ひらがなのほうを一つお願いします」
「かしこまりました」
そういって、マスターらしき店員は特に変わったことはしないで黙々とコーヒーを入れ始めた。
コーヒーのいい香りが店中をかけめぐる。そしてしばらくして、目の前に白いカップに入ったアツアツのコーヒーが出された。
「砂糖やシロップはいりますか?」
「いえ、このままで大丈夫です」
何となく大人っぽいという理由で、ブラックばかりを最近飲んでいた。
「かしこまりました。」
店員はそういうと手もとにあるカップを拭き始めた。
私は、やけどしないようしないように慎重にコーヒーをすすった。口に入れた瞬間に口いっぱいに、深みのある苦み、鼻に抜ける上品な香り、喉を通る際に感じる丁度いい酸味。コーヒーをあまり知らない私でもわかった
「おいしい」
そう、声に漏れていた。
コーヒを飲みながらふと疑問に思っていたことをマスターに聞こうと思った
「あのー」
カップを拭いていたマスターはその手を止めてこちらに顔を向けた
「はい、追加注文でしょうか?」
「い、いえ。一つ聞きたいことがあって。なんで、こんなにおいしいコーヒーなのにメニューのこんなに下、しかも隠れるようにかいてあるんですか?」
そんな、些細な私の質問を聞いてマスターは少し顔の表情を緩めた
「はは、気になりますか?理由はそおんなに深くありません。ただ、メニューを急いで決めず、メニュー表の最後までしっかり見た人だけが気が付くメニューがあってもいいのではないかと思いまして。」
少し真剣ながらでも優しい表情でつづけた
「確かに時間は有限です。しかし、何事も急いでばっかでは見落としてしまうこともある、なんていう私のちょっとした意地悪ですよ。」
そういいながらやさしく笑っていた
「そ、そうなんですか。あ、あの」
「はい?」
「もう一杯もらってもいいでしょうか?」
「はい、かしこまりました」
私はそのもらったコーヒーをゆっくり時間をかけて飲んだ。
「お会計お願いします」
「はい、かしこまりました」
会計の際に
「あ、あの。マスターの考えいいと思います。私もそのお話聞いて思うこともあったので、、、実際こうして新たな発見もあったので」
それを聞いてマスターは
「はい、ありがとうございます。」
そういって、私が店を出るまで優しく見守れているような気がした。
少し、今に自分にあててみた。別に勉強をしなくていいわけではない。ただ今日くらいは。
店を出て、当初の予定の図書館ではなく足は家の方向に進んでいた。
皆様、今年もお世話になりました。
小説を投稿してもう一年以上たちましたが、以前読みづらい気がします(笑)
こんな僕ですが、来年も投稿は続けていきたいと考えておりますので、どうか目に留まった際は読んでいただけたら幸いです。
それでは、皆様今年もありがとうございました!
また来年お会いしましょう!
よいお年をおすごしくださいませ