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信長公弟記~織田さんちの八男です~【コミックス6巻】発売中  作者: 彩戸ゆめ
戦国時代に平穏はない

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94 弓の改良

 尾張にやってきた明智光秀は、意外とすんなり家中に溶けこんだ。まあ、今の織田家って地方の田舎大名に過ぎないからさ、そこに名門土岐家の傍流が来たっていう扱いで、一目置かれてる感じかな。


 だから信長兄上もそこそこ敬意を払ってる気がする。比較対象が熊とかツッチーなんで、敬意を払ってるって言っても、すぐ頭を殴らないって程度だけど。


 ほんとにな、すぐゲンコツが降ってくるの、やめて欲しい。あれで絶対、俺の貴重な脳細胞のいくつかがお亡くなりになってるはずだ。一応、手加減はしてくれてるみたいだけど、痛いのは痛いんだよ。


 っていうか、周りが脳筋ばっかだから、兄上がすぐ手を出しても、みんな何とも思わないらしい。……くそう。脳筋だらけめ!


 そんな中、知的で穏やかな光秀殿との会話はホッとするなぁ。


 最初は謀反を起こすからと思って警戒してたけど、今の光秀殿にはそんな気配は一切ない。むしろ、凄い良い人なんだよな。

 きっとあれだ。明智城が落城しなくて流浪の生活をしてないから、性格が荒んでないんだよ。


 最近では俺が月谷和尚さまのとこで勉強する時は必ずついてきて、なんか俺より熱心に勉強してる。そして俺には理解できない高度な兵法とかの議論をしてる。

 俺はその横で、分かったふりをしてフンフンと頷いているだけだ。


 あれ? これって俺の勉強になってるのかね?


 ま、まあ、聞いているだけでも知識が増えるしな。

 きっと無駄じゃないのさ、うん。


 いきなり明智殿が尾張に来た時はびっくりしたし、もしかして歴史を変えちゃってやばいのかなとも思ったけど、よく考えたらこの時代に俺みたいなのがいる時点で元々の歴史とは違ってるだろうから、あんまり気にしないことにした。


 そもそも俺は、本能寺の変フラグをぶち壊して、信長兄上による天下統一が見たいわけだからさ。それってもう歴史改変だろ? だったら俺の知ってる史実と多少の違いはあっても仕方ないかって思った。


 歴史が改変したら、俺が知ってる歴史の知識も使えなくなるけど、そもそも普通は未来なんて分からないわけだしな。俺も、今のこの人生を一度きりのものだと思って、ちゃんと生きていけばいいんじゃないかなって。


 あの織田信長の弟だし、もしかしたらいずれ戦場に駆り出されて、そこで無残な死を迎えるかもしれんけど……そこで悔いのない人生だった、って思えるような一生にしたい。


 そりゃあ、百歳まで生きて畳の上で大往生が一番だけどな。でもそれが本当に実現可能なのかどうかって考えると、難しいところだ。

 なんせ信長の兄弟ってほとんど戦死してるからな。確か、一向一揆との戦いで死んだ人が多いんだっけか。


 戦かぁ……実際に戦う事になったら生き残れるのかね。槍はあんまりうまくないから、最近はもっぱら弓の練習をしてるんだけどな。そのうち硝石がたくさん作れるようになったら鉄砲の練習をするのもいいけど、火縄銃って顔に火傷することも多いから、どうだろう。

 顔に黒い斑点がそばかすみたいに残るんだよな。


 確か傭兵で有名な雑賀さいか衆の雑賀孫市も、火縄銃の名手で、顔に火薬が飛んだ時にできた火傷の跡っていうか、そばかすが特徴じゃなかったっけ。


 うーん。俺は男だから顔に火傷の跡が残っても別に構わないといえば構わないけど、やっぱりわざわざ自分から火傷したいとも思えないよな。


 よし。銃は却下で、弓の練習をしよう。


 だけど弓もなぁ。もう少し強力な弓はできないもんかね。

 俺がまだ子供で非力なだけなんだけど、あんまり矢の飛距離とか威力が伸びないんだよな。こういう弓道で使うような弓じゃなくて、アーチェリーとかで使う弓の方が威力がありそうなんだけどな。


 クロスボウが作れればいいんだが、作り方は知らんしなぁ。構造もさっぱり分からんから、再現は無理だ。

 アーチェリーの弓なら、見た目は分かるけど構造がなぁ。確か、動物の足の腱を使ったりするんだよな。骨とか。

 

 あれ? 結構覚えてるな。


 ああ、そうだ。剛腕でGOでもアーチェリーを作ってたな。そういや。


 確か最初に軸になる木製の弓を作るんだよ。それで、弓を引く時に伸びる側の外側に糸状にほぐした動物の腱を貼り付けて、縮む側の内側には動物の角や骨を貼り付けて作るんだっけ。


 ただ、動物の腱を糸状にほぐす作業が凄い大変そうだったんだよなぁ。リーダーは楽しそうにやってたけど。ああいう、チマチマした作業が好きだったんだよな、剛腕でGOのリーダーって。


 にかわで材料をちゃんと貼り付けるのも大変そうだったよな。


 でも、これが作れたら結構良くないか?


 よし。ちょっと信長兄上に提案してみようか。


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