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信長公弟記~織田さんちの八男です~【コミックス6巻】発売中  作者: 彩戸ゆめ
家督争い

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69 兵糧ちまき

「永田徳本殿に、尾張に来ていただくことができないでしょうか」

「さて。かの御仁を動かすには、銭にあらず、恩にあらず、ただ徳のみと言われております。喜六郎様はどのような徳をもって永田殿を動かしますかな?」


 徳……徳かぁ。

 今の時代で死病と言われてる色んな病気を、歴史よりもちょっとだけ早く治したいっていうのは、徳になるんだろうか。


「病いをこの世から完全になくすことはできません。ですが病いに効く治療を見つければ、助かる人もいるのだと思います。私はその、きっかけを作りたいのです」

「喜六郎様が御仏の叡智でもって病いをなくすのではないのですか?」


 驚いたように言われて苦笑する。

 仏様の遣いみたいに言われてるけど、俺は普通の人間だよ。ただちょっと未来の知識があるだけでさ。

 だから何でもかんでも分かるわけじゃないし、出来るわけでもない。未来の知識を再現できるのか、試行錯誤してやってきてるだけなんだ。


「私には医学の知識はありませんよ。ですから実際の臨床は、お医者さまにしていただくことになると思います」

「ですが、どのような病を治すのか、目安はつけていらっしゃるのでしょう?」

「ええ。まあ、そうですね」

「では、どのような病を治したいと思っていらっしゃるのですか?」

「まずは脚気ですかね。それから時間はかかるかもしれませんが、疱瘡を」

「脚気に、疱瘡……」


 それを聞いた滝川殿はしばらく瞑目した。そしてゆっくりと口を開く。


「なるほど。それならば永田殿も織田へ……いや、喜六郎様に仕官なさるかもしれませぬな。手の者を遣いにやりましょう」


 おお、それはラッキーだ!

 俺だってこの世界では免疫がないから疱瘡になるかもしれんしね。ワクチンができれば万々歳だ。


「滝川殿、よろしくお願いします」


 よーし。いい感じだぞー。


 


 次は戦に持って行く常備食の開発だ。


 この時代の足軽の給料は、米だ。一日に大体六合支給されるから、それを目当てに小さい子供が戦に参加しようとすることもあるくらいなんだそうだ。

 他に、塩は十人に一合で味噌は十人に二合、支給される。これらの兵糧は小荷駄隊と呼ばれる、補給部隊みたいな兵士が運ぶんだな。


 主食は支給されるけど、おかずは自前だ。といっても戦の最中に狩りができるわけでもないから、その辺の野草を摘んできたり、芋茎や干し魚を自前で用意していた。


 芋っていうのは大体、里芋のことだな。これの茎を数本ずつ編んで縄状にして、味噌で煮詰めておく。そうすると戦場でお湯をかけて味噌汁として食べれるってわけだ。

 戦国時代版、インスタント味噌汁だな。薄味っぽいけどな。


 確か熊本城の畳がこの芋茎を使ってるんじゃなかったかね。籠城してもいざという時に飢えないように、食べれる畳を作ったとか。畳っていっても、外側に面してる部分じゃなくて、中の芯のところだったみたいだけどな。

 さすがに足で踏みまくってる畳は食べたくないよな。籠城して飢えてどうしようもなくなったら食べるかもしれんけど、それを想定して作ってるんだから、足で踏まない部分を食べれるようにしたんだな。

 なんというか、人間の知恵って凄いよな。


 米は一度水に晒して、それを干したのを持って行くらしい。干飯ほしいいって言って、一年くらいはもつらしいな。時間がない時はそのままポリポリ食べるんだとか。


 足軽たちは基本的に自炊だ。陣笠を鍋代わりにするなんていうのは、結構よく聞く話だな。


 他には兵糧丸とか飢渇丸きっかつがん水渇丸すいきつがんなんていう、水で晒した白米とか蕎麦粉に、梅干しとか松の実やゴマと干した野菜を加えて作った携帯食もある。


 ああ、味噌を使った変わり味噌玉なんていうのもあったっけ。


 これらは主に忍者が使ってる携帯食らしいな。


 いや、俺も現代で聞いたことあったけどさ。てっきりこの時代に普通に食べられてるものかと思ってたら、忍者の秘匿してる知識だったらしいんだよ。びっくりだよな。


 でももっとびっくりなのは、忍者の機密情報を何気に知ってる月谷和尚さまだよ。ほんと、あの人、何者なんだろうな?


 俺が作るのはその兵糧丸と味噌玉を足して二で割ったような携帯食だ。


 まず、唐から輸入して栽培しはじめたばかりの京にんじんと、大根と椎茸をみじん切りにする。これを味噌で煮た後に干して乾燥させておく。

 次に鴨肉を細かく切って、これも味噌で煮て乾燥させておく。いわゆる味噌味ジャーキーだ。

 最後に笹の葉の上に干飯と野菜と鴨肉と味噌を入れて包む。見た目はちまきだな。

 これなら戦の時でもしばらくもつだろう。お湯を入れれば、味噌スープご飯ってとこか。


 でも味噌スープご飯ってネーミングじゃイマイチだな。

 どんな名前がいいかね。

 兵糧ちまきなんていいんじゃないか?


 断じて猫まんまじゃないからな。あれは残り物のご飯に、同じく残り物の味噌汁をかけた、寂しい独り者のご飯だ。全然違う。違うったら、違うんだぞ。


 本当は最中があればいいんだけどな。椀の中に入れてお湯を注げば、そのまま食べれるインスタント味噌汁だ。現代でもそんな商品があったよな。


 最中はどうやって作るんだろうな。やっぱり小麦粉か? 代用で、米粉か何かを水で練って焼いたら、同じようなものができるんじゃないかな。


 よし、今度それで試してみよう。




最中の原料はもち米の粉。

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