片思い
俺には好きな子がいる。
彼女は俺の幼馴染。
惚れたのは、高校2年の夏。
告白したのは3回。
ふられたのも3回。
「友達の期間が長すぎて」
そう言われてから月日が経ち
今、俺達は互いに認める親友となった。
毎日のように連絡も取り合う。
悩み相談、愚痴、自慢、取り留めのない話題ばかり。
俺達の距離は遠い。
決してそれ以上は近づけない。
現在、大学1年の春の終わり。
講義の空きコマ。彼女へ送るメッセージを考えてほおづえをつく。
胸がぎゅっと痛くなる。
大学で、女友達が増えた。
可愛い人、性格のいい人。客観的に魅力的だと思える女性が近くにいる。
それでも、俺はそんな彼女達に胸の疼きを感じない。
馬鹿だって、自分で分かってる。
一度は忘れようとした。
自分の嫉妬心が憎くて、交流をたったこともあった。
他の人を好きになった時期もある。
でも、ふとした瞬間。
脳裏を過ぎるのは彼女だった。
この前、久々に彼女とあった。
髪を染め、薄く化粧をした彼女は、若干垢抜けた大学一年生。
でも、笑った彼女は、記憶通りの彼女。
女の子らしい香りも変わっていない。
一緒に写真を撮って、別れた。
今度会えるのはまたずっと先のことだろう。
彼女との距離感が分からない。
表の自分は言う。
「忘れろ」
────恋愛対象としてみるなと
親友。
あぁ、彼女は確かに親友だ。
でも、……裏の、本音の自分はこうつぶやく。
「無理だ」
────好きになってしまったんだから
決して叶わない片思い。
とても苦しくて辛い。
振り向いてもらえない、それは分かってる。
いっそ、嫌われたら、連絡さえ取らなかったら……。
そしたら、こんなに悩む必要はなかっただろう。
定期的に長電話をする。
彼女の声を聞く、彼女のSNSの投稿を見る。
その度に、胸が疼いた。
こっちの気を知ってか知らずが、彼女はそんな俺をある程度受け入れてくれる。
友と恋人の境目。
あやふやな境界線が俺達を分断している。
俺は馬鹿だ。
恋愛は付き合う前が1番楽しい?
笑わせんな、そんな気持ち、全く分からない。
『あなたは本気で人を好きになったことがありますか?』
────はい