虐めたなんて言われたので、虐められたって言ってやりました!
勢いだけで書いたので、変なところあっても知りません!!
「アメリア!貴様との婚約を破棄させて貰う!」
「……え?」
夜会で突然言われた言葉に、周囲の貴族達が騒ぎ出します。
いつかこんな日が来るとは思ってましたが、まさか夜会で大勢の貴族が集まってる中で、親の了承さえなく捨てるように言い出すなんて誰が思いましょう!?
目の前の婚約者ーーこの国の第二王子アルフォンスは私を睨み付け、その後ろにはどこぞかの男爵令嬢の姿がありますね。彼女は私にだけ見えるように、口元を僅かに歪ませ楽しそうな笑みを浮かべます。
へえ、なるほど……あの子が王子を誑かしたって所かしら?
そちらがその気なら受けて立とうじゃないの!
「な、何故ですの!アルフォンス様!」
私はショックを受けたように、その場にしゃがみこむ演技をすれば、その様子を見てアルフォンス様……いえ、アルフォンスは満足気な笑みを浮かべます。
以前から思ってましたが、この程度の演技を見破れないなんて、この王子大丈夫かしら?
周囲の貴族は遠巻きに見てるだけなので、上手く誤魔化せてそうですが、こんな近距離で……って男爵令嬢、貴女もですか。
「ふん、そんなの決まっているだろう!俺の婚約者である事を笠に着てお前が好き勝手やっていることを俺が知らないとでも?……おまけにリーフィアに嫉妬して、彼女を虐めていたそうだな。俺の婚約者にはそんな女は相応しくない!」
ふーん。
全く身に覚えが無いのですが、彼は何を言っているのでしょうか。もう既に曖昧というか、理由がハッキリしていないのですが、無理して考えた感が凄いですね。
これはアルフォンスも共犯ではないでしょうか。それか誑かされて鵜呑みにしたか……まあ、どちらにせよ共犯ですね。
では、私はどんな設定で行きましましょうかね。
あんまり考えている時間もなさそうです。
ーーーーあっ、これで行きましょう!
瞳を潤ませて、反撃の開始です。
「じゃあ、もう私は……解放していただけるのですね!?」
「……は?」
「え……していただけないのですか!リーフィアさんと言いましたか。そちらの女性がいらっしゃるならば、もう私は必要ありませんでしょう!!」
「あ、ああ……そうだ……だから貴様との婚約を破棄すると……」
ええ、そうですね。
それはもう聞きました。
なので、今度は私の番ですよね。
顔を両手で覆い、泣き真似を加速させます。
周囲の貴族達は私の態度からか、それとも罪状からか、既にこの話が怪しいと思い始めているようです。
「ありがとうございます!ああ、ありが…と……ござ……す……!もう、教育と称して耐えられない苦痛を与えられることも、足を引っ掛けお茶を頭から被せられることもないのですね……!」
「は?いや、まて……何の話だ!」
ええ、前半は王妃教育のお話で、後半は王城にいらっしゃるドジっ子メイドさんのお話ですが?
彼女、本当に何も無いところで転ぶんですよね。
しかも、お茶を運んでいる時が一番多いので厄介なんですよ。
「それだけなら……私も耐えられましたが……夜のあれだけは、あれだけは、どうしても耐えられませんでした。あれが終わった日の翌日になると、必ず激しい痛みと共に立っているのさえやっとだったのです……。」
あ、因みにこれは婚約者として参加する夜会のお話です。
挨拶巡りに、王族の婚約者という立場なのでダンスのお相手も多く、いつも次の日には足が筋肉痛になってしまい、立っているのさえやっとなのです。
あれから解放されると思うと胸がすくような気持ちですね。
私は唖然とするアルフォンスの横をするりと抜けて、リーフィアさんの両手を包み込むように掴みます。
「リーフィアさん!ありがとうございます!貴女は恩人です!……これから辛いこともあるでしょうが頑張ってください!それでは、私はこれで失礼します。」
王妃教育大変だと思いますが、二人お幸せに頑張って下さいね。と喑に伝えて起きます。
立派なカーテシーを決めて私はさっさと退場しましょうか。
後ろで何やら問い詰めるような声が聞こえますが、喧嘩するほど仲がいいとも言いますしね。
そう思いながらも、私は新しい玩具に笑みを浮かべながら、夜会を去るのでした。




