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010 特任職員《酒場の冒険者》

 《サザリン》の面々が小さな成功を収めてから20日後の夕刻、中級冒険者パーティのリーダーであるネイサンのふてくされた姿が、ギルドの酒場にあった。このところ姿を見せないでいたシロウをようやく捕まえて、愚痴に付き合わせているのだった。


「ちっくしょう、あの細工師……もう1週間だぞ、1週間!」

「そのぶん特別製なんだろ? しっかり休んで英気を養うにはいい時間じゃないか」


 荒れたような口調のネイサンに対して、シロウは涼しい顔で言葉を返している。事の起こりは、こうだ。


 ネイサンたちのパーティは1ヶ月ほど前にここサザンリバーの迷宮の14階層を攻略し終えており、本来ならとっくに15階層の探索に着手していたはずだった。しかし、パーティ内での魔法を一手に担う魔道士であるスージーが、新たな探索に向けて杖を新調しようとしたところ手持ちが足りず、勢いで麻痺除けの護符アミュレットを手放すというファインプレーを披露した。いかに後衛とはいえ、魔道士といえば攻守の要。その要があっさり麻痺させられて何もできませんでしたでは、杖を新調する意味がなくなるどころか、パーティ全体の生死に関わる。よって、スージーが再びアミュレットを手に入れるまで、探索は先延ばしになっていた。

 どうしても探索を急ぎたいのであれば、パーティのリーダーであるネイサンなり、メンバーであるマーカスがスージーにいくらか融通してアミュレットを買わせてしまえばいい話だ。だがスージーはこの手のトラブルの常習犯であり、そもそも中級冒険者パーティの一員が麻痺除け程度のアミュレットを買い戻すお金にすら困るということは、素行のレベルで大問題である。よって、戒めとしてネイサンもマーカスも力を貸さず、スージーが独力でアミュレットを入手するのを待っていたのである。

 そして10日前、ようやくスージーがアミュレットを手に入れたのだが、そこに罠が隠れていた。


「つぃにぃっ! 手に入れましたぁっ! 見てくださぃこのアミュレットのすばらしさ! わかりますかぁ?って、ネイサンにもマーカスにもわかんないですよねぇ。ですがぁ、さすがエルフといった感じのこの気品溢れる細工もたまらんのですがぁ、このアミュレットに込められてる魔力がぁ、ただごとじゃないのですよぅ! きっとあの細工師さんはぁ、わたしよりも上位の魔道士さんだと思うのですぅっ!」


 いかつい見た目で知られるネイサンとマーカスの前で、身長110cmそこそこで白髪眼鏡のロリ巨乳がはしゃいでいた。絵面だけなら完全に事案のレベルだが、こう見えてスージーは40歳の立派な成人ホビットなので、完全に合法である。


「あー……さっぱりわからんな。どうだ、マーカス?」

「確かに細工は良さそうっすけど、魔力がどうこうってのは、さっぱりわかんないすねえ。でもアレじゃないすか? 前のアミュレットよりも頼りになるんなら、いっそうちらのぶんも新調するってのもアリかもしんないっすね」

「おう。そりゃあいいな。じゃあ、いっちょ俺らのぶんも頼んでみるか。って、その細工師はまだこの町にいんのかよ?」

「もぉしばらく滞在するって言ってましたよぅ? その細工師さんに買われちゃってたわたしのアミュレットが素材に戻されてたせいでぇ、素材が簡単に揃ったのかもしれませんがぁ、これ作るのに3日ぐらいしかかかってないんでぇ、ものすごぉく腕がいいのですよぅ?」

「レベル高えアミュレットを3日でか。そりゃあすげえな。そんなに仕事が早いなら、頼まない手はねえな」


 そうしてその日のうちに細工師を捕まえ、2人分のアミュレットを発注したのだが、マーカスのぶんはまさに3日で出来上がったものの、ネイサンのぶんはリーダー用なのだから特別製だと勝手に気を回された挙げ句に、「肝心な素材がない」とのことで完成を待たされる羽目になったのが今ココである。





