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ヒロインが学園に入るまで(10の補足)

10の補足です。ちょっとギャグっぽくなってしまった。。

 私が産まれたばかりの頃の家は、前当主であった祖父が貿易関係で成功していたために、男爵家の中でそれなりに力を持っていた。

 両親や祖父母は一人っ子であった私をとても愛し、大事に育ててくれた。私も同じように、家族を愛した。


 この家がいつか没落するかもしれないとわかってきたのは大体十歳くらいの頃。父と母は散財家で、それも悪気なくお金を沢山使ってしまう人たちだったために祖父母は困っていた。

 どんどんメイドや使用人が減っていく中、私は自分のことは大抵できるようになっていき、掃除や洗濯、料理などもできるだけ手伝うようになっていた。


 15歳になったある日、父が突然執務室へ呼び出してこられたのでそちらに向かい部屋へ入ると、呼び出した張本人である父は机に両肘をついて座り、母はその横で姿勢良く立っておられた。


「お父様、ご用件とはどのようなものなのでしょうか」


 膝を折り礼をしてから言えば、彼は真面目な顔をして話し始めた。


「…実はね、僕たちの家は数ヶ月後には没落してしまいそうなんだ」


「え、ええ。存じ上げておりますわ」


「そうか。なら話は早いのだが、シュゼット。パトリエール学園に入学して欲しいんだ」


「パトリエール学園、ですか。…そこは寄付金が必要なので、私たちの家ではお金が足りなくて入れないのでは…」


「全財産を使って寄付金は払うよ。で、シュゼットには学園に入ってからやってほしいことがあるんだ」


「それはどういった内容でしょうか」


「…玉の輿、狙って欲しいんだよね」


 キリッとした顔で話す父に、ため息が出そうになる。

 常識的に考えて、今の私にはそんなことは狙えない。没落仕掛けの男爵令嬢、父である当主とその嫁は酷い程の散財家。ファビウス家の令嬢と聞けば、皆そのことをすぐに思い出すだろう。

 私が物凄く美しい方だったり頭脳明晰な方であれば多少の可能性はあったかもしれないが、これといった特徴もない私にはそれは無理だ。

 それよりまず、私は学園に編入できるほどの学力をおそらく持っていないだろう。幼い頃は教師を呼ぶことができたが、最近ではお金がなくて勉学に励む余裕もなかった。

 私は思ったことをそのまま口に出した。


「お父様、常識的に考えてそれは無理かと思います。勉強をあまりして来なかったために編入は難しいでしょうし、入れたとしてもお父様とお母様が酷い散財家であることは皆知っておられます。私たちの家が没落仕掛けだということも。そんな家の娘と一緒になりたいと思われる方はいないかと」


「…シュゼットは美人だから大丈夫だよ。何となく大丈夫な気がすると僕の勘も訴えてるし」


 ドヤオーラを出しながら言う父に、堪えていた溜息が出てしまった。

 私を美人だと言うが、それは親補正がかなりかかっているからだろう。今までに数回参加したパーティーで見たご令嬢たちは皆私よりずっと整った顔をしていた。それに父の勘は滅多に当たらない、当たったところを見たことがない。

 そんな彼の勘を信じることはできないし、その言葉に説得力もなかった。


「……無理ですよお父様…」


「頼む、一年だけでもいいんだ‼︎勉強に関しては全財産を使ってでも何とかするから‼︎」


「………………上手くいかなくても、責めないでくださいね」


「もちろんだシュゼット‼︎ありがとう‼︎」


 勉強に全財産使ってしまっては、学園に入れないだろうなどのツッコミはもうしなかった。疲れた。

 父は普段あまり頭は働かないのに、こういう時にだけ無駄に意地を張る。その時は引いてくれないので了承するしかないのだ。

 私はここにはいない、祖父母に助けを求めたかった。だが、その祖父母は現在どこかへ出かけて行ってしまったためにまともな人間はこの空間に存在しなかった。

 私はもう一度大きく溜息を吐くと、礼をして部屋を出た。





 それから半年間、寝る間も惜しんで必死で勉強をし、無事学園に編入できた。

 編入の合格通知が届いた時、父と母は私より喜んでいた。まだ玉の輿になったわけでもないのだが、もう放っておくことにした。一々突っ込むのも面倒になってきたのだった。

読んでくださりありがとうございます‼︎


 本当は本編に載せる予定だったのですが、思いのほか長くなってしまったので補足として載せておきます。


 ヒロインは前々世ではまともな子です。かわりに(?)父と母がアホです。



 祖父母のもとに子供は男一人しか産まれず、その子供はアホだとわかっていながらも後継は一人しかいなかったため仕方なく彼(ヒロインの父)を当主にした。

 彼がアホならその嫁はまともな人になってもらおうと、力の弱い子爵家の娘を婚約者にする。その娘は令嬢としてよくできており、頭も良いと有名だったため。ちょうど貿易関係で上手くいっていた祖父は男爵家の中でもかなり力は強かったので婚約を結べた。


 しかし、結婚してからようやくわかったのは頭がよかったのは彼女自身ではなく、彼女の侍女だった。その侍女は子爵家の令嬢が嫁ぐ時に、貴方も結婚しなさいと解任されたのですでに居なくなっていた。子爵家の令嬢は令嬢としては完璧だったが、勉強などのことに関してはダメダメな子だった。



 これがダメダメな両親が出来上がるまでの話です。

 ヒロインが割とまともだったのは、祖父母がこんな父と母の元で育ってはこの子もダメになってしまうと思い、なるべく祖父母のもとで育てられたからですり


 これが大体のヒロインの家族設定です。別に出す予定ないのに謎に長くなってしまいました。



 前々世のヒロインはまともで良い子だったから正直あんまり良くない結末を迎えさせてしまってちょっと申し訳ない…

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