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夕暮れが迫る  作者: 井藤 莉子
1、別れの繰り返しの生活
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幕切れと目覚め

今日も話しかける事が出来なくて、暗くなった中、家路を急いだ。


「告白は…まだ無理だよな。他の奴等が告白しても大会前でちょっと考えれないって言われたらしいし。」


大会が終わってからと考えると今度は私が忙しくなる。

私は管弦楽部に入っている。

普段は週3の緩い部活。土曜日に午前中授業がある学校なのでそのあと半日練習する、そこまで自主練という自由さと幼い頃から続けていたヴァイオリンをしたい。それだけで入部を決め、もう二年と3ヶ月。

野球部の大会のあたりから私たちも大会や定期公演、学園祭のために忙しくなってくる。

そうなると折角付き合ってもなかなかデートも出来ず愛想を尽かされるかもしれない。

だから私も部活が終わってからかと思っている。


「でもなぁ。全部終わるの10月何だよな。」


高校三年生の10月はもう受験一色になる。


「やっぱり去年告白しておけば良かった…」


今さらなからにそうやって後悔する。

それでも時間は戻らないし、これからどうしていくかを考えなければ。

ふと、後ろから人の走る足音が聞こえた。

こんな時間にもまだまだこの辺りは人通りがかなり多い。たまに走っている人もいるから二人がギリギリすれ違える歩道の端によって避けようとした。

背中に、衝撃と激痛がはしったのはその瞬間。

何が起こったのかと痛みで気を失いそうになりながら後ろを振り向いた。

知らないおじさんが血に濡れたナイフをもって後退りしていた。


「君が悪いんだ。こんなに僕が君を見つめていたのに生意気な野球坊主にばかり視線を向けるから!」

「いみ、わかんない、」


分からないなかでも体に力が入らなくなっていって倒れたのがわかった。

回りにいる人が騒がしくしてる。

だんだん耳も聞こえなくなってきて、ああ、このまま死ぬのか…と納得した。

納得しても、後悔がない訳じゃない。

ちゃんと告白すれば良かったとか、親も悲しむよなとか、もっと生きたかったとか。

そんななかで意識が途切れた。



そのあとのことは全く知らない。



目が覚めると、見たことのない部屋で横になっていた。


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