「……かかっても5日ぐらいならいいかと思ってたけどな、素材が足りないんですって言われてから1週間、ここまで計10日ってのは予想外だったぜ」

「ほら見ろ、こないだ冒険好きな神様に不敬なことを言ったからだぞ。神罰だ神罰」

「こんなケチな神罰があってたまるかってんだ……。スージーをあんだけどやしといて、まさか俺がアミュレットの用意もせずに迷宮に潜るわけにもいかねえよなあ……」

「あきらめろ。きっとネイサンの行いを見ていてくれた神様が、こいつは見どころがあるからしっかり休ませておこうっていう計らいだよ」

「はン。俺のどんな行いを見てくれてんだって話だよな」

「そうだなあ……最近だと《サザリン》に面倒見が良かったとかもあるけど、やっぱりお前らが《自力攻略》してるってとこじゃないか?」

「そんなこまけえとこ見てんのかよ!? でもまあ、もしも、ほんとにそんな神様がいてくださるってんなら、信心していいって気にもなるんだがなあ」

「細かくないだろ。冒険者としてはいちばん評価されるべきポイントだと思うぞ?」

「いやー、でもよ、俺らのはただの酔狂っつうか、自己満足だからなあ」

「それの自己満足こそが、冒険の本質だろう。日々の糧を得るためなら、効率よく迷宮の探索や攻略をすればいい。でも俺にはそういった冒険者たちと狩人との区別がつかないけどな」

「おうおう言うねえ。さっすが《酒場の冒険者》サマだ」


 この世界に存在する《神々の迷宮》とは、人々の営みを円滑に回すべく、神の手によって造られたシステムだとされている。基本的な働きとしては、一定の秩序のもとに魔物が無尽蔵に湧き出すというだけなのだが、それらの魔物を倒すことによって得られる戦利品は、人々の営みの中で様々な価値を持つ。すなわち、魔物を倒すことで得られる資源の流通で金品のやり取りが行われ、経済の循環が生まれるという仕組みになっている。それを支えているのは「無尽蔵に魔物が湧き出す」という不自然極まりない働きだ。

 魔物という危険要素さえ排することができれば、無尽蔵に湧き出す資源が得られる。この莫大な恩恵に与るべく生まれたのが、(《神々の迷宮》に挑む)冒険者という職業であり、言い換えれば《神々の迷宮》を根幹とした経済システムに特化した労働者ということだ。なかには《神々の迷宮》での研鑽を足がかりに冒険に傾倒し、いまだ世界の何処かにいくつか眠っていると言われる《原初の迷宮》へと挑む本物の冒険者を志すものもいるが、そういった例はごく稀である。


 経済が回るとなれば、自然と人々が集まり、村や町ができる。そうした流れの中で生まれた街区は《迷宮地区》と呼ばれ、その地区を領内に持つ領主によって管理される。そして迷宮の近くには、冒険者や迷宮資源の流通を担う商人たちの生活をバックアップするための店が立ち並び、人々が集まることによる混乱を治めるために冒険者ギルドや衛兵が配されるといった塩梅だ。そして、より効率よく経済を回すために様々なノウハウが最適化され、マニュアルが作り上げられていく。

 貴重な労働力である冒険者たちの生還率を向上させるために、迷宮内に湧き出る魔物たちの特徴、得られる戦利品、迷宮内に仕掛けられた罠への対策など、長い年月をかけて迷宮から得たさまざまな知識は冒険者ギルドに蓄積され、ギルド職員に希望すれば無料の攻略情報として冒険者たちに周知される。


 こういった攻略情報に一切頼らず、自分たちの能力やコネクションだけを武器にほぼ初見で迷宮の探索を進めるのが、ネイサンたちが行っている《自力攻略》と呼ばれるものだ。効率よく経済を回したい人たちにとってはただ迷惑な話だが、冒険という行為に憧れる人たちからは地味に称賛されている。まさに自己満足なのだが、せめて《冒険者》を名乗るのであれば、《自力攻略》であってほしいというのがシロウの考えである。《神々の迷宮》が都合のいいシステムであるなら、そこにあるのは冒険などではなく、たまに命がけになるだけの肉体労働だ。いわんや攻略情報をもとに探索を進めるなど。


