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眼の異世界転生  作者: ビッグツリー
第四章 神之欠片『プレジール』~海底迷宮編~
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四十八話 ルルの才覚

 「ちょっと! なんでいきなりこんな狭いのよ!」


 不機嫌そうに愚痴を零したのはナオミだった。

 そこは大小様々な岩が隆起し、無造作にえぐり取られたような空洞。狭い鍾乳洞のようなその場所を、ジーク達は姿勢を低くしながら縦一列になって進んでいたからだった。


 壊れてしまった『ほたるん』は一応ジークが作り直したのだが、辿り着いた下層フロアの外壁には無数の発光石を含んでいるようで、辺りは青白い光で照らされていた。



 ジーク達はしばらく歩みを進めて行くと、少し広めの空間へと繋がったようだ。

 地面には大きな岩が所々に存在し、天井からは結晶化した滴が鋭いつららのように並んでいる。そして左右の壁には、意味ありげにいくつかの穴が不気味に空いていた。


 その場所にジーク達が足を踏み入れた瞬間、壁に空いている穴のうち一つがキラリと輝く。

 先頭のジークは咄嗟に右手で何かを掴み取る仕草をすると、その手には先に鋭い石が取り付けられた一本の矢があった。


 すると、胸ポケットに入れているナオミの魔通機から、リーナの声が聞こえて来た。


「ゴブリンアーチャーのようです。通常のゴブリンよりも高い知性と身体能力を兼ね備えた突然変異体です。群れを成して行動しているので、壁に空いた穴はゴブリンアーチャーの巣でしょう」


 リーナの解説と現状を確認したジークは、掴んでいた矢を地面に捨てては腕を組む。


「敵は穴に隠れながら奇襲してくる。おそらく数もそれなりにいるだろうな、ここは無難に俺が――」

「リーナお姉ちゃん、レベルは?」


 ジークがそう言い切る直後、その言葉を遮るように突然ルルが言葉をかぶせた。


「レベルは先ほどまでより一段上がってBです。この状況ではジークに任せるのが一番安全です」


 リーナの解析の後押しにより、ジークが足を踏み出し始める。しかし、ジークが一歩踏み出した瞬間、ルルの呼び止める声によりその足を止めることとなった。


「待ってお兄ちゃん。……ルルにやらせて。ううん、ルルがやる」


 その言葉にジークは振り返り、少し困惑の表情を浮かべる。


「ルル……単体ならまた別だが、群れで奇襲をかけてくるんだ。お前を危険に合わせたくはない。ここで多重結界を張ってみんなを守っていてくれないか?」

「……ルルは、強くなりたいの。ママとの約束を守る為に……それが、ルルが選んだ道だから!」


 ジークを見上げる力強い眼差しからは、ルルの固い意志表示が滲み出す。もはや何を言っても聞きそうにないルルに、ジークはどうしたものかと頭を悩ませることしか出来ないでいた。


 すると、その光景を目にしていたマインが、渋い顔をするジークにふと声をかける。


「ジーク殿、やらせてみようではないか」

「だがな……」


 ルルよりもレベルの高い魔物、数の理、左右からの奇襲。様々な不安要素がジークの頭の中を巡り、なかなか素直にうんと言えないでいた。ルルの気持ちは分かるものの、どうしても危険に合わせたくないという精神の方が強く出てしまうようだ。



「ルルは今まで私やミラ殿、リーナ嬢から直接手ほどきを受けて訓練を行ってきた。まだ幼いとはいえ、ルルには武の才覚を秘めていると感じるところがある。ここは地上よりも、ルルにとっていい鍛錬の場になるだろう。もし危険だと判断した時は、私とジーク殿が飛び出せばいい。それで構わないな? ルル」


