夢から得た夢
記憶が混乱してベッドに横になったまま頭を抱えた。
割れそうに痛い頭と、大量の記憶の流入。
そしてさっきの死の瞬間を思いだし、体が震えてきた。
大丈夫、ここは、違うところ。
私は私じゃないか。
もう、結香ではなくなってしまっている。
それが怖くて、どうしようもない、
「今の私は、ユーリロッテ家の長女。カルミュス。」
だから結香なんて名前ではないし、きっと長い夢を見ていたんだ。
そうにきまってる。
「お嬢様!どうかなさいましたか、」
侍女のリッテルが涙を流している私に気がつき駆け寄ってきた。
何ともない、そう言わなければならないのに言葉が出てこない。
「リッテル、だ、大丈夫。ただあまりにも恐ろしい夢を見たの。…現実ではないと知って、安心して涙が出てきただけよ
「そうですか。あまり心配かけないで下さいませ。」
「ごめんなさいね。着替える前にタオルを持ってきてくれる?目が腫れてるでしょうから。」
「かしこまりました。今すぐお持ちいたします。」
リッテルが離れていき、ため息をはいた。
気を張るのはカルミュスとしては慣れている。
そうしなければならない状況で生きてきたからだ。信頼できるのは生まれたときから育ててくれたリッテルだけ。他の側仕えなんて全く役に立たない。
だからこそあの夢があまりにも幸せすぎて、涙が出てきた。
両親や友人に愛され、慕う方もいるそんな人生を私はのぞんていたのだから。
だから、
「夢なら、問題ないわね。」
あのように幸せな家族がほしい。
今ならまだ間に合うのかもしれない。私の行動で両親の、弟の未来を変えてしまうかもしれないけど。
私はまだ気がつかなかった、ただの夢ならこんなにもはっきり覚えていることはないことを。
周りから考えが7歳の子供の考えではないといわれていくことも、
まだなにも気がついてはいなかった。