「それでも死ぬときは死ぬんだから、冒険者ごっことしては十分に刺激的なんだろうけどな」

「おっさんなあ……それほんとに俺らの前ぐらいでしか言うなよ? 毎日のように呑んだくれてるだけのおっさんに『ごっこ』とか言われると、おうおっさんちょっと表出ろってなるからな?」


 真顔で釘を刺すネイサンに、シロウは微笑して応える。


「もちろん、ネイサンたちみたいな《自力攻略》組にしか言わないさ。願わくば《サザリン》の子たちも、そんなふうに育って欲しいもんだけどな」

「あいつらなあ……あーでも、ちょっと俺らで教えすぎちまったか?」


 3週間ほど前を最後に顔を合わせていない新米たちの様子を思い浮かべながら、ネイサンは少しだけ気まずそうに呟いた。


「あの程度なら、自分たちで築いたコネクションの範疇じゃないか? どうやって戦えとか、ゴブリンからごく稀に××がドロップするとか言ったわけじゃないし」

「そうか。そうだよな。よし、あいつらはまだ立派な冒険者だ」

「俺もだけど、ネイサンも本当にあの子たちに入れ込んでるな」

「いやあ、最初はまあからかい半分みたいな感じだったけどな。それがこないだギルドで顔を合わせたときにな、この地区を代表する冒険者になりたいとか言いやがるから……」

「この地区の名前であるサザンリバーから取って、《サザリン》。そのセンスも含めて、《河南組》のリーダーとしてはグッときちゃったか」

「いろいろ似すぎてるのがちょっと恥ずかしいからよ、うちらのパーティ名はまだ教えてねえんだけどな……」


 いまやこの迷宮地区を代表する冒険者パーティであるネイサンたち。そのパーティの始まりが《サザリン》と同じ想いであったことを知るのは、シロウの他には古株の冒険者たちやギルド職員といった、ごく一部の人々だけであった。


「いい縁じゃないか。《サザリン》が無事に成長したとすれば、ネイサンたちがここの迷宮を攻略し終える頃に、ちょうどいい後継ぎになってくれそうだ」

「まあ、俺らが無事に攻略し終えるかって問題もあるんだけどな」

「いまこの瞬間で言えば、リーダーが真っ先に麻痺してそっから全滅しそうだもんな」


「はあああああああああ!!!! 俺のアミュレット!! いつできんだよおおおおおおお!!!!」


 この流れを待ってましたと言わんばかりに混ぜっ返したシロウの言葉に、ネイサンは絶叫したのであった。





「――ところで、シロウ。珍しくここんとこ顔を出してなかったみてえだが、寄る年波で風邪にでも負けたか?」

「歳のこと言うんじゃねえよ若ハゲ。ちょっと訳ありの昔馴染みが訪ねてきてな、ここじゃちょっと都合悪いんで家で会ってたんだよハゲ」

「なんだあ? ヤバい話なのかよ?」

「いやいや、真逆みたいな話だったな。いい歳したおっさんがいつまで酒浸りでぐーたら過ごしてんだって、説教されてた」

「ぶはははは! ヤバいのはお前の方だってか! そんで歳の話に敏感になってんのか!」

「これでもここに流れ着く前には長旅とかけっこうしてたんだし、まだしばらくダラダラしててもいいと思うんだけどなあ」

「はあん、訳ありってそういうことかよ。昔馴染みってのは、女だな? しかも女房みたいなもんだろ。な?」

「女ってのは正解だが、女房なあ……。付き合いが長すぎて家族みたいなもんって意味じゃその通りだけどな。正直なところ、そのへんは俺にもよくわからん」

「けっ、よくわからんだとよ。ずいぶんな余裕じゃねえかよ」


 シロウをおちょくるつもりがとんだ藪蛇だったと、ネイサンは苦虫を噛み潰したような顔でエールを煽る。


「そっか、ネイサンにはただのモテ自慢に聞こえるか。この感じはまだわからんのかなあ……。そうだなあ、ネイサンの近くだと、マーカスとルーシーか。そのままあいつらとパーティを組み続けてればそのうち――10年ぐらいしたらわかるのかもなあ。いやネイサンだと400年ぐらいはかかるかもな」