 マインの問いに力強く頷くルル。ジークはマインの言葉にも一理あると思ったのか、一つ溜息を漏らしては渋々了承したようだ。


「……無茶だけはするなよ」

「お兄ちゃん……。うんっ!」


 ジークの許しが出たことでルルは明るい笑顔で返事をすると、凛とした面持ちへ変えては、前へと足を運び始めた。




 入り口ではジークが多重結界を張り、全員でルルの様子を見守っている。


 ルルは真っ直ぐ正面を捉え、止まることなく足を進めていた。その間、いくつもの矢が襲い掛かってきているのだが、『親の過保護』による多重結界で全て地面に叩き伏せられていた。


 部屋の中央辺りまで進むと、ルルはその足をピタリと止めた。そしておもむろに右手を天へと掲げると、頭上にバスケットボール程の風の球体を生み出した。



 ゴブリンアーチャーの放つ矢が、ルルの周りに展開されている障壁に接触し、乾いた音を響かせると、それに反応するかのように頭上の球体から三日月型の風刃が飛び出した。そして矢を放ったゴブリンアーチャー目掛けて高速で飛んでいき、その体を容易く両断した。


 それは他のゴブリンアーチャーも同様で、無数の矢がルルに飛び交うと同時に、宙には無数の風刃がゴブリンアーチャーへと飛び交い、次々とその体を両断しては殲滅へと向かっていた。



 

 その光景を目にしていたジークは目を丸くするが、すぐさま真剣な面持ちへ変えると下顎に手を添える。


「あれは矢が障壁に当たった際に、その軌道を『親の過保護』が演算して、反射の要領で風刃を飛ばしているのだろうな。こちらから一つ一つの巣に攻撃を仕掛けるのではなく、矢を放つ際に姿を見せる向こうの動きを逆に利用したのか。なかなかいい発想を思い付いたな。……いや、俺の考え方に似て来たのか? ククク。なんだ……しっかり俺の影響も受けてるじゃないか」


 一人ブツブツと呟きながら不気味に口角を上げているジーク。

 ミラはそんなジークを目にし、困ったような苦笑いを浮かべていたのだった。




 ゴブリンアーチャーが殲滅したのか、宙を舞う矢の猛攻が落ち着きを取り戻すと、ルルは多重結界と頭上の球体を解除した。そして一つ安堵の息を吐いては笑顔を浮かべ、ジーク達の待つ入口へと向かうように踵を返した。


 しかしその瞬間、鈍い地響きと共にその場が大きく揺れる。



――ズシン、ズシン。



 まるで巨大な何かの足音のように響くそれは、一歩一歩と地響きを大きくさせる。

 何事かと慌ててルルは振り返ると、右側の壁の奥に位置する一際大きな穴から、真っ赤な眼光を放つそれが姿を現した。


 筋の浮かんだ太い腕に、硬い黒毛で覆われた厚い胸元、右手に大きな石の剣を持ち、左手には石の盾を持っている。二メートルはあるであろう巨躯のその魔物は、ゴブリンアーチャー達の先導者。その部屋を取り仕切る絶対的ボスであった。



 その魔物が姿を現した途端、ナオミの魔通機から警笛のようにリーナの声が響き渡る。


「注意するです! あれは『ラストゴブリン』。率いるゴブリンの群れが殲滅させられた時にのみ現れる、ゴブリン種の中でも最強のゴブリンです!」


 リーナの解説でジーク達には張り詰めた緊張が走る。そしてジークは慌てるようにリーナに確認を取った。


「ルルでも大丈夫なのか!? レベルはいくつだ!」

「レベルはBです。しかし……ゴブリンアーチャーは群れでレベルBとされ、対するラストゴブリンは個体でレベルBです。それにラストゴブリンは『かたき討ち』というスキルを所持し、殲滅させられた群れの個体数分パワーアップするです。あのラストゴブリンはおそらく……レベルA相当の力になっていると推測するです」


