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 しかし、そんな風に言われてしまうなんて、もしかしたらわたしは端から見ると、二人の男を転がしている悪女に見えるのだろうか……。


 …………。


 いや、事実では!?


 アルベルトから好意を抱かれているような気もするし、ウィルエールは言わずもがな。あれだけアピールされて、流石に放置はなかっただろうか。

 わたしとしては、今後、わたしが誰かとくっつく姿が想像できないのだ。

 王子と婚約が決まる前は、『誰かの貴婦人』というわたしは想像できたし、王子と婚約が決まってからは、『王妃となる』わたしの想像ばかりしていた。


 でも、こうして婚約破棄をされ、公爵家に捨てられ、エンティパイアを追い出されて、逆に自由になってしまったわたしは、そういう未来が思い描けない。

 今も、前世でも、婚約破棄という事件に直面して、男性不振にでもなっているのだろうか。かといって、パートナーが女性、というのもいまいちぴんと来ない。この辺は前世でも今でも、あまり同性愛に関して大っぴらな社会ではないから、という影響もあるだろうが。


「フィオディーナはどっち取るの? アルベルト? ウィルエール?」


 べろべろに酔って、机に突っ伏し始めたルディネーを気にもかけず、フェルイラがわたしに聞いてくる。……この二人、いつもペアになって受付嬢をしていたと思うんだけど、仲悪いのか……? いや、これがこの二人の距離感なのかもしれない。


「どっちを、って……どっちも取らないけど……」


「えー! フィオディーナだって、いい年でしょ!? 結婚しないの? 一生独り身?」


 まあ、確かに結婚適齢期ではあるかもしれないが……。


「冒険者って若いうちにしかできないよー? 大体は経験積んでギルド職員になるか、武器屋とか薬屋とか……。あ、そうか。でもフィオディーナは術具の修理できるんだったよね。じゃあ、まあ一人でも大丈夫か」


「独り身、さみしくない!? ウチは絶対結婚したい! 早く結婚したい! 結婚して、子供五人くらい欲しい!」


「それはまあ人それぞれじゃん? あたしも結婚はしたいけど縁があればって感じだし」


 酔っ払いの話のテンポは速く、独特だ。またわたしが話に加われなくなってしまった。

 ルディネーがドン! と酒の入った杯の底をテーブルに叩きつけて大きな音を立てたかと思うと、がばりと起き上がった。


「そんなこと言ってたらあっという間におばあちゃんだよ!」


 そして、バッと彼女は立ち上がる。酔っ払いらしく、ちょっとふらついてはいたものの、拳はしっかり、高くあげられていた。


「よし、男漁ろう。何人か冒険者見繕うから、後日よろしく、二人とも」


「……えっ!?」


 わたしの意見は聞く気がなく、ルディネーの中では決定事項らしい。

 わたしはただオムレツを食べたかっただけなのに、前世でいう、『合コン』に巻き込まれることとなってしまった。

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