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信長公弟記~織田さんちの八男です~【コミックス6巻】発売中  作者: 彩戸ゆめ
永禄元年

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165 初陣の後

 初陣の後に寝こんだ俺は、一応は武功を立てていたことで、陰で姫若とか不本意なあだ名でよばれる事はなかった。


 でも、色々と精神的にしんどくて、俺は逃避に走った。

 つまり、具体的に言うと、前世の知識をフルに生かして色々な物を作ったんだな。全部「剛腕でGO」の知識だけど。


 唐箕とか千石通しとかを作成し、南蛮吹きによって銅から金と銀を抽出するやり方を教え、養蜂のコツなんかも書き記した。養蜂は実際に始めるのは春からだけどな。


 その間龍泉寺城の普請に口を出したりして、居住する屋敷の東にちょっと深い井戸を掘らせて温泉の発見をした。もちろん温泉設備を増築したのは言うまでもない。


 他にも思いついた事は全部やった。後悔はしていない。キリッ。


 いやほんとは、ちょっとやりすぎたかなって思わなくもないけど。あの時の俺は、そんな事すらも考えられなかったんだよな。


 後で思い返してみると、思いっきり黒歴史だ。ただ、それはそれで織田家の役に立ってるってことで良しとしよう。うむ。


 俺の初陣のトラウマは、そんな日々を過ごすことによって、少しずつ色褪せていった。


 昔の偉い人―――ああ、この時代よりは後なのかもしれんけど、誰かが言った「年月は、人間の救いである。忘却は、人間の救いである」っていうのは、まさにその通りだと思う。


 時間が経つにつれ、あの初陣の時のやるせなさとか理不尽さを飲み込めるようになったと思う。


 きっと、戦をする度に俺はまたそうして傷つき、その傷を治し……


 やがては何も考えなくなるのかもしれない。

 その方がきっと楽だって分かってるけど。


 でも、俺は。


 俺は、誰かを殺す重みを忘れたくないと思うんだ。


 だから信長兄上が浮野の戦場に供養塔を作るって聞いた時は、俺もその法要に参加させて欲しいってお願いした。


 法要には、すっかり墨衣が板についてきた信行兄ちゃんが来てくれた。

 戦った信賢軍は、敵とはいえ、元々は同じ尾張の民だからな。弾正忠家の者がこうして弔うってことに意義があるんだろうと思う。


 一騎討ちをした橋本一巴殿は、家族の元に帰って丁重に弔われた。葬儀には信長兄上も参列して、遺族の人たちはとても感動していたそうだ。


 まあ、当主がわざわざ討ち死にした家臣の葬儀には参列しないからな。

 でもそれくらい重用されてたってことだから、残された嫡男の、えーっと、なんだったかな。ああ、道一みちかず殿も、変わらずに信長兄上への忠誠を誓ってくれたらしい。


 敵方の林弥七郎殿のところはよく知らなかったんだけど、俺が気にしていたのをどこからか聞いたのか、なぜか鵜飼孫六殿が調べてくれた。

 なんでも、男子は後継の男子のいない杉原家の養子に、女子は同じく女の子が生まれなかった浅野家の養女になったんだとか。


 林殿の子供が全員養子にもらわれていくことになったのは、浮野の戦で一騎討ちをして名を高めたかららしい。


 ……もしかしたら、橋本殿は、それを狙っていたのかもしれんな。


 そしてなんでそんな事を鵜飼殿が調べられたのかに驚いたんだけど、なんと鵜飼殿は甲賀の忍者だったんだよ!?


 忍者だよ、忍者。本物だよ!

 これはもう興奮するしかないよね。

 でもって勧誘するしかないよね。


 年が明けたら俺は元服する。その際に新たに家臣を雇わなくちゃいけないんだけど、これがまた人材がいないんだよな……


 信行兄ちゃんに仕えてた人たちが余ってるっていえば余ってるんだけど、龍泉寺城の中には元の龍泉寺を少し残してて、そこに信行兄ちゃんが僧侶として在籍してるからさ。一応、信行兄ちゃんをそそのかして家督を奪わせようとしてた人たちなんで、あんまり信行兄ちゃんとの距離が近づくのはまずいと思うんだよな。


 熊は末森の城主だしさ。


 そう。城代じゃなくて、今回の功績で城主になったんだよ。でもって秋に綿花の収穫もできてさ。その功績も重なって。


 なんと年明けの春頃には、めでたく市姉さまと結婚することになったんだよ!


 めでたいなんてもんじゃないよな!


 プロポーズの言葉は、


「病める時も健やかなる時も、市姫様だけをお慕い申しております。その身一つで構わぬゆえ、それがしの元に嫁いでくださらぬか」


 だったんだって。

 他にも同じような意味の和歌を贈ったらしいけど。


 なんで知ってるかって?

 そりゃあ、俺が熊に、市姉さまにちゃんとプロポーズしろってせっついたからだな。


 この結婚は信長兄上が決めた政略的なものだけどさ、熊と市姉さまが両思いなのは確かだからな。日本初のプロポーズを熊にプレゼンしてみたら、それに乗ったってわけだ。


 もちろん花束は薔薇……にしたかったけど、日本になかったから秋明菊しゅうめいぎくの花束にした。菊って感じの花じゃなくて、もっと可愛い桃色の花だ。


 それをもらった市姉さまはさ、本当に嬉しそうにしてくれたんだって。


 ほんと、良かったよ。


 それで俺の傅役だった熊は末森城主でリーダー滝川もその補佐につくからさ、俺の家臣になってくれそうな人がいないんだよ。タロジロは護衛だし。


 明智のみっちゃんは与力で来てくれることになったけどさ。なんか俺のお目付け役って言ってた。別に目付なんかつけなくても、信長兄上に対して謀反なんか起こさないのにな。


 他には俺より三つ上の、武藤舜秀って人が来るらしい。


 半兵衛が織田に臣従してくれたらいいんだけど、美濃の齋藤義龍への対策として、うちの他にも近江の六角家とも手を結んでるらしい。半独立勢力ってとこだな。

 だから完全に信長兄上の家臣になってるわけじゃなくて、客将扱いだからなぁ。


 滞在するとこを提供するって名目で龍泉寺城に来てもらうって手もあるけど。


 とにかく人材不足なんだよな。


 忍者嫌いの滝川リーダーは末森に残るわけだから、甲賀忍者の鵜飼さんをスカウトしてもいいよな?



名古屋の天然温泉は地下6キロまで掘らないとダメだそうです。

きっと後世の地震で温泉の水脈がずれたんですね!

そういうことでお願いします。

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