 その言葉を聞くなりジークは一つ舌打ちをすると、ルルの元へと駆け寄る為に足を踏み出した。しかし、後ろからマインがジークの腕を掴み、その足を強制的に止めさせた。


「危険になったら助ける約束であろう!?」


 マインの言葉にジークは振り返り、キッと睨み付けては焦るように早口で言葉を発する。


「今がその危険な時だ!」


 しかしマインは臆することも無く、前方を指差しては力強い口調で答える。


「あのルルの姿を見てみろ!」


 マインが指差す先、そこには明らかな体格差があるにも関わらず、逃げようともせずに凛と立ち構えるルルの後ろ姿があった。怯えて固まっているのではなく、その瞳には力強い眼光が備わっている。それは、”自分が相手をする”――言葉なくてもその堂々たる後ろ姿が、ルルの勇姿を雄弁に物語っていた。




 ラストゴブリンはルルと対峙すると、一つの大きな雄たけびを上げた。それは大気を震わせ、脅威的な威圧がルルの体にピシピシと伝わせる。そして先ほどの雄たけびを合図としたかのように、真っ赤な眼光を放った。



 ルルは気合を入れるように拳をギュッと握っては、勢いよく両手を前へと突き出しラストゴブリンへと向けた。そして握った拳から手を開き、掌の前方に風を圧縮する。


「『風破かまいたち』!」


 掌から解き放たれた三日月型の二つの風刃は、勢いよくラストゴブリンへと飛翔した。しかし、前へと突き出された盾によって、安易に防がれてしまう。かなり頑丈な盾のようで、『風刃かまいたち』自体が消滅させられたことにより、拡散の衝撃も与えられなかったようだ。



 ラストゴブリンはその巨大な脚で二度ほど地面を踏み付けると、大きな地響きを鳴らしては姿勢を低くした。そして地面を蹴り上げ、盾を前に構えてはルル目掛けて猛突進を始めた。



 迫り来るラストゴブリンに、ルルは避けるように右側へ大きく飛ぶと、二回転ほど前転しては勢いを殺さないままに走り出した。そして大きな岩の上へと飛び乗り、滑り下りるようにして岩陰に隠れる。


 バクバクと心臓が緊張の音を鳴らし、それを抑えつけるように胸に手を当て目を閉じる。


(少しでも気を抜いたら殺されちゃうかも……ちゃんとやらなきゃ!)


 そして一つ大きな深呼吸をすると、決心したかのように目を見開いた。



 ルルは掌に風の球体を作り出し、岩陰から右側面へと『かまいたち』を解き放つ。それと同時にルルは左側面へと駆け出し、ラストゴブリンの前へ姿を晒した。

 

 

 ルルの姿を捉えたラストゴブリンは、その巨躯をルルへと向けて歩み寄る。するとその瞬間、先ほどルルが放っていた『かまいたち』が後方から接近し、ラストゴブリンの背中へと直撃した。

 血飛沫を上げ、痛みで大きな叫びを上げるラストゴブリンは、怒りに任せて剣を振り下ろす。


 咄嗟にルルは右へと飛んで、頭上から迫り来る剣を躱したものの、次の追撃には反応が遅れたようだ。

 目の前には視界を塞ぐほどの大きな盾。殴るように放たれたそれが、ルルへと直撃しては鈍い音を立てた。


「キャァー!」


 悲鳴を上げて勢いよく吹き飛ぶルル。

 ラストゴブリンの太い腕から繰り出される驚異的な力は、体の軽いルルでは防ぎようがなかった。


 吹き飛ばされたルルは大岩へと衝突し、ゆっくりと滑り落ちるように地面へと倒れ込んだ。




「ルルーーー!」


 圧倒的な力の差の一撃を食らった光景に、ジークは悲痛な叫びを上げる。もはや居ても立ってもいられず、その場を駆け出そうとした瞬間、ジークは驚愕で目を丸くした。


 それは、震えながらも必死に立ち上がり、ジークに左手の掌を向けているルルの姿があったからである。ジークの助けを、ルル自らが拒否したのだ。


 まだ十歳という幼い少女でありながら、自分の意志で立ち上がり、目の前の脅威に立ち向かおうとしているのだ。ジークはそんなルルの姿に下唇を噛み締め、今すぐ助けたい気持ちをグッと押し殺した。




 肩で大きく息をするルルは、威圧的に待ち構えるラストゴブリンを見上げる。


(痛いけど……我慢しなきゃ。ルルより凄い強い魔物だけど……お兄ちゃんやお姉ちゃん達のほうがもっと強いんだ!)