「あん? その昔馴染みの女ってのは、パーティ組んでた仲間ってことかよ? シロウお前、冒険者だったのか?」

「例えだよ、例え。でもまあ、はるばる世界の反対側まで旅するのって、立派に冒険でいいんじゃないかと思うけどな」

「あー、そりゃ確かにそうだな。しかしなるほど、パーティが家族みたいなもんだって言われてみりゃ、わかる気がするぜ。誓って俺とルーシーの間に色気のある話なんざねえんだが、たまーに、ルーシーの振る舞いを見てると、こいつは俺の女房だったっけな?って気分になることはあるわ」

「それだよそれ。まあ俺の場合は、さんざん色気にまみれた時期もあったけどな」

「結局モテ自慢じゃねえかよ。爆ぜてろジジイ」

「ふはは、年が寄るってのはな、モテの歴史が更新されてくってことだ。羨ましさと悔しさで枕でも濡らしとけハゲ」


 ネイサンとて女を知らない身ではないが、日の当たるところにいるよりも迷宮に潜っている時間のほうが長い冒険者という職業柄、普通の恋愛をするチャンスは少ない。よってたいていの冒険者は、「おいどんのおいどんが、どうしてもおさまらんのですばい!」ということになれば、プロの女性のお世話になるしかないというのが実情だ。

 対してシロウは、日の当たるなか、月明かりの下、街から街へ、村から村へと旅をしてきたのだから、ネイサンとは根本的に恋愛チャンスの回数が違う。それでいてネイサンよりも歳を取っているのだから、その試行回数の差たるや。モテの回数が女性と知り合う回数に比例するものである以上、環境の違いと歳月の差はいかんともしがたい。


「ちくしょう……俺、ここの迷宮を攻略したら……嫁さん探しに行くんだ……」


 血涙でも流しそうな声音で言葉を絞り出したネイサンを見て、シロウは吹き出してしまった。そして、諭すように静かな口調でとりなしにかかる。


「心配すんな。ネイサンお前、たぶん俺ぐらいの歳になると『いやもう、※※※が乾く暇ないわ!』ってぐらい、死ぬほどモテるぞ。むしろあんま早く結婚しないほうが平和かもしれんぞ」

「おおう、マジか……。だがよ、モテてえのは今なんだよなあ……」

「それたぶん一生言うことになるからな。ソースは俺。こんぐらい生きても、まだまだモテ足りない」


「――楽しそうな話で盛り上がっとるじゃないか。ワシも混ぜろ」


 これぞ呑み会トーク!という趣になってきたところで、ふたりのテーブルに白髪白髯の老人が割り込んできた。


「うえ!? ギルマス?」


 ネイサンに驚愕の声を上げさせた主は、このギルドのトップであるギルドマスターだった。プラチナと見紛うばかりに見事な白髪と白髯は、どちらも十分に長く伸ばされ、髪の方は頭頂部でひとつにまとめてある。昔は一流の冒険者だったと噂されているが、いつ頃にどのあたりで活躍していたのかといった具体的な話を耳にすることはないので、単なるヨタ話である可能性も高い。


「ちょっと早い時間じゃが、ワシの今日の仕事は終わったでな。たまには仕事場で呑むのも良かろう」





 その日、ギルドの酒場に異質な一角が出現していた。この迷宮地区の冒険者ギルドにおける総責任者ギルドマスターであるグレンと、地区を代表する中級冒険者パーティのリーダーであるネイサン、そして得体の知れなさで地区を代表する、呑んだくれのシロウ。ひとりだけ場違い感が凄い。だが――――


