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夕暮れが迫る  作者: 井藤 莉子
1、別れの繰り返しの生活
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夕闇

窓の外からはサッカー部と野球部、テニス部の声が聞こえてきた。

授業が終わり、部活があるクラスメイトたちは一斉に外に駆け出していった。

「結香、イチゴミルク買ってきたよー」

「お、ありがと。律は何にしたの?」

「コーヒー、ブラックのやつ。」

「相変わらずだね。苦くない?」

「これがいいの。で、結香はまた野球部みてたわけ、」

「だって、格好いいよ。ヤバいくらいに」

部活が休みの私が、勉強もせず窓際の席で外をみていた理由。

女子高生にとってそんなの一つしかない。

好きな人を見るため。

「この時間に勉強したら成績も上がるだろうに、あきないねー」

「飽きるわけないじゃん!!だって圭斗くんだよ?ほんとにかっこいい。」

一人でみているのは明らかにおかしいし、変に思われたくないから親友の律に付き合ってもらって、週に三回こうして放課後外をみている。律は何時もいい加減にしろと言われてるけど、そんなこと出来ない。

「何時もいってるけどいい加減告白したら?もう放課後付き合うの飽きたんだけど。」

「だからいってるじゃん、無謀な賭けはしたくないのー。もし、ちょっとでも付き合ってもいいかなって思ってくれてるならガンガンいくけど、そんなかんじは全くないんだから仕方ないじゃん。」

「ふーん。」

律が外を見るから釣られて私も視線を外に向けた。

野球部は、休憩中のようで仲良さそうに集まって話していた。

そのなかで、視線がいくのはいつも一人。

「かっこいー」

思わずそう言葉が出てしまう。

しかし、それも長く続かなかった。

「あ、また!」

私たちが三年生にあがって3ヶ月。野球部は夏の甲子園出場を目指して日々練習している。

そんな中、去年まではいなかった存在が目につくようになった。

「あの一年いつもそばにいるんだよね。」

野球部は去年まではマネージャーを取らなかった。

だから私も涙をのんで諦めたのに、今年からマネージャーを採用するようになったという。

そして入部したのは彼女。一年生でとっても可愛らしくすぐさま野球部のアイドルとなった。

いや、他の部活の男子もメロメロになっていることからみると学校のアイドルみたいだ。

そんな彼女が圭斗くんの隣にいる。何だかんだで隣に要ることが多い。

「あー、たしかに一緒にいること多いね。でも、仕方なくない?」

「なにが?マネージャーだから?」

「じゃなくて、本当に知らないの?」

マネージャーのことなら、一年生であること、くらいしか知らない。そう言えば名前すら知らなかった。

それをそのまま伝えてみると律からはため息が返ってきた。

「本当に佐々木のことしか見てないのか…ひとつヒントをあげる。マネージャーの名前は佐々木未瑚。三加中出身だよ。」

三加中。確か圭斗くんも三加中出身だったはず。それに佐々木って名字は、もしかして

「え、兄妹なの?」

「結構有名な話なんだけど、何で今まで気がつかなかったのかわかんないわ。」

全く気がつかなかった、そうか、妹なのか。

「とりあえずさ、メールとかlineでもいいから好きだって言ってみれば?案外上手くいくから。」

「何で断言できるの?上手く行かなかったらどうするの!」

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