十七話 それぞれの想い
一ヶ月ほどが経っていたその日、俺はムタと共にハピへと来ていた。
米とコーヒー豆がついに収穫され試作化できたので、ジルとメガネララとの四人で試食を兼ねた意見交換を行っていたのだ。
「はいムタ。あ~ん」
「あ~ん。……んっ! バリうま! なんていうか元気が出る感じがするっす!」
俺とジルは、いきなりイチャコラし出す二人を冷たい目で見ていた。
「ごほんっ……。米については麦よりも食べやすくおいしいですね。それに質が高いので、魔力回復の効果もあるようです。コーヒーについては、私はそのままのブラックがコクがあっておいしく感じます」
一つ咳ばらいをして元の雰囲気を取り戻したメガネララは、いつもの真面目な彼女の調子で意見を述べた。
「米については問題なく商品化できるはずだ。コーヒーに関しては、専用の機械が必要なのでまずは飲食店を中心に展開するのがベストだな。飲食店なら数種類のコーヒーを提供することが出来る。そこからコーヒーについての評判を広めて、後々は量産したコーヒーメーカーを売り出す」
「なるほど、それがいいでしょうね。私もこれは毎日飲みたいと思ってしまいます」
ジルがもう何杯目か分からないコーヒーを飲みながら優越感に浸っていた。よほど気に入ったのだろう。
俺達はそれからも色々と試食方法を変えては、意見交換を続けたのだった。
ビビレッジのミラの家では、ミラとルルとララの姿があった。マインは今日も戦闘訓練の指導だった。ララは今日は非番のようだ。
ルルは床で積み木遊びをし、ミラとララは昼食の準備をしていた。
「ふんふ~ん♪」
鼻歌交じりに積み木遊びをしているルルの耳に、僅かな異音が聞こえた。庭に何かが落ちるような音。不思議に思ったルルは、ガラス張りの壁に近寄り、庭を見渡した。
「――! ピーちゃん!」
庭には、ボロボロに傷ついた小鳥が横たわっていたのだ。急なルルの言動に、ミラとララは近寄ると、ミラはすぐに状況を察知した。
「ピーちゃん!!」
ガラス張りの扉をスライドさせて開けると、ミラは倒れている小鳥に近寄って、優しく両手で抱きかかえた。
必死になにか伝えようとする小鳥。ミラは耳を近づけ――驚愕した面持ちを露わにさせた。
「三百人が……この村に攻めてくる!?」
ポツリと呟くミラの言葉に、ララは両手で口を覆った。ルルはなんのことか理解できず、心配そうにララの服を握りしめていた。
そして、村に襲い掛かる脅威をミラに伝えることが出来て安心したのか、小鳥はミラ両手の中で――ゆっくりと息を引き取った。
「ピーちゃん! ピーちゃん! ごめんね……。私が、村の周囲の警備をお願いしていたから……こんなことに……」
泣き崩れるミラに近寄ろうとするルルを、ララは引き止め、自分の胸の中へと抱きしめていた。二人ともその体は震え、瞳には涙を溢れさせていた。
「ピーちゃん……ありがとう。痛かったのに、辛かったのに、私に伝える為に……頑張ってくれたんだね。もっと……ピーちゃんとお話ししたり、一緒にお風呂に入ったり、遊んだりしたかった……ピーちゃん、ピーちゃん……うわぁあああああああん」
ミラは小さくなり声にならない声を上げ、大きく体を震わせては泣いていた。抱き合うルルとララも立ち尽くし、大粒の涙を流していた。
しばらくして落ち着きを取り戻したのか、ミラはスッと立ち上がると、庭の一角の地面を手で掘りそこに小鳥を入れて埋葬をした。
さっきまでずっと泣いていたミラの顔は少しやつれ、腫れたその目はいつもの様子とは違い――強烈な怒りの眼光を放ち、まるで捕食者のような目をしていた。
そしてミラはその場から静かに一人立ち去った。
それに気が付いたララは庭へと飛び出すと、ルルに向けて大きく叫んだ。
「ルル! ジークさんはお仕事でハピにいるから、マインさんの所へ行って村が危ないって伝えてちょうだい!」
「マ、ママは!」
「ママはミラさんを追いかけるから! 出来るわね!?」
「わ、わかった! マインお姉ちゃんのとこに行く!」
ララは一つ頷くと、ミラのあとを追いかけるように走り出したのだった。
猛スピードで村を抜け、森を抜け、ミラは地面を抉るかのようにその場に急停止した。
その目に遠く映るは激しく舞う土埃。その正体はビビレッジへと襲撃に向かってくる総勢三百人のビースト部隊だった。
ミラは徐々に近寄ってくる軍勢を前にし、ペロリと唇を舐めた。
「コロシテヤル」
そう一言呟くと、襲い来る軍勢へと走り出して行った。
《ジーク! ミラが自我を失う反応を確認! 激しい怒りです!》
(なんだと!?)
