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夕暮れが迫る  作者: 井藤 莉子
2、魔法学園
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どじっ子メイドではなく侍女

アンジェリーナが側仕えになって半日。

私はもうすでに後悔していた。


「アンジェリーナ!!なぜお茶の準備に四半の時がかかるのですか!1つの仕事にそんなに時間をかけられないと知っているのでしょう!」

「申し訳ございません。お茶をこぼしてしまい片付けていましたらつまずきまして水浸しに…」

「何をしているのですか!!」


アンジェリーナはどじっ子メイドだった。

夢のなかの世界では一定の需要があったがここではただの仕事のできない人間だ。


「アンジェリーナお茶の準備はリッテルに任せて授業の準備をしてください。並べるだけなら出来るでしょう。」

「はい、かしこまりました。」

「お嬢様、そんなに甘くては…」

「それよりも先生が間もなくいらっしゃるのにお茶の準備が出来てないことが問題では?」

「…そうですね。かしこまりました。」


本当は叱らなければならないがそんな暇がないくらい時間が迫っている。

授業の準備ならインクを開けない限り溢すものはないしペンも特注のものだから簡単には壊れない。


「お嬢様、インクが減っているようですが追加しますか?授業でどのくらい使うのか分からないので…」

「今日はいいわ。足りなかったら新しいものをもってきて。」


その後もまだ初日ということもあるのかもしれないが何事にも確認をとりミスを連発するアンジェリーナに辟易した。


「お嬢様申し訳ございません。」

「リッテルが謝ることではないわ。学ぶことは優秀でも実技が全くできないみたいね。」


頭は良いのだ。一時聞いたことは忘れないし注意する事もあまりない。

ただ体がその頭についてこないみたいで考えすぎなのか手が止まってしまうこともある。


「もう少し気楽にしてくれたら出来るようになるかもしれないわ。」

「そうですねまだ考えて動かなければならないので。慣れれば体が先に動くようになってくれると。」


入学まではまだ時間がある。

なんとか慣れてくれればまだ大丈夫。


「学園には側仕えとして入学を申請しているので今さら変えることはできませんのでなんとかなってもらわなければ困ります。」

「まずは明日どのくらい出来るようになってくれるか、かしら。」

「ええ。お嬢様は以前の経験から本来できなくてもいいことが出来ますからアンジェリーナには最低限出来るようになってもらいましょう。」


まだ子の家にお母様と弟がいたとき。私は跡取りでもないし、言動の違和感から側仕えから遠巻きにされていた。その頃にはリッテルしかいなかったから自分でできることは自分でするようになった。

まさか、その経験が役に立つ時が来るとは全く思わなかったが。

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