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夕暮れが迫る  作者: 井藤 莉子
2、魔法学園
10/40

心のささくれと新しい侍女

その日も家庭教師の先生たちから合格点をもらい夕食まで若干時間が残ってしまい、手持無沙汰だったときリッテルが私に声をかけてきた。


「お嬢様、アンジェリーナの教育がうまくいっているということで明日からでもお嬢様の生活に慣れさせるため側仕えとして起用してはいただけませんでしょうか。」

「・・・そうね、たしか今日の夕食はお父様も一緒にということだったわね。」

「はい、そのように伺っております。」

「なら、その時に私からお父様に伝えておきます。」

「ありがとうございます。」


リッテルのほっとした顔はちょっとだけ私の心にささくれを残し、時間つぶしのために読んでいた本の内容もなかなか入ってこなくなった。

私、こんなに心が狭かったかしら・・・



お父様がなぜか今日は早く帰ってきていつもより四半の時はやく夕食が始まった。


「お父様、私の側仕えなのですが。」

「どうかしたか?」

「アンジェリーナの教育が終わったとのことでしたので早く私の生活に慣れてもらうため明日からでもリッテルの指導を受けさせたいのです。」

「ああ、学園に連れて行く侍女か。なかなか時間がかかったな。アルフ詳しく説明しろ。」


やはり私の言葉だけではお父様は納得しなかったようで私の説明もそこそこに筆頭執事のアルフに説明を求めた。


「僭越ながら、ご説明させていただきます。アンジェリーナは昨年からこの屋敷に参りました。本来ならば三年は側仕えとしての仕事はせずに屋敷内のメイドとして作法や御当家の皆様方の情報を覚えます。」


その先の説明は私も聞いたことはなかったが、去年より魔法学園の側仕えのルールが変わり年の近いものでなければ連れて行くことができなくなったらしい。なんでも学園に新しく側仕えコースなるものを作ったため その生徒を集めるためとのこと。

本来リッテルを連れて行くことになっていたから急遽決まったそのルールに頭を抱え、誰の侍女ともなっておらずメイドの中で優秀なアンジェリーナを侍女としてつけることになった。学園での側仕えコースでも優秀な成績を収めてもらわなければならないため様々な教育を受けさせここまで時間がかかった。そういうことらしい。


「なるほどな。わかった明日からアンジェリーナをカルミュスの側仕えとする。リッテルから聞いておかなければならないこともあるだろう。しっかり教育しろ。」


それだけで、お父様の興味は薄れたらしい。

だけど私はお父様が言った一言がひっかかった。

リッテルがアンジェリーナの教育もするなら私にかける時間は減ってしまう。

あまりにも子供っぽい考えが浮かんで急いでそれを消しにかかった。

でも、なかなかその考えは消えてくれなかった。


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