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信長公弟記~織田さんちの八男です~【コミックス6巻】発売中  作者: 彩戸ゆめ
永禄二年

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186 夏の嵐 その1

 俺と信長兄上の協力が効いたのか、藤吉郎とねねは次第に距離を縮めていったみたいだ。めでたし、めでたし。


 そして信長兄上は吉乃さんとの間に、三人目の子供ができたみたいだ。よく考えたら三年連続で子供が生まれるってことだよな。

 うむ。仲良きことはうるわしきかな。

 こっちのカップルも、めでたしめでたしだ。


 でもさ、今までずっと信長兄上は吉乃さん一筋かと思ってたんだけどさ。なんだか美和ちゃんを千秋さんとこの養女にする件で熱田に通ってるうちに、そこでも子供作ってるんだけど、どういう事だろう。


 信長兄上いわく、据え膳を食わねば男がすたるんだそうだ。いや、別においしくないものだったら食べなくてもいいんじゃないかと思うんだけどな。


 あれ? 信長兄上にとって、吉乃さんと濃姫だけが特別なんじゃなかったのか? 据え膳食べまくってたら、プレイボーイの信行兄ちゃんと大差ないじゃないか。


 しかもつけた名前が、吉乃さんとの第二子は茶筌丸(ちゃせんまる)で、熱田の彼女との子供は三七ってどうなんだよ。茶筌はお茶をたてるときに使う、あのシャコシャコかき混ぜる道具だし、三七の名前に由来に至っては、三月七日に生まれたからっていう適当さだ。


 いくら幼名は子供の時しか使わないって言ったって、もう少しちゃんとした名前を考えてあげればいいのに……


 現代で言えば、子供に夜露死苦(よろしく)って名前をつけるのと同じくらいのドキュン臭がするんだが。


 信長兄上ってイケメンでカリスマ性も先見の明もあるけど、ネーミングセンスだけはないよな。


 良かった。俺は弟で。

 もし信長兄上の子供に生まれてたら、とんでもない名前をつけられてたところだ。


 そんな信長兄上は、今年の津島の天王祭ではコスプレを封印していた。


 去年は神話シリーズで、信長兄上が素戔嗚尊(すさのおのみこと)に扮して、つっちーこと池田恒興とか前田利家たち八人の馬廻りが蛇の扮装をして八岐大蛇(やまたのおろち)退治の一幕を演じていたんで、かなり見ごたえがあった。


 一昨年、鷺の被り物をしてウケていた祝重正(はふりしげまさ)は、また被り物担当ということで酒壺に扮していたから、今年はそれに輪をかけて凄い被り物を披露してくれると期待していたんだけどな。残念だ。


 ちなみに絶世の美女の櫛名田比売(クシナダヒメ)役は、熊だった。

 ……うん。あれはあれで、なんというか怖い物見たさの出来上がりで味があったと思う。また見たいとは思わないけど。


 俺は櫛名田比売の櫛の化身だった。

 確か櫛名田比売自身が櫛になって素戔嗚尊の髪の毛に差してあるんじゃないのか、とか、それって櫛が櫛を差すってことか、とか色々つっこみどころが満載だったけど、とにかく市姉さまと犬姉さまが気合を入れて作ってくれた、なんだかヒラヒラした衣装を着せられた。


 周りには好評だったけど、歩きにくいからあの衣装はもう着たくないな。


 このままエスカレートして現代のハロウィンみたくなるのかと思ってたけど、どうやら信長兄上はコスプレするのに飽きたらしい。今年は大人しく津島の天王祭を見物するんだそうだ。

 まあ、日本テイストでコスプレすると、ハロウィンっていうより百鬼夜行になりそうだからな。仕方ないか。

 

 宵祭(よいまつ)りの際に川にかかった橋の中央にしつらえられた席は、特等席だ。そこに信長兄上と正室の濃姫、三人目を妊娠中でお腹の大きい側室の吉乃さんと奇妙丸がいる。茶筅丸と三七は、まだ小さすぎるから連れて来られなかったんだろうか。

 でも奇妙丸もまだ二歳で小さいけど、大人しく座ってるのが凄いな。さすが信長兄上の子供というべきか。


 その隣には、最近ようやく許されて公の場に出てこられるようになった信行兄ちゃんと、正室の千代さんと嫡男の御坊。岩倉城攻めで活躍した信時兄さんとその家族も座っている。

 そして反対側の隣には、俺と美和ちゃんが座っている。


 その横に、守山城主の信次叔父さんとか秀敏大叔父さん、亡くなった信光叔父さんの後を継いだ従兄弟の信成や、犬山城の城主の信清と正室の奈津姉さんが座っている。


 いわゆる織田ファミリーが勢ぞろいしてる感じだな。


 橋のたもとの方にしつらえられた席は家臣とその家族の席だ。一昨年、俺と半兵衛に天王祭の説明をしてくれた堀田道空殿も、今年は家臣の席に座っている。


 半兵衛も近い所で見れれば良かったんだけど、客将で家臣じゃないからなぁ。どこか離れたところで見物しているんだろうと思って見回すけど、さすがにこれだけの人の仲から半兵衛の姿を見つけるのは不可能だ。


 そのうち正式に織田の家臣になったら良い席をキープしてやるから、それまでは我慢してくれよな。


 そんな事を思いながら視線を戻そうとすると、何かが視界の端に引っかかった。


 ん? 何だ?


 もう一度視線を戻すと、そこにはただ祭りを見物している男たちがいるだけだ。別に怪しいところは……


 いやちょっと待て。こういう祭りには嫁とか子供を見物に連れてくるものだけど、あの集団には女子供が一人もいなくて、男だけじゃないか? しかもこの辺りの農民ではなく、明らかに武士らしい身なりをしている。


 遠目に見た限りでは、大体五十人くらいの集団だろうか。

 不意に、その中央に立つ男と目が合ったような気がして、背筋がそそけ立った。


 一瞬の視線の交差で、まるで信長兄上を前にした時のような威圧を感じる。


 あれは―――誰だ?!


登場シーンだけで終わってしまいました。

あれ?

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