俺はすぐさまジルの部屋の窓から飛び降りると、翼を出して全力で飛翔した。
(ミラの座標を特定しろ。一体なにがあった?)
《どうやら謎の軍勢が襲撃に来たようで、ミラは単独で防衛に当たっているようです》
(ちっ、いくらなんでも早すぎる。まだハピに物資が広まっていないのに、俺はおろかビビレッジまで特定されるとは……どこでミスをした? クソ!)
《おそらく、ララ親子を襲った獣人達です。あの者達はハピの住民ではありません。ララが雇った辺境の街の住民です》
(やはり殺しておくべきだったな……子供の前だったから人間の姿のままとはいえ、変にカッコつけたのが仇になったか。ミラの奴……作戦も立てずに一人突っ走りやがって。俺が着くまで無事でいろよ!)
「火遁・纏焔」
高速で大地を走り抜けるミラはそう呟くと、右手に持つ黒影の刀身に真っ赤な炎を纏わせた。
「雷遁・瞬仁」
バチバチと体を纏う雷を宿し、更にスピードを上げては敵の群衆へと突っ込んだ。その瞬間、群衆の前方中央部に位置していた大勢の敵が空高く吹き飛び、ミラは超高速で移動しながら敵を斬り付けていた。その衝撃はすさまじく、ミラが通り過ぎる度に群衆は上空へと吹き飛ばされていたのだ。
三百人のビースト部隊を率いるは、一番後続に控える一人の男。ビースト部隊に所属する十人いる幹部の内の一人だった。その男は、自分が目にしている光景に驚愕していた。
いきなり前衛の中央部が上空へと吹き飛んだと思ったら、今度は超高速で縦横無尽に走る”黒い閃光”が通り過ぎると、それだけで大勢が宙へと吹き飛んでいくのだ。有り得ない、一体何が起こっているのか、最強と言われるビースト部隊がいとも簡単に沈んでいく光景に、その男はただ立ち尽くすことしか出来なかった。
男は気が付くと、一人の少女が目の前に立っていた。周囲を見渡すと、自分以外の部隊の人間は全員地面に伏せている。
「お、お、お前がやったのか!? た、たった一人で!?」
ガタガタと動揺する男を、ミラは冷酷な眼差しで見つめている。
「あなた達は一体何? なにが目的?」
「は? そんなこと言うわけ――ぎゃあああああ」
質問の返答をしていないと分かった瞬間、その言葉を遮るようにミラは男の腕を斬り飛ばした。
「次はもう片方の腕を斬る」
「わ、わかった! 言う。俺達は国の裏守護組織『ビースト』と呼ばれる戦闘集団だ。表もあるが、俺達は実力を兼ねた最強の戦士だ。総司令のステール様に仕えている。黒いローブの人間が臆病犬の村に隠れ潜んでると情報があり、ステール様の命令で村ごと始末しに来た」
「そう……ところで、黄色い小鳥を見なかった?」
「黄色い鳥? ああ、そんな魔物だったら部隊にいた一人が撃ち落としていたな」
――シュンッ。
ミラは黒影を持つ右手を横に広げるように立っている。しかし、次の瞬間には男の首がゆっくりと地面へ落ちていったのだった。
「きゃあああああ!」
突然聞こえてきた悲鳴。ミラは声のした方を見ると、村を取り囲んでいる森の方からだった。
急いで声の主の元へ走り寄ると、生き残りがいたのかビースト部隊の一人が女性を斬り付けていた。
ミラは一瞬で男の間合いに詰め、背後から気付かれることも無く首を跳ね飛ばした。
そして悲鳴をあげた女性の姿を目にすると、ミラの目は正気を取り戻して手に持つ黒影を地面に落とした。
「ララさん!」
声の主は、ミラを追ってきたララだった。残党にやられ、ひどい怪我を負って意識を失っている。
ミラはララの体を抱きしめ、涙をこぼしては慌てふためいていた。
「どうしよう、どうしよう……私、私……」
「ミラーーーーー!」
突如空から声が聞こえ、見上げるとそこにはジークの姿があった。
