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夕暮れが迫る  作者: 井藤 莉子
2、魔法学園
15/40

入学式と代表挨拶

入学式が始まっても王子殿下はニコニコと私の方を向いていた。

どう考えても今あんたはまっすぐ前を見て真面目な態度になるべきだろう!ヘラヘラしてんな!!

つい結香としての口調で叱りつけたくなるくらいだ。

私を見て何がそんなに楽しいのかわからない。


「殿下、前を向かれてはいかがですか?」

「え、どうして?」


様々な感情が渦巻くなかなんとか声をかけたのに帰ってきた言葉は私を腹立たせるもの。

怒るなーこれなにか意味があるのかもしれないし。王子殿下の考えることなんて私にはわからない。


「新入生代表誓いの言葉、ジョージ・ラ・リリーフェスト王位継承第一位殿下。」


名前を呼ばれると今までの顔つきとうってかわって凛々しく自信ありげに前に進んでいった。


「この度はー」


王子殿下が話しているが本当にどうでもよくなってきた。

なんだかこういうやつ覚えてる。

結香だったときにクラスに一人は必ずいた調子のいいやつ。

生徒しかいないときには人をおちょくったり、たいして面白くないことを散々馬鹿にしてきたり。

先生の前では良い子だから気がつかないし、見下しているわけではないからいじめも言うほどのものでもない。

ただ空気が読めなくて自分のしていることがみんなも楽しいことだと勘違いしている。

あーいたわ。そういうやつ。

ほんとに面倒くさくて軽く受け流してたけど、ここではそうもいかない。


「以上をもちまして新入生代表誓いの言葉とさせていただきます。」


王子殿下の性格分析と対応について考えていたら王子殿下が戻ってきた。

なんだかさっきまでのように段々とニコニコ、笑顔で歩いてくる。


「カルミュス、上手くいったと思わないか?」

「…王子殿下が座るなり私な話しかけてこなければ上手くいきましたね。」

「ジョージだ。」

「はい?」

「私はカルミュスを名前で読んでいるのにカルミュスは私を名前で呼んでくれないのか?」


非常に面倒くさい。

ただでさえ座って直ぐに話しかけてきたから式は進んでいるが私にはたくさんの視線が集まってきているのにそこで、名前で呼べ?

空気を読め、TPOを考えろ。

でもここで断ることもおかしいよな。


「ジョージ殿下?今は入学式に集中してくださいませ。お話はあとてでも出来るのですから、」

「…そうだな。」


名前では呼ぶ。しかし敬称はとらない。それが私にできる最大限の譲歩だ。

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