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15.ばれた!?

15.ばれた!?


 同居とは言え、二世帯住宅。浴室もトイレもキッチンも玄関もすべて別々になっている。一つの建物なのだけれど、隣り合わせの違う家だと言ってもいい。美紀の母親はせっかくの二世帯住宅なのに「これじゃあ、一緒に住んでいるとは言えないじゃない」と、不満顔だった。父親は「この方がお互い気を使わなくて済む」と、なだめていたのだけれど、出産を控えた美紀のことが心配でたまらない母親は、もしもの時にすぐに対応できるように二つの家をつなげるべきだと主張した。その結果、隣り合わせになっている居間の壁をぶち抜いて一つにすることになった。


 父親は定時には会社を出て6時過ぎには帰って来る。俊樹は現場によっては遅くなることもあったが、概ね7時頃には家族そろって食事をするというのが日課になった。

「最近はテレビでプロ野球中継をやらんのだな」

「そうですね。BSでやっていることもありますが、ジャイアンツ戦は少なくなりました」

「俊樹君はどこのファンかね?」

「僕はライオンズですね」

「ほう、ホークスではないのかね」

 九州出身者は福岡にホームスタジアムがあるホークスファンが多い。それを踏まえての父親の発言だった。

 一緒に食事をするようになって俊樹は父親とこんな風に世間話をする機会も増えた。父親は役員待遇で本社に栄転になったことでどこか丸くなったようだ。

「ところで美紀、学校の方はどうなんだ?妊娠のことは内緒なんだろう?」

「大丈夫!校長先生が上手く対応してくれるから」

 とは言ったものの、美紀はそろそろヤバいと感じていた。お腹は目立つほど大きくなってはいないのだけれど、さすがに体育の授業は辛くなってきた。それでも、もうすぐ夏休み。二学期からは病気で入院することになっている。あと少しの辛抱なのだ。


 数日後、美紀が学校へ行くと萌果が近寄ってきた。

「美紀ちゃんって妊娠しているの?」

 美紀はドキッとして萌果の顔を見つめた。

 萌果によると、両親が話をしていたのをこっそり聞いたらしい。下手にとぼけて怪しまれるより、本当のことを話して協力してもらう方が得だと美紀は考えた。

「学校が終わったら、うちへ遊びに来ない?ちゃんと話をするから」

 そう言って、しばらく誰にも話さないように約束を取り付けた。




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