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夕暮れが迫る  作者: 井藤 莉子
1、別れの繰り返しの生活
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夢から得た夢

記憶が混乱してベッドに横になったまま頭を抱えた。

割れそうに痛い頭と、大量の記憶の流入。

そしてさっきの死の瞬間を思いだし、体が震えてきた。

大丈夫、ここは、違うところ。

私は私じゃないか。

もう、結香ではなくなってしまっている。

それが怖くて、どうしようもない、


「今の私は、ユーリロッテ家の長女。カルミュス。」


だから結香なんて名前ではないし、きっと長い夢を見ていたんだ。

そうにきまってる。


「お嬢様!どうかなさいましたか、」


侍女のリッテルが涙を流している私に気がつき駆け寄ってきた。

何ともない、そう言わなければならないのに言葉が出てこない。


「リッテル、だ、大丈夫。ただあまりにも恐ろしい夢を見たの。…現実ではないと知って、安心して涙が出てきただけよ

「そうですか。あまり心配かけないで下さいませ。」

「ごめんなさいね。着替える前にタオルを持ってきてくれる?目が腫れてるでしょうから。」

「かしこまりました。今すぐお持ちいたします。」


リッテルが離れていき、ため息をはいた。

気を張るのはカルミュスとしては慣れている。

そうしなければならない状況で生きてきたからだ。信頼できるのは生まれたときから育ててくれたリッテルだけ。他の側仕えなんて全く役に立たない。

だからこそあの夢があまりにも幸せすぎて、涙が出てきた。

両親や友人に愛され、慕う方もいるそんな人生を私はのぞんていたのだから。

だから、


「夢なら、問題ないわね。」


あのように幸せな家族がほしい。

今ならまだ間に合うのかもしれない。私の行動で両親の、弟の未来を変えてしまうかもしれないけど。


私はまだ気がつかなかった、ただの夢ならこんなにもはっきり覚えていることはないことを。

周りから考えが7歳の子供の考えではないといわれていくことも、

まだなにも気がついてはいなかった。

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