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17.幸せな家族

17.幸せな家族


 萌果は振り返って幸せそうな家族が暮らすその家をまざまざと眺めた。

 今日、美紀に聞かされた話にはとてつもなく感動した。そして、そのことは萌果と美紀だけの秘密なのだ。以前、テレビドラマで似たような話があったのを思い出した。けれど、現実にこんなことが、しかも、自分の身の回りで起こっているのをなんだか誇りにさえ感じていた。


「初めて会ったときに私はこの人のお嫁さんになるんだと思ったのよ」

 美紀はそうやって話を始めた。

「それっていつのこと?」

「九州に引っ越していった時だから小学校に上がる前よ」

「それで渡辺さんが東京に行くときに結ばれたのね」

「そう」

「ステキ!」

 そうこうしているうちに美紀の父親と俊樹が帰ってきた。

「ねえ、晩ご飯食べていく?」

「いいの?」

 美紀はにっこり笑って部屋のドアを開けて叫んだ。

「あなたー、ちょっと来て!」

「キャー!あなただって。なんか感動しちゃう」

「だって夫婦なんだもの。そう呼ぶのは当たり前でしょう」

 俊樹はすぐにやって来た。部屋に入るなり萌果の姿に気が付くと声を上げて驚いた。

「も、萌果ちゃん?どうして?」

 俊哉はすぐに美紀の方へ眼を向けた。

「全部話しちゃった」

 どう反応していいのかわからないと言った風の俊樹を眺めて二人はケラケラと笑った。


 夕食は美紀の両親も一緒だった。その風景はどこにでもある幸せそうな家族そのものだった。

「萌果ちゃんと言ったね?このことはくれぐれも内緒だよ」

 食事が終わって萌果を見送るときに美紀の父親が口に人差し指を当ててそう言った。

「はい!また遊びに来てもいいですか?」

「ぜひそうしてやってくれ。これからも美紀のことを宜しくな」

 萌果はこうして家族全員に見送られて渡辺家を後にした。





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