「ジークさん、私、私……」
「説明はあとだ! 向かいながら『千里眼』で視ていた! 今はララを助けるぞ!」
「はぃ……ごめんなさい」
俺はララを抱きかかえ、負担のかからない程度に急いでミラの家へと飛翔した。
村に着くなりミラの部屋にあるララ用のベッドに寝かせ、マインと俺とで傷ついたララの手当てをしていた。
ルルが大泣きしながら部屋へと入ってきたが、怪我を治す為だと言い聞かせリビングで待機させている。そこにはミラも同じだ。
「やれるだけのことはやったが、目を覚ますかどうかはララ殿次第……かもしれんな」
《私の回復魔法でも応急処置程度です。根本的な処置にはなっていないです……正直、厳しい状況です》
「そうか……」
俺とマインは大きく肩を落とし、マインは俺に寄り添ってきた。ビビレッジに病院はない為、後はララの自然治癒能力と運に任せるしかなかったのだ。
ルルとミラの二人がいるリビングは沈黙が続いていた。だが、最初に沈黙を破ったのはルルだった。
「……なんで一人で出て行ったの……ママはミラお姉ちゃんを追いかけて行ったんだよ」
「……ごめんね」
「……ママ、すごい怪我してた。ミラお姉ちゃんのせいだよ」
「……う、ん。ごめん……ね」
ミラは涙を流し、ルルは瞳に涙を溢れさせるも零さない様に必死に我慢している。
ララの手当てを終えた俺とマインが一階のリビングへと階段を降りている最中に、突然ルルの怒鳴り声が聞こえてきた。
「ママが死んじゃったら、ミラお姉ちゃんのせいだからね!! 絶対に許さないから!」
ルルはそう叫ぶなりその場を後にし、勢いよく階段を走り抜けては二階へと上がっていき、マインの部屋へと閉じこもった。
階段で通りすぎる瞬間のルルは、涙を流していたのが俺には分かっていた。
夜になると、リビングにいた俺とミラの元に夜通しララの看病をしてくれているマインがやって来た。
「ジーク殿、ミラ殿、目を覚ましたぞ」
ハッと顔を合わせた俺とミラは、急いで二階へと向かった。
マインは自分の部屋に閉じこもっていたルルにも声をかけ、一同がミラの部屋へと集まっていた。
ベッドに寝ているララを取り囲むように見つめ、ルルが一歩前に出てしゃがみこんでは、ララの顔の近くに位置している。
「ママ……」
「ルル……心配かけてごめんね。みなさんもごめんなさい」
「ララさん、私……」
「気にしないでくださいミラさん。守りたいと思う気持ちは、私も同じですから」
微笑むララに、ミラはその場で大きく泣き崩れた。
「いい、ルル。ママの言うことをよく聞いて。ルルが思ったことを、後悔しない様に一生懸命にやり遂げなさい。ママと、あの人の子として、恥じない生き方をするのよ。今ではこんなに家族が増えたわ。きっと、あなたにも守りたいものが見つかるはずよ」
「ママ……わかんないよぉ……」
ルルは泣き出し、ベッドに顔をうずめる。
「ジークさん、ミラさん、マインさん、私にもしものことがあったら……勝手ですが、この子をよろしくお願いします」
「……ああ」
「……はい」
「……受け賜わった」
そして、ララは安心したかのように優しく微笑むと――深い眠りへとついていったのだった。
――次の日の夕方。
魔物が寄り付かない村の外れに、臆病犬の全員と、俺、ミラ、マイン、ルルはいた。
一番前にはルル、その後ろにミラと臆病犬達、そしてその後ろには少し距離を取って俺とマインが立っている。
一番先頭に立つルルの前には一つの墓標がある――そう、ララのものだった。
ミラはその場に大きく泣き崩れ、数名の女性達が小さくなっているミラの肩に手を添えている。
俺は拳を握りしめて唇を噛み締めていた。マインも、自分で体を抱きかかえては小さく震えている。
