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さまざまな短編集

近代の軍服の一歩

作者: にゃのです☆

 軍服とは固定的なものがない。

 その国家の特徴で制定させているところがほとんどだ。

 だが、我が国は建国して間もない。

 軍隊というシステムすら初めてで連携がとれているのかわからない。 

 今も軍服としてはバラバラ。

 民族衣装だったり、民間の服だったりする。

 国としては民衆の革命と民族独立主張が重なってできた。

 

「軍隊整備のため、軍備と装備品の確保を優先せよ、か」

 

 簡単に言ってくれる。

 装備品は銃や兵器によって便利になる様に造られるが、軍服は違う。

 各民族、各代表にどのようなものを盛り込んでいくか、長所がどこかを問い合わせたら報告書だけで数万枚の量になってしまった。

 

「リムテック主任! またこんなに来ましたよ!」


 また大量の書類を抱えてきたなシムル。

 その資料は自分の机に置かれて新たな山を形成する。

 シムルは助手で俺と一緒に軍服プロジェクトに携わっている。

 ありがたいことに彼は優秀だ。

 資料集め、報告書の簡略化とまとめなど一通りの雑務は彼が担当してくれている。

 プロジェクトのメンバーは他にもいるがほとんどが専門家なので自分のことしかできない。

 それまでは自分と彼の二人の仕事になる。


「主任。とりあえず概要だけでも決められませんかね?」

「報告書を見て、民族の特徴とか歴史、土地の風土、国家の方針とか様々なことを盛り込まなきゃいけないのが軍服だからな。なかなか簡単にはできない」

「ですよね」


 最初の課題は目の前に置かれている大量の報告書をどう片付けるかが問題だ。

 方向性すら決まっていないのでそれから取りかかろう。

 そうなると国の成り立ちとか必要か? 一地番活躍した民族とか?

 

「最初は他の国が採用しているのを参考にしてみてはどうですか?」

「そうだな。例えば隣の国、支援もしてくれたモーリエント帝国はどんなのだ?」

「モーリエントは赤を基調にしていますね。独立の際に流れた血がモチーフとなっているようです。ズボンは建国に携わったリーダーのズボンをまねているようです」


 なるほど、旗印の軍服という訳か。

 かなり威圧的な軍になる。色合いは大事だ。


「わかった。海向こうの国はどうだ?」

「海兵が強いことで有名ですので海兵の制服は参考になります。広い海の上での船はなかなか声が聞こえなかったりするようで襟が長くなっているのが特徴的です」


 ふむ。船に乗る兵隊にはこれを参考にした方がいいか。


「じゃあ、海兵の制服自体のデザインは参考にさせてもらおう」

「わかりました。関係資料とかは用意しますね」

「ありがとう」

「問題は陸ですね」


 そう。陸兵の制服だ。

 建国したてで兵力もあまりない。

 国の予算もあまりないし、無駄に兵員を失いたくはないと国は思っている。


「周りの国は目立つ色が多いですね。赤やら白やらたくさん使っています」


 国の威信をかけているものだからデザインもそれなりにはなる。

 これを我が国に導入するかと言われると悩む。

 今の時代の戦い方にもよるが軍服は兵士を守るものと俺は思っている。


「もう面倒だ。折角統一国家になったんだ。できて間もないのに兵士たちが死んでいくのは忍びない。デザイン性より機能性を重視しよう」

「でも、それでは国家の威信が――」

「そんなのは無視しろ。戦い方は変わっていくんだ。今回の独立戦争でもそんな場面がちらほらと見えた。報告書も上がっているはずだが?」

「確かに上げています。しかし、数枚程度です!」


 もう考えるのが面倒になったのが一番だ。

 次に独立戦争で死んだ人が多いこと。

 兵士とは死んではならない。

 そう言ったことからデザインのシンプル化が出てきたのだ。

 他の国にもない程シンプルで大量生産でき、なおかつ生産コストが安い。

 これで行こう。


 軍服政策に関することでシンプル化に特化したのはこの国が最初。

 後に近代の軍服の先駆けと言われるようになるがそれまでの道のりはまだまだ長い。

 その一歩がこれである。


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