表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
信長公弟記~織田さんちの八男です~【コミックス6巻】発売中  作者: 彩戸ゆめ
弘治三年

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

114/237

114 薬師

サブタイトルの上に話数を入れました。(作業中)

それと読みやすくするために章を作りました。

「薬師の知りあいでもいればいいんですけどね……薬草に詳しい人はいないでしょうか」


 俺がため息交じりにぼやくと、なぜかみんなに不思議そうな顔をされた。そして話を聞いていた信行兄ちゃんが俺の後ろを見ながら言った。


「薬草ならば、そなたの護衛が詳しいであろうに。山伏なのだろう?」


 えっ。山伏って薬草にも詳しいのか!?

 タロジロに確認してみると、山に生えている草ならどんな症状に効くか分かるそうだ。

 へー。知らなかったよ。


 でも知らなかったのは俺だけで、山伏が薬草とか木とか鉱石に詳しいのは常識らしい。なんか、俺って、もしかしてこの時代の常識を知らないのかな。


 いやでも喜六の記憶はちゃんとあるんだから、知らないってことはないと思うんだけどな。

 ……もしかして、元々常識を知らない子だったなんてことはないよな。前世の記憶を思い出さなかったら、今より無知な子になってたなんてことは……う、うん。ないと信じよう。うん。


「では痛み止めならば何を使えば良いのですか?」


 そう聞くと、タロジロは顔を見合わせた。それからタロが説明をする。


 どうせ口を開くのは大体タロの方なんだから、顔を見合わせないでそのままタロが喋ればいいのに。


鳥兜とりかぶとでござろうか」

「ですが、量を誤ると死にますな」

「死にますな」


 うわぁ。俺でも知ってる毒草の名前が出たぞ。凄い毒性があるんじゃなかったっけ。

 でも毒草も適切な分量で使えば、薬になるってことなのかね。


「ちょうど良い量というのは決まっているのですか?」


 いやだから、答える前に顔を見合わせるなよ。真面目な顔して毎回やるから、いっつも笑いそうになっちゃうんだよな。


「それは人によって違ってまいります」

「ということは、どれくらいの量で効くのか、各自で確かめていたのですか?」

「さようでござる。同じ鳥兜でも薬にならぬ物もございます」


 ってことは、トリカブトには毒薬だけど薬に使える品種と、ただ毒薬にしか使えない品種があるってことか。これは、ちゃんとした知識がないとマズイな。


「だとすると、間違った量を摂取してしまって亡くなってしまった方もいたのでは?」


 俺の質問に、タロジロは揃って頷いた。

 だよなぁ。トリカブトは猛毒だって聞くもんなぁ。


 山伏は、っていうより、タロジロがいた鵺って組織は特殊らしく、薬草にも精通してなくちゃいけなかったらしい。だから少量ずつ毒の効果を自分で試して適量を覚えるんだとか。


 ちなみにトリカブトは根を乾燥させて毒性を弱めて使うんだけど、球根のまんま摂取すると即死するそうだ。

 うわぁ。そんなに凶悪な毒草なのか。


 乾燥させた状態でも適量を計るのは難しいから、山伏の中にはその適量を間違えて死んじゃう人もいたらしい。

 だけど、鍛錬の間に怪我で死んじゃう人もいたっていうから、かなり厳しい組織だったんだろうな。


「他に、あまり害のない薬草はないのでしょうか」


 薬草園で育てるにしてもトリカブトはなぁ。もし万が一事故でもあったらシャレにならん。管理するのも大変だろうしな。


「桂枝や芍薬などがありまする」


 他にも生姜とか甘草を混ぜて、山伏はそれを携帯できるような丸薬にするんだそうだ。それってもう立派な薬だよな。

 お医者さんじゃなくても、タロジロがいたらなんとかなりそうだな。


 二人に薬草園を造るのを手伝ってもらって、手書きの図鑑なんかも描いてもらえば救護隊を作るのもはかどりそうだな。

 どっちみち俺の護衛役でずっとそばにいるんだから、一緒に薬草のお世話してればいいしな。絵は俺が手習いの時間に描けばいい。


「絵、でござるか」

「絵、でござるか」


 そこ、別にハモらなくてもいいから。


「もし苦手なら私が絵を描きましょうか?」


 筆はちょっと苦手だから無理だけど、クレヨンもどきで描くならできるぞ。

 そう思ったけど、タロジロは一応絵も描けるらしい。日本で初めての植物図鑑にイラストを描いてみたかったけど、ちょっと残念だな。


 薬草図鑑とは別に、応急処置マニュアルみたいな物も作るといいかもしれないな。直接傷口を押さえる圧迫止血とか、傷口よりも心臓に近いとこを布で縛るとか。

 戦の最中じゃなければ、水をたくさん使って傷口を洗い流すっていうのも書いておくといいかもしれんね。


 人工呼吸は心臓マッサージと一緒にするんだよな。えーと胸の真ん中のとこに両手を置いて、心臓マッサージして、垂直に圧迫して。

 ああ、でもこれは実地で見せないとダメだよな。俺も毎年会社の救命講習やってたから覚えてるんだけどな。なぜか毎年、俺だけ人形とマウストゥーマウスしてたんだよな。AEDの使い方もバッチリだぞ。この時代にはないから意味ないけど。


 いやちょっと待て。実践で見せるとなると、マウストゥーマウスをしてみせなくちゃいけないってことか!? しかも訓練用の人形のアンちゃんはいないんだぞ。ってことは、人間相手に実地訓練をしなくちゃいけないってことか?







 うん。この時代に人工呼吸はまだ必要ないかもしれんね!


トリカブトは猛毒です。素人は触っちゃだめです。

感想欄にて草薙 京介さまよりトリカブトについて以下の注意書きを載せた方が良いとのご指摘を受けましたので、ご本人に了承を得た上で転載致します。


>そのまま球根を摂取すると、猛毒(致死量0.3ミリグラム以下)で即効(数十秒で死亡)なので、

>体を慣らす為に摂取するのは文字通り自殺行為かと…。

>修治処理した附子で毒性が約1000分の1になり、鎮痛・強心作用が有る


だそうです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミカライズ連載中
どこでもヤングチャンピオン・秋田書店
ニコニコ静画
にて好評連載中

コミックス3巻発売中
i862959

Amazonでの購入はこちらです
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