「ギルドマスター、お疲れさん。そもそも休みだったってのに、俺のために悪かったね。一杯だけ奢るよ」

「ふぉふぉふぉ、さっそく上司に付け届けか? 可愛いやつだのう」


 このやり取りに、呆気にとられたのはネイサンだった。シロウを指差しながら、グレンの言葉の意味を問いただす。


「ギルマス……? あんた今なんつった? 上司? こいつの?」

「おお、ついさっきからな。我がギルド《冒険好きのこひつじ》はな、このシロウを特任職員として雇用することに決めたぞ。お主らはもともと縁が深いじゃろうが、まあ改めてよろしくしてやってくれ」

「いや、特任なんちゃらってのもサッパリだが、そもそもどうしてこいつを雇うことに?」

「だから言ったろ。酒浸りでぐーたらしてんなって説教されたからだな」


 涼しい顔で事情説明を挟み込むシロウは、悪戯がまんまと成功した子供のような笑みを浮かべている。それから、少し気恥ずかしそうな表情になって続けた。


「すまん、要するにあれだ、秘密にしてたんだ。ギルマスとはもともと知らない仲じゃなかったんだよ。そんでまあ、なんか仕事するかってときに、ギルマスならこの地区の事情に詳しいだろ? それで相談してみたら、ウチで雇ってやるって言ってくれてな」

「そういうことじゃな。知らん仲ではないが、そもそもこやつが長旅に出てたりで、長いこと接点もなにもなかったからの。そんなのがこの地区にふらりと顔を出したところで、再会ついでに積もる話をすませたら、あとはそれまで通りに『いないもの』として過ごせばいいだけじゃからな。簡単な話よ」


 シロウとグレンの矢継ぎ早の説明でこれまでの流れは飲み込めたが、肝心なところがわからない。なので、ネイサンはシロウに問いを向けた。


「いや、そもそもなんだって秘密にする必要があったんだ?」

「そりゃあお前、今だって酒場でぐーたらしてるあのおっさんはなんなんだって言われてんのに、そんなのにギルマスがちょいちょい構ってりゃ、いよいよ何者だってことになるじゃないか」

「ワシはそれでも構わんかったんじゃがな。しかしまあ、冒険者たちに余計な気を回させるのも悪いと言われれば、それもそうじゃなと納得じゃろ。お主だったらどう思うかの? ネイサン」

「あー、そう言われりゃそうだな。ギルマスの知り合いってのがわかってりゃ、このおっさんとは距離を取ってたかもしんねえな」


 ネイサンが納得したのを確認したところで、シロウはネイサンに頭を下げた。


「とまあ、そういうわけだ。別にバレても構わなかったんだが、隠し事してたみたいですまなかったな」

「ああ、頭を下げるようなこっちゃねえよ。つうか、『バレても構わなかったが言ってない』っての、どうせまだまだいっぱいあんだろ?」

「うーん、それほどないぞ? 『バレると困るから言ってない』方なら腐るほどあるけどな」


 さらりとそんな事を言ったシロウにネイサンが目を見張ったところで、グレンが立ち上がってふたりに告げた。


「ふぉふぉふぉ。どんな話が飛び出すのかのう。しかしな、ワシが居着いておるせいで、酒場に入りづらそうにしとる連中もおるみたいじゃし、続きはワシの部屋でどうじゃ?」


 その言葉で酒場の入口に目を向けると、馴染みの冒険者たちがそのあたりにたむろしていた。今日の冒険のうさでも晴らそうと思って酒場に来てみれば、とんだ大物がいて尻込みしてしまったらしい。


「なんだなんだ、あいつらなんか後ろめたいことでもあんのかよ。まあでもギルマスの言うとおりかもしんねえな、河岸を変えて続きを聞かせろや、シロウ」


 シロウがネイサンの言葉に首肯して、3人はギルドの2階にあるグレンの執務室へと向かうのだった。



当初の予定でダラダラした物語のペースのままだと、ダラダラした感じでいくらでも書けてしまうので、ちょっとテンポを早めることにしました。予定が変わって構成を組み替えると、難産になるもんですね。


のんびりした与太話を好んでくれていた方がいらっしゃったら申し訳ない( _ _)ペコ

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