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信長公弟記~織田さんちの八男です~【コミックス6巻】発売中  作者: 彩戸ゆめ
弘治三年

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129 牛さん

 でもヤギって見たことないよな。日本にはいないのかもしれん。

 そうすると牛の放牧かな。牛乳も飲めるしチーズもバターも食べれるし、何といっても牛肉はうまい。

 うん。牛だな!


「遊水池を作りましょう」

「ゆうすいち、ですか?」


 俺がそう言うと、聞きなれない言葉に、みっちゃんと半兵衛が顔を見合わせた。

 俺はその辺の枝を拾ってきて、水が引けてちょっとぬかるんでる地面に庄内川と龍泉寺城の地図を描く。


「川の水が増水した時に、こうして水を貯められる場所を作っておくのです。普段は柵を作って逃げられぬようにしておいてから、牛を放しておけば良いと思います」

「牛を放す? 何のためにですかな?」


 みっちゃんが不思議そうに聞く。

 ああ、そうか。牛の使い道って荷物運んだり耕作に使ったり、牛車……は、もう使ってる人はいないか。まあそれくらいなんだよな。

 しかも荷物を運ぶって言っても、道路が整備されてないから、馬みたいに一頭にそれぞれ荷物をくくりつけて運ぶしかない。でも牛は進むのが遅いからな。どうしても荷物運びで重用されるのは牛より早く進める馬のほうになる。


「牛の乳は栄養があります。それを使って食べ物を作るのです」


 最初から牛乳を飲めって言われても抵抗感があるだろうから、まずはバターとチーズを作るのはどうだろう。

 でもバター作るならパンも作らないとな。使い道がなくなる。白身魚のバターソテーって手もあるけどな。バターは生クリームをペットボトルに入れてシャカシャカ振るとできるんだよな。


 生クリームを作るのは、そんなに難しくない。確か冷暗所に搾りたての牛乳を入れておいて、一日経ったら生乳と生クリームに分離してるんだよ。剛腕でGOで自家製バターを作るっていうのもやってたからな。それで覚えてる。


 チーズはどうだったかなぁ。ホロホロっとしたチーズなら、牛乳を温めたところにレモン汁を入れて、それを布巾で濾して作ってたんだけど、あの固いチーズは他にも色々入れてた気がする。


 そこら辺は後で考えるしかないな。とりあえず牛の放牧……牧場だな。


 よーし、よしよし。これで牛肉食べれるようになるな。諏訪神社に奉納すればいいんだしな。

 醤油モドキができたから、和風ステーキなら作れそうだな。あとは牛丼か。牛丼はつゆだくだな。


「しかし、放すといってもどうするのですか? すぐ盗まれるのではないでしょうか」

「もちろん牛飼いを雇って、夜は小屋に入れるようにします。小屋は高台のほうが良いかもしれませんね」


 そしたら洪水の時はそっちに避難させればいいからな。餌もそこに少し保管しておくといいかもしれん。


「ゆうすいちを作るにしても、人手と銭はどうなさるのですか?」


 みっちゃんの疑問に俺は腕を組んで考えた。

 問題はそこだよなぁ。治水、ってことでどうにかならないかなとも思うけど、わざわざ龍泉寺城のとこだけにそんなにお金をかけられないよなぁ。


「龍泉寺城ができてから、ゆっくり遊水池の普請をするのが良いでしょうか」

「しかし、それでは城下町はどう作るのですか?」


 うーん。そうだよなぁ。半兵衛の言う通りだよな。遊水池を作る職人さんたちの住む場所も必要だしなぁ。


「それに、牛を飼うとなると、臭いもひどいのではないでしょうか」


 忘れてた! あれか、牧場の臭いってやつだ。

 あ~。あれなぁ。結構臭うんだよなぁ。

 そうか。近くに牧場があるとそういう弊害があるのか。うーん。


「もう少し龍泉寺城から離れた場所に、そのゆうすいちとやらを作るのであれば、臭いはここまで届かぬだろう」

「なるほど。では東側はわざと湿地にしておいて、防御を固めるという事ですね」


 みっちゃんと半兵衛が、俺の描いた図を見て、ああだこうだと意見交換をしている。

 うん。いい意見が出そうだしな。こういうのは頭の良い二人に任しておこう。


 それにしても銭か。人出はあれだ。銭さえあればどうとでもなる。でも銭がないと何もできん。


 っていってもなぁ。この時代、アイデア料とかもないし、お金の稼ぎようがないんだよなぁ。


 武士の場合は主君に仕えてそこから俸禄ほうろくとして土地をもらう。これが知行だ。

 でも土地には限りがあるからな。手柄を立てた時の報奨金なんかは、知行に限らず武器とか茶器とか、感状っていう「こんなにがんばってくれたんだね、ありがとう」っていう感謝状をあげるわけだ。ほら。負け戦とかだと、土地は増えないからあげられないけど、一生懸命戦働きをした家臣をねぎらわないわけにはいかないからな。


 硝石が作れてれば儲かったんだけどな。まだあれは実験段階で、ただの肥料溜まりだ。


 あと何かないかな。元手がかからなくてがっぽがっぽ儲かるヤツ。

 そんなの、賭博か宝くじしかないか。

 でも賭博は恨まれそうだし、宝くじも利権がからんでめんどくさくなりそうだよなぁ。


 いやでも、利権がめんどくさいなら、丸投げすればいいんじゃないか? でもって売り上げの何割かをもらうとか。

 ちょうどうまい具合に、治外法権な権力を持ってる方が俺の未来のお舅さまじゃないか。


 そう。熱田神社の大宮司の千秋殿を巻き込めば、うまくいきそうじゃないかな!?

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