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信長公弟記~織田さんちの八男です~【コミックス6巻】発売中  作者: 彩戸ゆめ
戦国時代に平穏はない

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101 機密扱い

「そもそも、喜六郎様にはそのような遠回しの表現をしても伝わりませんよ。はっきり言わないと理解して頂けません」


 あれ? ツッチーってこんなキャラだったのか?

 静かに切れていらっしゃるんですけど……

 そして何気に俺のことをディスってないか?


「よろしいですか、喜六郎様。地図というのはどの国でも秘匿するべき重大機密です。それを一族衆や譜代の家臣ならばともかく、新参の明智殿にまで見せるとは何事ですか。大体ですね―――」


 ツッチーのお小言はしばらく続いた。


 つまり、要約すると、だ。


 地図は戦の勝敗を左右することもある重要な機密で、ほいほい見せる物じゃないんだそうだ。しかも俺が描いたみたいな精巧な日本地図は他に存在していないのだから、特に注意して扱わなければならない。もちろん、俺がそんな地図を描けるなんてことは極秘中の極秘事項だ。


 そもそも矢で射られて臨死体験してる時に極楽からこの世を見下ろした時に見た地図なんだろうけど、そんなものを気安く披露してはいけない。


 もし万が一、そんな精巧な地図が描けることを他国の間者に知られたならば、攫われるのは間違いない。

 例えば攫われたとして、見目も良いのだからどういう扱いを受けるか分かったものではない。


 尾張国内のことならば信長兄上が守ってくれるけど、残念ながら他国にまでその力は及ばないのだから、俺が自分で気を付けるしかないんだということをクドクドと説教されました。


 後で聞いた話だけど、普段は温厚で優しいんだけど、ツッチーは一度お小言モードになると止まらないんだそうだ。


 そしてツッチーのお小言は、最後には信長兄上にまで飛び火していた。


「大体、殿はいつも言葉が少なすぎます。ですから、いつもされなくても良い誤解をされてしまうのですよ。お分かりですか?」

「もちろん、分かっておる」

「でしたらいきなり思いついた事を家臣に命令なさるのはお止めください。これこれこういう理由で必要だからこうせよ、と言うのならともかく、いきなり、あれをせよ、これをせよ、では家臣たちも戸惑うでしょう」

「言われずとも主の意を汲むのが良い家臣ではないのか」


 ツッチーから視線を逸らしながら鼻をかく信長兄上は、いつになく歯切れが悪い。

 いつもの二人の姿とはまるで正反対だな。


「それも限度があります。先日もいきなり家臣に馬を寄こせなどとおっしゃりましたが、素直に、お前の身代ではそのような馬を持つのは無分別であろう、後々窮することになるのだから馬代を払ってやるゆえこちらに寄こせと言えば良いのです」

「しかしだな―――」

「しかしもかかしもございません。ただ馬を寄こせなどとおっしゃるから誤解を受けるのです。私がよく言い聞かせましたから誤解は解けましたものの、あれでは殿に不満を持つ者が増えるばかりでございますぞ」


 うわぁ。あの信長兄上が言い負かされてるよ。

 お小言モードになったツッチーって、実は最強で無敵なんじゃないのか?


 ぽかーんとしてツッチーを見ていると、またもやお小言が戻ってきた。


「喜六郎様もそのような緊張感のないお顔をなさってはいけませんよ。せっかく綺麗な顔立ちをしているのですから、背筋を伸ばして堂々となさらないといけません。それに―――」


 ツッチーのお小言は、俺と信長兄上の間を三往復くらいしてやっと止まった。

 正直、疲れた。


 でもって、ツッチーのお小言スイッチは決して押しちゃいけないんだって事を学んだ。





「それにしても、近習を増やさねばなりませんね」


 俺と信長兄上が説教されて疲れ切った頃、ツッチーがしみじみと俺を見て言った。

 

 要するに、今の話の流れ的に、護衛が必要ってことだよな。

 でもなー。田舎大名の尾張の八男の俺に、そんなに危険があるもんかね? もっとこう、信長兄上が躍進してからなら、あり得る話かなーとも思うんだけどさ。


 いや、そりゃ確かに地図が描けるっていうのが大変な事だっていうのは理解できたよ。でもそれは口止めすれば済む事だよな?

 今のところ、それを知ってるのはこのメンバーと月谷和尚さまとみっちゃんだけだからな。そこまで警戒する必要もないと思うんだけどなぁ。


 俺が首を傾げていたからだろうか。信長兄上が呆れかえった声を出した。


「どうせ喜六のことだ。用心したつもりでも、ついうっかり、へまをするに違いない。そうなってから守りを固めるのでは遅いぞ」

「そうですね。味方だと思っていても、寝返ることもあり得ますしね」


 滝川リーダーがなんだか凄く説得力のある感じで頷いた。なんだろう。この裏世界知ってますよ的な雰囲気。


「喜六郎様は、それがしが命にかえてもお守りするゆえ、お任せくだされ!」


 胸を張って拳で叩いた熊に、冷静なリーダーのツッコミが入る。


「ですが義兄上が戦に行っている間はどうなさるのですか?」

「む……」


 熊よ。お前、考えてなかったな。


「忍びでもつけておくか?」


 軽い口調で信長兄上が提案する。


 おお、忍び! 滝川リーダーの背後になんか黒いのが見えるけど、でも忍びへの憧れは止まらないぞ!

 伊賀かな。甲賀かな。

 猿飛佐助とか霧隠才蔵とか、有名どころカモーン!


皆様の応援のおかげで2万ポイントを達成いたしました。

本当にありがとうございます。

感謝SSのお題を9日まで活動報告にて募集しておりますので、もしよろしかったらそちらもご覧ください。

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