 ルルの瞳はまだ光を失ってはいなかった。むしろ鋭さを増し、より高みを目指す志に強い火が灯る。


 ルルはふーっと一つ大きな息を吐くと、右足を後ろへ引き、右手の拳を腰で構え、左手を前へと突き出した。




「あれはっ――! 私が教えた武闘術の構え」


 ルルの姿を見たマインは、ハッと目を丸くしては自然と口が開いた。だが、その表情をすぐに曇らせる。


「しかし……まだ会得には至っていないはずだが……」


 


 ラストゴブリンが地面を踏み鳴らし、構えるルルへと迫る。そして右手に持つ剣を、ルルの頭目掛けて垂直に振り下ろした。



 当たれば即死級の迫り来る驚異。しかしルルは左へと体の軸を半身ずらし、前に構えていた左手の掌で、振り下ろされる剣の腹へ優しく触れた。それにより剣の軌道がずれ、ルルの僅か右側を通り抜けて地面へと突き刺ささる。

 ルルはその流れのまま右へと一回転すると、ラストゴブリンの脚目掛けて左の蹴りを放った。体の回転による遠心力が乗った蹴り。だがそれだけではない、ラストゴブリンの膝横へと当たる瞬間に、ルルの蹴りは爆発的な加速を繰り出した。足に纏わせた空気圧縮の解放により、強力な推進力を生み出したのだった。



 ラストゴブリンは悲痛な雄たけびと共に、右側に位置するルル目掛けて、剣を右へと勢いよく薙ぎ払った。


 ルルは迫り来る剣に背を向け、軌道から外れるように高くバク宙した。そして天と地が反転する瞬間に、通り抜ける剣の腹に逆立ちの要領で両手を付き、そのまま体を回転させては、両足の先に纏わせた風の刃でラストゴブリンの喉元を斬り裂いた。



 ラストゴブリンは大きく悲鳴を上げるものの、太い首ゆえに致命傷にはならず、地面へと着地する瞬間のルル目掛けて、盾による逆上の一撃を繰り出した。


 ルルが地面に足を着くよりも早く、その身に迫る脅威の盾。だがルルの体と盾の間に風圧が生じ、風が逃げるように盾の上と下へと流れる。ルルは軽い身を風の流れに乗せ、横回転しながら盾の上を通り越しては裏側へと翻った。

 地面へと足を着いた瞬間に、掲げた右手に風の刃を纏わせ、その手首を左手で掴む。そして振り切ったラストゴブリンの左腕目掛け、上から下へと真っ直ぐに手刀を振り下ろした。


 響くは大きな衝撃。それはラストゴブリンの、盾を握る腕ごと地面に落ちた音だった。




 ジーク、ミラ、マイン、ナオミの四人は、流れるように繰り広げられた一連の光景に驚愕する。特に衝撃を受けていたのはマインのようで、有り得ないものを目にしたかのように、瞬きもせずにただ口だけを動かした。


「手刀だったが、今のは間違いなく……私の剣技だ」




 腕を斬り落とされたことで怒り狂ったラストゴブリンは、残心を行うルル目掛けて力任せに剣を振りかぶった。


 ルルは圧縮した風を地面へと放つと、その衝撃で土埃が舞い、同時に飛び散った小石がラストゴブリンの顔面を捉えた。


 ひるんだラストゴブリンは、無造作に目の前の土埃に剣を振るう。しかし、剣圧で土埃が吹き飛んで視界が晴れたものの、目の前にルルの姿は無かった。


 その瞬間、ラストゴブリンの背後に瞬時に現れるルル。土埃に紛れ、ラストゴブリンがひるんだ一瞬の隙を突き、背後に回り込んだのだった。その動きには、後を引く残像が生じている。