臆病犬達がその場を去って行き、ミラも女性達に支えられてはその場を後にするように歩き出した。
そして俺の目の前に来ると、ミラは立ち止まって俺の顔を見上げてきた。
「ジークさん、私もっと強くなりたい……ジークさんだけじゃなくて、同種も、マインさんも、ルルちゃんも、村の人全員を守れるくらい強くなりたいです。私には守りたい人がたくさん出来ました。だから……私は強くなります」
「ああ……そうだな」
大きく腫らしたその目はとても真剣で、真っ直ぐに気持ちをぶつけてきた。
ミラは再び女性達に支えられて、その場を後にしていった。
「ミラ殿は……強い子だな」
「ああ」
ルルは母親の墓標の前に立ち、ただただそれを見つめていた。その瞳は幼い子供とは思えないほど真剣で、涙を浮かべてはいなかった。
ジークとマインが近寄ると、ルルは背中越しに口を開いた。
「ジークお兄ちゃん、ルルはミラお姉ちゃんにひどいこと言った。ママもミラお姉ちゃんも、ルルやみんなのことを守ろうとしてくれたんだよね。パパとおんなじように」
ルルはそういうと、後ろへ振り返ってはジークと向かい合わせになり顔を見上げた。
俺はルルと同じ目線になるよう地面に膝を着き、頭を撫でてやった。
「そうだ。ママとミラのおかげで、俺達はこうして無事にいる。あの二人が守ってくれたからだ。それは忘れちゃいけない。これからは俺が……お前の家族として守ってやる」
「お兄ちゃん……。ルルも守る。ジークお兄ちゃんも、ミラお姉ちゃんも、マインお姉ちゃんも、村のみんなも、ママが守ろうとした人達ぜんぶ! ルルもこれから……頑張るから、いいよね……今日だけは……泣いても」
「ああ」
「――わああああああああああん」
ルルは俺の胸へ飛び込み、ずっと我慢していた気持ちが解けて大粒の涙を流していた。俺はぎゅっとルルを抱きしめると、気が済むまでそうさせていた。
マインも俺の肩に手を添え、ただ静かに泣いていた。
しばらくするとルルは落ち着ちついたのか、服の袖で涙をぬぐっては俺の顔を見上げてきた。そして、一言呟いた。
「ジークお兄ちゃん。”ママとの約束”を守りたいから、ルルは……強くなります」
その瞬間、俺の腕の中にいるルルの体が光り輝いた。眩い光は、薄く暗くなりつつあるその場で一際目立って輝き、そして徐々に光は治まっていった。
中から現れたのは――茶色く柔らかな長めの髪、黒いハーフパンツを身に着け、脚にはブーツを履いている、フード付きの赤いポンチョコートを纏いフードには中の耳が治まるように丸い耳が付いている、クリっとした丸い目、ふさふさの大きめの尻尾を持つ――ルルがいた。
「これは……進化、だろうな」
ステータス
『赤頭巾鼬』:ルル (亜人)
特性(身体能力向上補正:聴覚強化・視覚強化・嗅覚強化・精神強化・想像力強化、成長促進、火属性無効、風属性無効、毒無効)
[レベル]:C
[称号]:一歩踏み出す者
[スキル]:『かまいたち』
[ユニークスキル]:『擬態感知』、『虚言感知』、『罠感知』、『毒臭感知』、『擬音感知』、『殺気感知』、『魔力感知』、『気配感知』
「強く……なったの?」
「そうだ」
「守れる?」
「ああ」
「がんばる!」
ルルの元気な返事に、俺とマインは顔を見合わせて安堵の表情を浮かべた。
「私も、村の人々やミラ殿とルルを鍛える為、頑張らねばなるまい!」
マインは凛と胸を張り、俺はルルと手を繋いでマインと共にその場を後にした。
ルルは静かに振り返ると、ララの眠る墓標へ向けて小さく呟いた。
「ママ、天国で見ててね」
次の日から、大掛かりな防衛対策が始まった。
