入学式と少しの別れ
とうとう入学式の当日となった。
アンジェリーナもわりとミスをすることを少なく出来るようになってきたし、何よりもアンジェリーナにたいして手のかかる年下の妹のように思えてきた。
実年齢はアンジェリーナの方が年上なはずなのに。
「お嬢様。少しの間ですがどうかご自愛下さいませ。」
「ええ、リッテル魔法学園でもやらなければならないことはたくさんあるもの。頑張るわ。日々の事は手紙に書くからご当主様に必要ならば伝えてちょうだい。」
「はいかしこまりました。アンジェリーナがご迷惑おかけしましたら直ぐにご連絡ください、直ぐにわたくしが参りますので。」
「大丈夫よ。きっとなんとかなるわ、」
そういいながら魔法学園での不安は半分以上がアンジェリーナのことであるので笑顔が少しひきつってしまった。
目ざとくそれを見つけリッテルは苦笑をもらした。
「お嬢様、ご当主様よりお言付けがございます、」
「はい、なんでしょうか。」
お父様は今日は王宮で大切な会議があるらしく見送りには来てくださらなかった。
恐らくそうなるとは言われていたがやはり少し寂しい。
きっと最近は共に夕食 をとることが増えていたからだろう、
以前にそういったふれあいがなかったかとから私が長く眠っていたときに相当心配をかけたらしく多少過保護になっている。
「ご当主様は『勉学に励み将来に有益な人脈を作ることは今までも話していた通りだができるだけ王子閣下には近づかないように注意する事。』とのことです。」
「王子には近づかない…ですか?」
人脈を作ることは今までも話していた通りだができるだけ王子の回りの人達の情報を集めようと思っていたので近づかないとなると最初から方向転換しなければならないのかもしれない。
「これはまだ確定している話ではないのですが王子閣下はその、色狂いとの噂がありまして。もしお嬢様が近づいて手を出されたりしたら家柄もありまして直ぐにでも婚約の話が出てきます。伯爵家の跡取りとしては近づかない事が一番手っ取り早いかと。」
「…」
まさかの情報に驚愕した。
色狂い?婚約?
跡取りとしてはどうしても近づけない人だった
予定の変更は確実で入学式の日から頭を抱えるはめになった
近づかないとしてもクラスは一緒になるだろうし、私の求める人脈は恐らく王子の近くにある。
どうしょうもないかもしれないと思うとため息しか出てこなかった。