「え!? い、今のって……私と同じ……」


 マインに続き、ミラも自分と同じ技を繰り出したルルに驚愕していた。





 背後に回り込んだルルは、掌に風を圧縮させた球体を作り出した。そして『かまいたち』で抉られた背中の傷目掛けて、掌の球体を押し込むように、ラストゴブリンの背中へと勢いよく押し当てる。


「『風破かまいたち』!」


 凄まじい風の衝撃で吹き飛ぶラストゴブリン。大岩へと正面から衝突すると、その瞬間に『風破かまいたち』が拡散し、背中からは大きな血飛沫が上がった。


 ルルは肩を大きく上下させ、息を乱しながらもラストゴブリンから目を離さなかった。




「決まったか!?」


 状況の変化に、マインは大きく声を荒げた。それに答えたのは、渋い顔をしながら腕を組むジークだった。


「いや……少し浅かったようだ」




 ジークの言葉は当たっていた。ラストゴブリンは背中に深手を負ったものの、致命傷には一歩届いていなかったのだ。


 ラストゴブリンはゆっくりと振り返り、ルルを正面で捉えた。そして地面を二度踏みしめ、姿勢を低くする。どうやら最初に見せた猛突進を繰り出すようだ。



 しかし、渾身の『風破かまいたち』でトドメまで至らなかった当のルルは、表情一つ変えずにいた。そして、口だけを動かして一言告げる。


「ううん。これでおしまいだよ」



 すると、天井から垂れ下がった巨大なつららの一つが、切れ込みの入っていた根元から砕け、勢いよく落下した。それはラストゴブリンの頭上にあった物で、突進の為に姿勢を低くしていたがゆえに、背中へと突き刺さる形となった。

 深手を負っていたせいもあり、つららは内部にあった魔晶石もろとも容易く貫いた。ラストゴブリンは一際大きな断末魔を上げると、力尽きるように地面に倒れ込んでは、絶命したのだった。


 

 実は、ルルは最初からこれを狙っていたのだった。

 最初の突進を見たときに、地面を二度踏み鳴らす癖とも言える前触れと、その衝撃が天井まで響くのをルルは見抜いていた。

 大岩の陰から放った『かまいたち』は実は二発であり、一発目はラストゴブリンの背後に傷を付ける為と、強靭な肉体に自分のスキルの威力で通用するかを図るのを目的としていた。二発目は、天井のつららの一つに当て、あらかじめ切れ込みを入れていたのだった。

 最後の『風破かまいたち』は、仕込んでいたつららの下にラストゴブリンを誘導すると共に、焦点を絞っていた背中に『かまいたち』と『風破かまいたち』でダメージを蓄積していたのだ。それにより、強靭な肉体でも、つららが安易に貫いたのである。



 ルルは絶命したラストゴブリンに向けて、静かに口を開いた。


「ごめんね……。ルルは、前に進まなきゃいけないの」


 そして体中の力が抜けたかのように、膝から崩れ落ちた。だがその瞬間に、ルルの体をジークが支える。


「よく頑張ったな」


 転移にてすぐさま駆けつけたジークは、腕の中のルルへと微笑みかけた。

 ルルは疲れていながらも、明るい笑顔を向ける。


「うん! ルル、頑張りました!」


 その笑顔につられて、心配でしょうがなかったジークも、笑顔を浮かべては優しくルルの頭を撫でたのだった。

 ミラ達も駆け寄り、涙を浮かべてはルルを抱き締めた。


 ルルは心配してくれたみんなの気持ちや、自分のことのように喜んでくれる優しさを感じ、笑顔を放ちながらも嬉し涙が頬を伝わせていた。



 みんなの涙と喜びが溢れる中、ふとジークは奥に視線を移すと、そこには下層へと繋がる階段が、不気味に口を開いていたのだった。

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