俺は防衛強化の為に、リーナと協同し様々な村の改造を行い始めた。マインは村の戦闘訓練を強化し、午後からはミラと個別訓練を行うようにしたようだ。ルルは午後に村の外で鍛錬するミラとマインの目の届く範囲で、進化により俺と魂の回路が繋がったことからリーナの指導の元に訓練を始めた。
ルルは遠距離系のかまいたちを使いこなす為に、的に当てる訓練だった。ルルのイメージ通りにできるように、リーナが代わりに外部演算を行っている。
ビビレッジの住人全てが、非常事態にスムーズに動けるように防衛訓練を毎日行うようになったのだった。
一週間ほど経って、その夜俺はミラを部屋へと呼び出した。
「ジークさん? どうしたんですか?」
急に呼び出されたことでミラが首を傾げている。
「ああ。黒影を一時預かる」
「え? わかりました」
「明日には返すようにするから訓練は気にするな」
「はーい」
ミラが部屋から出て行くと、数分後にはマインがやってきた。
「ジーク殿、少しいいかな?」
「珍しいなお前が来るなんて。ああ、ちょうどいい。明日には返すからお前の武器を一時預かる」
「まあ、ちょっとな。武器か、よかろう」
マインが少し照れくさそうにして、俺の座る台座の左に腰かけた。俺がいつも左腕を乗せている場所だ。
「ジーク殿に付いてきて、私は色々なものを目にした。そして僅かに感じる心の奥にある小さな感情が、この前……ララ殿の墓標の手向けの時、大きく感じ始めたのだ。そしてそれは最近、確実なものとして理解した」
「なにがだ?」
「この村の人々、ジーク殿やミラ殿、ララ殿やルルと関わって……私は強い気持ちを抱いた。愛おしい、守りたいと。これは、私にも向けられているとも感じた。そして知った……これは”愛情”なのだと。ジルに愛情を向けられたときは私には守るべきものはなく、この感情には気づいていなかった。私はジーク殿に礼を言いたい。唯一私にはなかった感情、愛というものを授けてくれたことを」
「そうか。手に入れたのか」
マインはおもむろに俺の前へと来ると、静かに床へとかしずいた。
「なんの真似だ?」
「私は”この気持ち”を守る為、与えてくれたお主に忠義を尽くす。そして、この想いの対象は村の人達全員だ。私は守り抜く、この命に代えても」
その瞬間、マインの体が光り輝いた。広がる光が一瞬大きく広がると、徐々に光は治まっていった。
その中から現れたのは――腰まである青い髪、薄ピンク色の三角帽、黒い紋付羽織を纏い、胸には小さなイカの紋章と背中には白い文字で大きく”愛”と書かれている。白と黒の縦線の袴を身に着け、足には足袋と草履を履いている。
それは――マインだった。
ステータス
『侍烏賊』:マイン (魚人)
特性(身体能力向上補正:脚力超強化・聴覚超強化・視覚超強化・忍耐力超強化・筋力超強化、物理攻撃耐性大、魔法攻撃耐性大、気配感知、触手操作、精神統一、火属性無効、水属性無効、毒無効)
[レベル]:S
[称号]:武神
[愛護剣術]:『絶刀居合』、『剣技の極み』
「どうやら、私も進化したようだな」
「みたいだな」
「なかなかに洒落た服じゃないか! 気に入った!」
「それはよかったな」
「これからもよろしく頼むぞ。ジーク殿」
「ああ、こちらこそ」
マインも進化し、これで身近な者とは全て魂の回路が繋がった。みんなそれぞれが心に”想い”を持ち、その強い意志が、魂に刻み込まれていく。
もはや偶然ではないだろう、進化には個人の特性と経験を元に、俺の特性やイメージも影響しているのだろう。
俺は部屋を出ていくマインを確認すると、鉱石や人口魔石、水晶などを大量に部屋に出しては一つ深呼吸をした。
(よし、リーナやるぞ!)
《はいです!》
俺も”想い”に答えねばならないのだ。




